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帰る場所はもうない

Author: 影畑凛星
last update publish date: 2026-05-18 14:46:27

「……お姉ちゃんなんか、昔から嫌いだった」

 そう吐き捨てるように言った恵は、涙を流しながら佳苗を睨みつけていた。

 佳苗は言葉を失う。

 胸が痛い。

 でも、不思議と驚きはなかった。

 ずっと薄々、感じていたから。

 恵は姉に甘えながら、同時に憎んでもいたのだ。

「……帰って」

 佳苗は静かに言った。

 恵の目が揺れる。

「今はもう、あなたと話したくない」

「っ……!」

「お前の話は終わりか」

 低い声が割って入る。

 雄吾だった。

 冷え切った目で恵を見下ろしている。

「なら帰れ」

「……あなたには関係ないでしょ」

 恵が睨み返す。

 だが雄吾は微動だにしない。

「ある」

 即答だった。

「佳苗は俺が守る」

 恵の顔色が変わる。

「……っ、本当にそういう関係なんだ」

「違――」

「最低!」

 恵は泣きながら叫んだ。

「まだ離婚してないのに男とホテルにいるなんて、お姉ちゃん最低!!」

 ホテルスタッフが気まずそうに目を伏せる。

 佳苗の胸が痛んだ。

 その通りだと思われても仕方ない。

 まだ離婚は成立していない。

 なのに、自分は雄吾に安心してしまっている。

 そんな自分への罪悪感
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