裏切りの結婚式、そして永遠の決別
結婚式の当日、司会者が指輪の交換を宣言した時、向かいに立つ瀬崎湊(せざき みなと)が突然口を開いた。
「実は、俺はお前の親友と付き合っているんだ」
その場に呆然と立ち尽くし、信じられないという顔をする私を見ても、彼は瞬き一つしなかった。
まるで日常の些細な出来事を話すかのように、静かな口調だった。
「お前がウェディングドレスの試着に行っていた時、俺たちは隣の試着室でヤっていた。
彼女が堪えきれずに声を漏らした時、お前は彼女の具合が悪いのだと勘違いして、ずっと心配していただろ。
その後、お前の隣に立った彼女は、足が震えていたんだ」
その瞬間、全身の血液が凍りつくような感覚に陥った。
私はこわばった首をゆっくりと回し、ステージの下で満面の笑みを浮かべている親友を見た。
彼女は手に持ったブーケを高く掲げ、私の名前を大声で呼んでいる。
ほんの1時間前、彼女は涙ぐみながら私のドレスの裾を直し、絶対に幸せになってねと言ってくれていた。
「さっきお前がメイクをしている時でさえ、彼女は俺の上に跨っていた。
緊張しすぎて、俺の背中を引っ掻いて傷だらけにしたよ」
そう言いながら、彼は手にしたままの結婚指輪に目を落とし、気だるげな声を出した。
「結城梨乃(ゆうき りの)、これで全部話した。
結婚するかどうかは、お前が決めろ」