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空っぽの部屋

Author: 影畑凛星
last update publish date: 2026-06-20 11:16:01

 マンションへ戻ったのは夜になってからだった。

 玄関の扉を閉める。

 部屋の中は静まり返っていた。

 悟はネクタイを緩めながらリビングへ向かう。

 電気を点ける。

 見慣れたはずの部屋が妙に広く感じられた。

 ソファに腰を下ろし、深く息を吐く。

 疲れていた。

 協議のせいだけではない。

 ここ数か月ずっとだ。

 仕事から帰っても誰もいない。

 食事もない。

 話し相手もいない。

 最初は気楽だと思った。

 一人の時間が増えるだけだと。

 だが違った。

 静か過ぎるのだ。

 悟は無意識にスマートフォンを手に取った。

 連絡先を開く。

 そこにはまだ佳苗の名前が残っている。

 指が止まる。

 結局、何もできず画面を閉じた。

 協議の場での佳苗の顔が頭に浮かぶ。

 

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