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本当にあった怖い話。

本当にあった怖い話。

「左鳥、今日もつかれてるな」大学時代、そんな風に言われ、肩を叩かれていた日常があった。平成(2000年代初頭)の何気ない大学時代の日常を振り返る主人公の左鳥の物語。ごく普通の何気ない大学生活を送っていた左鳥は、視える人として有名な、大学の同級生である時島とルームシェアをする事になる。ライターのバイトをしていた為、怖い話のネタを集める事になり、友人の紫野から怖い話を聞いたり、時島と共に、実際に怪異に巻き込まれたりしていく。――現在では、それらも良い思い出だと考えながら、地元の友人である寺の泰雅と酒を飲む。過去の大学生活の、ほのぼのホラーと、現在の軸が時に交錯するお話です。
BL
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国家機密に人生を捧げたら、兄と婚約者が壊れた

国家機密に人生を捧げたら、兄と婚約者が壊れた

婚約が決まったその日、兄は見知らぬ少女を家に連れてきた。 「この子こそが、本当の妹だ」と―― 兄は私を責め、彼女から奪った二十年を返せと罵った。 婚約者も「本物の妻は彼女だ」と言い、私を見捨てた。 私は家を追われ、かつて私のために用意された別荘まで、彼女に譲られていた。 そして、兄と彼女、そして婚約者は三人で優雅に旅行へ―― 私の誕生日になって、ようやく彼らは私の存在を思い出す。 だがその時、私はもう国家の十年機密プロジェクトに参加していた。 姿を消した私に、彼らは二度と会えない。 それでも、本来なら幸せだったはずの彼らは、なぜか……後悔していた。
Short Story · 恋愛
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偽りの貧乏、真実の絶望

偽りの貧乏、真実の絶望

娘が白血病を患ってから、私・藤原千鶴(ふじわら ちづる)は一日五つも仕事を掛け持ちし、死に物狂いで治療費を稼いでいる。 その日の夜勤中、私はオーダーメイドの高級スーツを着た男が、プリンセスドレスの娘を連れているのを見た。 向かいの席には、天女のように美しい人気女優が座っている。 三人が注文したのは、総額1000万円のコース料理だった。 食事が終わると、男は娘に尋ねた。「家に帰ったら、なんて言うか分かってるな?」 娘は答える。「ママには、一晩中不用品拾いをしていたけど、売ったお金ではパン半分しか買えなかったって言うの」 男は満足そうに頷き、女優も微笑んで、娘に金のジュエリーセットを贈った。 帰り際、男は気前よく、従業員一人一人に10万円のチップを配った。 同僚は、なぜ泣いているのかと私に尋ねた。 私は、10万円もらったからだと答えた。 ――ただ、それがベッドで寝たきりであるはずの夫からでさえなければ、もっと良かったのに。
Short Story · 恋愛
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愛したことがある

愛したことがある

七周年の日、樋口浩行(ひぐち ひろゆき)は急に接待が入ったから帰れないと言った。 私はぼんやりと食卓いっぱいの料理を見つめながら、何気なく彼の女性部下のインスタを見てしまった。 【うちの騎士さまに感謝。毎回の接待で私の代わりにお酒を飲んでくれて、まるでお姫様みたいに大事にしてくれるの。 自分が寒くて仕方ないのに、無理してコートを私に着せてくれるなんて、なんて紳士なの。ご褒美に愛のキャンディを一本!】 添えられた写真には、若い女性がキャンディを渡すときに二人の手が触れ合っている瞬間が写っている。 私はその骨ばった手を呆然と見つめた。親指と人差し指の間のほくろが、浩行のものによく似ている。 彼女が言う騎士さまは、まさか彼のことなの?
Short Story · 恋愛
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だから、あなたの親友と四十年間浮気したぐらいのことで、離婚する?

だから、あなたの親友と四十年間浮気したぐらいのことで、離婚する?

夫のパソコンを整理する時に、あるフォルダーを偶然に開いた。 中には想像以上多くの大人向けの動画が保存されていた。 中で撮られた人は彼と、私じゃなくて、私の生涯独身でいる親友だった。 私は出産した後、彼の体が悪くなり、ああいうことができないと言って、私とはずっとセックスなしの関係を続けてきた。 40年間一度も触れられずに過ごしてきた。 一生懸命に、子供を産み育ててきたのに、結局すべてが嘘だったとは想像もしなかった。
Short Story · ラノベ
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冬に囚われた秋海棠

冬に囚われた秋海棠

結婚式の三日前、古い荷物を整理していた私は、十年前に神崎湊(かんざき みなと)と一緒に埋めたタイムカプセルのことを思い出した。 彼はそれを聞くと表情を強張らせ、「もう行くのはやめよう」と私を止めた。 「もう随分前のことだし、誰かに掘り返されてるよ」 私は気にせず、一人で母校へと向かった。 しかし、埋めたはずの場所から出てきたのは、大小さまざまな五つのタイムカプセルだった。 二つは私と湊が十年前に埋めたもので、すでに錆びついている。 余計な三つのうち、一つは同じように錆びていて、残りの二つはまだ真新しい。 古い方には、小野寺結衣(おのでら ゆい)の名前が刻まれていた。 そこにはこう書かれていた。 【私の片思いは、一人きりの嵐だった。湊、幸せになってね】 思い出した。彼女は私たちの後ろの席に座っていた、あまり目立たない女子生徒だ。 そして、二つの新しいのには、それぞれ湊と結衣の名前が刻まれている。 埋められた日付は、まさに今日だった。 湊のタイムカプセルにはこうある。 【俺の人生最大の後悔は、お前に結婚式を挙げてやれないことだ】 結衣のタイムカプセルにはこう書かれていた。 【私の人生最大の後悔は、堂々とあなたに『結婚おめでとう』と言えないこと】
Short Story · 恋愛
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彼の愛に包まれても、私は孤独だった

彼の愛に包まれても、私は孤独だった

恋愛五年目、高野京介(たかのきょうすけ)の幼馴染みがSNSに投稿した。 【京介の足、もちもちして気持ちいい】 写真には、義足を外した京介が困ったような表情でカメラを見つめ、幼馴染みの手が彼の足の切断面を揉んでいる。彼女はにこにこと笑っている。 あの事故以来、彼は足に関する話題を何よりも嫌がっていた。 私はその写真をじっと見つめながら、ふと気づいた。あの交通事故から抜け出せていないのは、私だけだったのだ。
Short Story · 恋愛
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失って初めて知った、君の輝きを

失って初めて知った、君の輝きを

小松紗江(こまつ さえ)は看守に一通の手紙を手渡した。そこには三文字、自白書と書かれていた。 薄手の囚人用ジャケットを羽織った彼女の瞳には、半分は無感情、もう半分は絶望が浮かんでいた。 「この手紙を篠田家に届けてください。彼が私を出してくれるなら、どんな罪でも認めます」 看守は嫌な顔をしながらそれを受け取り、去り際にツバを吐き捨てた。「今さら後悔しても遅いだろ?篠田さんが情けをかけたから、この程度で済んでるんだぞ」 紗江は口元を引きつらせながら、泣くよりもひどい笑みを浮かべた。 吉岡雛乃(よしおか ひなの)の前で、篠田晃(しのだ ひかる)が自分に情けをかけたことなんて、一度でもない。 「お嬢様、ご安心を。出所したら、すぐに家に帰りましょう」 山口(やまぐち)の声には抑えきれない興奮がにじんでいた。その言葉を聞いた瞬間、紗江の目に涙が浮かんだ。白く整った顔には青アザがいくつもでき、無残なほどやつれていた。かつては活き活きしていた美しい瞳も、今は虚ろで疲れ切っている。 あれほど大切に育てられたお嬢様が、今やこんな姿に。 あの日、彼女はその男の手によって刑務所に送られた。相手が許さぬ限り、一生出ることはできなかった。山口に見つけられるまで、紗江は、ここで一生を終える覚悟だった。 「山口さん、両親に伝えて。私は手塚家に嫁ぐ覚悟ができた。家にも戻る。数日後、迎えに来て」
Short Story · 恋愛
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月を裁ちて傷跡を包む

月を裁ちて傷跡を包む

斉藤直斗(さいとうなおと)と結婚して七年目の年に、清水杏実(しみずあずみ)が彼とともに養子にもらった双子の子供が階段から転落して、緊急輸血が必要になる。 彼女は直斗が血液銀行に保存している予備血液の使用を求めたが、医者は首を横に振り拒否する。「申し訳ありません、直系親族間の輸血はできないのです」 杏実は一瞬呆然とした後に反論する。「主人と子供には血縁関係はありません」 すると医者はモニターを彼女に向けた。「システムでは、この双子の生物学的父親は直斗様、母親は下上麻紀(しもがみまき)と表示されています」 彼女が信じようとしないのを見て、医者は親子鑑定書まで調べ出した。「直斗様がこの双子の父親である確率は100%です」 白黒つけた書面は、杏実の目を赤く染めた。 「麻紀……」彼女は低く呟いた。 麻紀は斉藤家が資金援助をしている貧困学生であり、彼女が双子を養子にもらった孤児院の職員でもある女性だ。 かつて、麻紀は直斗にしつこく言い寄って彼を嫌悪させたから、すべての資金援助を打ち切らせた。 なのに今、彼女が養子にもらった双子が、直斗と麻紀の実の子だなんて!
Short Story · 恋愛
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灰と化した心

灰と化した心

私と北代市で名高い「流川社長」、つまりは私にとって義理の叔父である流川俊哉(るかわ しゅんや)との間に、秘密の恋愛関係を育んでいた。 彼にプロポーズしようとしたその時、突然知ったのだ。当時彼が私を追いかけたのは、私の継父が彼と彼の思い人を引き裂いたことへの報復のためだった。 私はただの、彼の復讐の道具に過ぎなかったのだ。 彼の思い人はすでに帰国した。 道具である私は、彼の人生から姿を消し、退場するつもりだった。 しかし、彼は後悔した。
Short Story · 恋愛
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