彼に捧げた恋の終わりに、月は静かに輝きだす
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上場企業の社長である彼氏は、初恋の相手の機嫌を取るために、億単位の契約を放り出して彼女との旅行を優先した。
その責任を全て私に押し付け、私を降格させ、あろうことかその元カノを私のポジションに据えたのだ。
以前の私なら泣きわめいて抗議しただろうが、今回は静かに彼の指示に従った。
苦労して取ってきたプロジェクトをすべて彼女に譲れと言われれば、気前よく譲った。
ボーナスを全額カットされ、彼女の車の購入費に充てられても、「素晴らしい車を買ってね」と相槌を打ってあげた。
挙げ句の果てに、彼女をウチに住まわせると言い出した時でさえ、私は黙って寝室を譲り、書斎へ移った。
彼は「やっと可愛げが出てきたな」と満足げに笑い、五年間待たせた挙句、恩着せがましく「結婚してやる」と言い放った。
でも彼は忘れていた。
彼が元カノと甘い旅行を楽しんでいる間に、私の退職届は、とっくに受理されていることを。
そして私の手元には、海外の有名研究所からのオファーが届いている。
一週間後、私はこの国を去る。
これで、彼とは赤の他人だ。