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夫の拷問で死んだ私、今世は離婚します!今さら泣いて縋っても戻りません!
夫の拷問で死んだ私、今世は離婚します!今さら泣いて縋っても戻りません!
Author: みそ煮

第1話

Author: みそ煮
last update publish date: 2026-02-09 10:57:34

九条家の令嬢・九条香織(くじょうかおり)は大学時代の同級生で社長の羽川亮太(はがわりょうた)に熱烈な恋心を抱いていた。

香織は亮太に尽くし、彼のためなら何だってやってのけた。

その甲斐あって、香織は念願かなって彼の妻になることができた。

甘い新婚生活を夢見ていたのも束の間、待っていたのは亮太の裏切りだった。亮太は彼が経営する会社の部下である山川日菜乃(やまかわひなの)と不倫していたのだ。

結婚してからというもの、亮太は香織に指一本触れることなく、日菜乃との密会を続けていた。そしてなんと彼女との間に子供まで作り、香織の暮らす邸宅に愛人である日菜乃を住まわせるという暴挙にまで出たのだ。

香織はもちろん反発したが、彼女の意見など重要ではなく、いくら言っても聞き入れてもらえなかった。

香織の住む家に日菜乃は平然と亮太との間に生まれた子と共に転がり込んだ。そこからは正妻・香織と愛人・日菜乃の戦いが始まった。

二人の戦いは次第に過激なものへなっていき、ある日日菜乃は自ら毒を飲んだ。

「日菜乃!しっかりしろ!」

毒で倒れた日菜乃に慌てて駆け寄ったのは夫の亮太だった。日菜乃に子が生まれてからというもの、彼は二人にのみ関心を寄せていた。

「お前がやったのか!」

「亮太……違うの、私は……」

日菜乃が自ら毒を飲んだことなど知らずに、亮太は香織に鋭い目を向けた。心から香織を憎んでいる、というような顔だった。香織が否定しようと亮太は聞く耳を持たなかった。

「香織を拘束しろ!」

「はい、旦那様!」

亮太の指示で香織はあっという間に両手を縛られ、屋敷の地下へと連れていかれた。

そこで彼女が受けたのは凄惨な拷問だった。何日にもわたって背中を鞭で打たれ、爪を剥がされ、体を切り刻まれた。香織はいつ終わるかもわからない拷問に耐えなければならなかった。心の中では、まだ亮太がここへきてくれるという淡い期待を抱いていた。

しかし、そんな希望はすぐにズタズタに崩れ去った。

外から亮太の秘書と誰かが話している声が聞こえてくる。

「社長は既に奥様との離婚手続きを済ませたようです。日菜乃さんも運良く回復されたようですし……」

「まぁ、それはよかったですね」

香織は可笑しくて笑いが出そうになった。

運良く回復した?違う。あの女は最初から致死量には到底満たない量の毒を飲んでいたのだ。亮太の気をさらに引き、香織を屋敷から追い出すために。なんて狡猾な女なのだろう。あの女の本性に気付けなかったことが、香織の唯一の失態だった。

「では今の奥様は一体どうなるのでしょうか?」

「さぁ、それは社長が決めることです」

それから香織は外に連れ出され、極寒の中着の身着のまま放り出された。もはや死は目前だった。

裸足で雪の中を歩くも、すぐに倒れてしまった。体はとうに限界を迎えていたのだ。

こんなことになるのなら、本妻の座になどしがみつかずにとっとと亮太と離婚しておけばよかった。そんな後悔の念が今になって押し寄せるが、遅すぎた。

最後に浮かんだのは亮太の顔だった。香織がかつて心から愛し、すべてを捧げた人。彼から返ってきたのは裏切りだったが。

香織は彼の顔を思い浮かべながら固く誓った。

(もし次あなたと出会ったら……そのときは絶対にあなたとは関わらないわ)

亮太への恨みを募らせながら、香織はゆっくりと目を閉じた。

再び目を開けると、三年前に時が戻っていた。

「奥様、おはようございます」

「……」

香織は一瞬理解が追いつかなかった。三年前といえば、亮太の不倫が発覚し、彼がちょうど日菜乃を屋敷へ連れてきた頃だった。

日菜乃は生まれたばかりの赤子と共に平然と香織の前に姿を現したのだ。

「奥様、旦那様がお呼びです」

「……亮太が?」

そしてこの光景には見覚えがあった。忘れられるわけがなかった。彼が香織を呼び出したことなど、五年間にわたる結婚生活でたった数回だった。

『お前に紹介しよう。俺の愛する恋人の日菜乃と、娘の朱里だ』

呆然とする香織を置き去りに、亮太は自身の愛人と娘を彼女に紹介した。そのときの絶望は今でも香織の中に強く残っていた。

「奥様、いかがなさいました?」

「……何でもないわ、すぐに向かうと旦那様に伝えてちょうだい」

「はい、奥様」

香織は軽く支度を済ませ、亮太の部屋へと向かった。既に日菜乃とその娘が到着している頃だろう。前世ではみっともなく暴れ、日菜乃を嫌悪していたが、今は違う。

香織に亮太への愛は残っていなかった。つまり、彼がどのような行動を取ろうとどうだってよかったのだ。

「失礼します」

「来たか」

扉を開けると、見慣れた顔が視界に入った。亮太の横には優雅に微笑む日菜乃と、胸に抱かれる子供の姿があった。彼女は香織を見ると、笑みを深めた。愛人の分際で本妻を前に笑えるだなんて、何て強かな女なのだろう。

「お前に紹介しよう。俺の愛する恋人の日菜乃と、娘の朱里だ」

ああ、このセリフ。前世と一言一句同じだ。香織は時が戻っても彼らがまったく変わっていないようで逆に安心した。

「ええ、そのようですね」

「日菜乃と朱里はこれからここで暮らすことになった」

「奥様、これからよろしくお願いしますね」

「……」

私が反対するとでも思っているのだろうか。亮太は私の顔色を窺うようにチラチラと視線を向けていた。

どうせ反対したところで私の意見なんて聞き入れないくせに。おかしくて笑いそうになった。あなたはいつだって日菜乃とその娘のことしか頭になかった。

「ええ、亮太の好きにすればいいわ。だけどその代わり、私もお願いがあるの」

「……何だ?」

亮太は訝しげに私を見た。

――「離婚してほしいの」

その瞬間、亮太は石のように固まり、日菜乃は驚きで目を見開いた。

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