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去りゆくものは二度と戻らない

去りゆくものは二度と戻らない

By:  鳳小安Completed
Language: Japanese
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成田真夏(なりた まなつ)は石崎景吾(いしざき けいご)を十年間愛し続けてきたが、景吾は彼女に対して冷たくなったり優しくなったりしていた。 彼女はそれを気にせず、いつか必ず自分の真心に目を向けてくれると信じていた。 ところが、婚約披露宴の日、真夏は彼が成田真夜(なりた まよ)と情を交わすところを目撃してしまった。 「真夏と結婚して株を手に入れたら、彼女と離婚するさ。そして、堂々とお前を妻に迎える」 結局、彼は生まれつき冷淡だったのではなく、ただ単に彼女を愛していなかったのだ。しかも、彼女を利用しようとしていた。 彼女は石崎家の大旦那様である石崎武雄(いしざき たけお)にすべてを打ち明けた。 「おじいさま、私、よく考えました。景吾は私を愛していません。私も無理強いしたくありません。だから、彼とは結婚しません」 武雄は驚いた。 「でも、お前は長年彼を愛してきたのではないのか?彼に虐められたのか? 安心しなさい。わしの孫嫁はお前だけだ!」 「おじいさま、結婚式の日程は変えません。私は石崎家に嫁ぎます。でも新郎を変えます。 七日後の結婚式当日、石崎家の同輩の中から抽選をします。当たった人とその場で結婚します」 どうせもうこれ以上悪くなることはないのだから!

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Chapter 1

第1話

あの時、成田家の旦那様とその妻は交通事故で亡くなり、すぐに成田家は破産した。ショックを受けた成田家の大旦那様はICUに入った。

亡くなる前に、彼は自分の人脈と唯一の孫娘である成田真夏(なりた まなつ)を、生死を共にしたことのある石崎武雄(いしざき たけお)に託した。

その後、武雄は真夏を石崎家に連れ帰った。

さらに、石崎家の子孫であれば、真夏が自由に選べると誓った。

しかし、彼女はどういうわけか、石崎景吾(いしざき けいご)という私生児に一途に恋してしまった。景吾はいつも彼女を避けていたが、努力が実を結び、とうとう彼も結婚を承諾した。

婚約披露宴の夜、会場は賑やかで、町の名士がほとんど顔を揃えていた。

名家の令嬢たちと話し終えた真夏は景吾の姿が見えず、彼を探して二階へ上がった。

そして彼の部屋の前を通りかかったとき、顔が赤くなるような声を耳にした。

真夏はその場に立ち尽くし、ゆっくりとドアを押し開けた。

そこにあったのは息が詰まる光景だった。

景吾は上半身裸で、女の上に覆いかぶさっている。

女は喘ぎながら景吾の首に腕を回し、愛を囁いた。

「景吾、愛してる」

男の動きはさらに激しくなった。

「俺も愛してるよ、真夜。たとえ真夏と結婚しても、一度たりとも彼女に触れない。

分かってくれ。俺が彼女と結婚するのは全部お前のためだ。

お前が石崎家に一緒に住めれば、毎日会えるんだ」

真夏の身体は震え続けた。

自分の婚約者が、異母妹である成田真夜(なりた まよ)と関係を持っているなんて、彼女は信じられなかった。

しかも今日は、真夏と景吾の婚約披露宴だ!

真夏は、景吾が自分を愛していないことを知っていた。しかし彼女は頑なに、それを景吾の生まれつきの冷淡さのせいだと考え、結婚さえすればいつか愛してくれると信じていた。

だが今、真夏は、彼女の執着がただの笑い話に過ぎなかったのだと、ようやく悟った。

景吾はずっと前から、私生児である真夜に心を奪われた。

両親が亡くなったあの日、真夜は成田家に送り込まれてきた。

出自は恥ずかしいものだったが、成田家には彼女しか身寄りがいなかった。彼女を哀れに思った真夏は、彼女に家を借りて住まわせ、のびのびと育てられるよう配慮した。

まさかその妹が、最愛の男を奪う存在になるとは夢にも思わなかった。

そして景吾が結婚を承諾した理由も、真夜という私生児を正々堂々と石崎家に迎えるために過ぎなかった。

真夏はついに、どれだけ努力しても景吾は彼女に一瞥すらくれないのだと悟った。

二人の私生児はまさにお似合いだ。ならば、彼女は身を引くしかない。

真夏は口を押さえ、声を漏らさぬよう必死に堪えたが、涙はどうしても抑えきれず、こぼれてしまった。

彼女は足元がおぼつかず、頭も真っ白で、どうやって階段を下りたのかすら分からなかった。

そのころ寝室の中で、真夏が去る背中を見た真夜は口元を吊り上げた。

彼女が成田家に来た目的は、景吾を奪うことだけではない。

彼女は真夏のすべてを奪うのだ!それは、成田家が彼女に借りがあるからだ。

階段をふらつきながら下りた真夏は、景吾の祖父に出会った。

彼女が泣いているのを見て、武雄は慌てた。

「真夏、どうして泣いてる?景吾の奴に嫌なことをされたのか?」

真夏の目は赤く腫れ、ゆっくりと言った。

「おじいさま、私、よく考えました。景吾は私を愛していません。私も無理強いしたくありません。だから、彼とは結婚しません」

武雄は驚いた。

「景吾のこと、ずっと好きだったのではないか?

あの時、石崎家の人間から選ばせたとき、お前は敢えて景吾を選んだんだ。

そして、お前が楽に暮らせるために、わしはあの私生児に精力を注いで、事業まで与えたというのに、今さらどうして……」

困惑する武雄に対し、真夏はすすり泣きながら首を振った。

「彼には好きな人がいるんです。無理に結婚しても幸せにはなれません」

「泣くなよ。それじゃ、あいつは駄目だ。石崎家には人がたくさんいる。別の相手を選べばいい」

「ええ、別の人にします。でも結婚式の日程は変えません」

武雄は彼女を溺愛していた。望むことなら何でも叶えてやるつもりだった。

「誰か心に決めた相手はいるのか?」

「くじ引きで決めます」

真夏の心はもう死んでいた。誰と結婚しても構わなかった。

武雄は眉をひそめた。

「くじ引き?そんな大事な結婚をくじ引きで決めるなんて、あまりにも適当ではないか?」

「おじいさま、石崎家の若者は誰でも景吾より優秀です。誰と結婚しても損はしませんよ。そうでしょ?」

「分かった」武雄はうなずいた。

「真夏が幸せなら、それでいい」

真夏は涙を拭い、顔を上げた。

「では七日後、結婚式当日にくじ引きをして、当たった人とその場で結婚します」

「お前が決めたことならいい。わしはずっとお前を実の孫のように思っている。お前が幸せであることが望みだ」

真夏は涙でにじむ目をしながらうなずいた。

「ありがとうございます、おじいさま」

この結婚はする。だが、景吾という新郎は捨てる!
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