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第二十九話——視線が交わらない正午

Author: 桜庭結愛
last update Petsa ng paglalathala: 2025-12-23 16:00:00

 体育祭当日、いつもよりも早く起きて、身支度を整える。グラウンドと応援席の準備があるため、三十分登校時間が早いのだ。

 カバンを手に取り、扉を開ける。

「陽菜、おはよう」

 階段の下から蓮の声が聞こえて、思わず体が跳ねた。

「びっくりした……蓮、待ってたの?」

「俺もいるよ」

 蓮の後ろからヒョコッと翠が顔を出す。私は階段の途中で止まり、目を丸くした。穏やかな笑みを浮かべた翠を見て頬が緩む。階段を降り、蓮と視線を合わせる。蓮は優しく微笑んで言葉をこぼした。

「一緒に行こうぜ」

「うん」

 私が頷くと蓮は歩き出す。その後ろを翠と並んで歩いた。後ろから光が差して、私たちの輪郭を照らしている。光が背中を押しているようで、私たちの足取りは軽かった。

 話していると学校の門が近づいて、浮き足だったざわめきが聞こえてきた。翠とは門で分かれて、クラスごとに分かれた応援席に向かう。すでに準備されていた応援席の椅子の上に荷物を置いた。蓮は、委員の仕事でグラウンドの整備に行くらしく、荷物を置いてから背を向けた。
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