決して手の届かないあの人への恋
エイスースドロドロ展開逆転ひいき/自己中偽善後悔妻を取り戻す修羅場
15歳の時、白石紬(しらいし つむぎ)は、姉の白石澪(しらいし みお)が近所の九条航(くじょう わたる)を壁際に追い詰めてキスしているのを見た。航の背筋はピンと伸びて、耳まで真っ赤になっていたが、拒んだりはしなかった。
18歳の時、紬は、澪と航が手を繋いで両親に挨拶をし、結婚の相談をしにくるのを見ていた。
20歳の時、紬は、澪が留学という貴重なチャンスを手にするために、結婚式の前日に逃げ出したのを知った。
その時、紬は路地の入り口まで追いかけ、澪の後ろ姿に向かって震える声で叫んだ。「お姉ちゃん!彼と別れるなら……私がもらってもいい?」
澪は一瞬足を止めると、振り返りもせず、適当に手を振った。「いいよ、あげる」
こうして、両家の面目のため、自分自身の誰にも言えない秘密の気持ちのために、紬は自分のものではないウェディングドレスを着て、ブライダルカーに乗り込んで、航の花嫁になった。