เข้าสู่ระบบそこまで書いて、ミレーヌは深く息を吸った。 そして、最後の欄にこう書いた。 本件は、慈善記録官室補佐見習い一名で全体判断すべきではない。各部署へ分担照会し、慈善記録官室は受領・品目・未着情報に限定して処理する。 書いた瞬間、試験室が静かになった気がした。 ミレーヌは顔を上げた。 マルタも、セリアも、リーナも、クラリスも、黙っている。 自分は間違えたのだろうか。 やはり、全部できませんと書いたのは弱かったのだろうか。 不安が胸に広がる。 マルタが、ゆっくり口を開いた。 「時間です」 ミレーヌは羽根ペンを置いた。 「はい」 答案が回収される。 採
厚み、織り、使用場所、受領先。 どれも見なければならない。 ミレーヌは、一瞬だけ混乱した。 儀礼布の再仕立て予定品は、現時点では儀礼布か、慈善物資か。 発送前なら儀礼布。 再仕立て後なら膝掛けまたは寝台布。 受領先へ届いた時の状態で最終分類。 そう書いてから、少し迷い、補足を入れた。 途中段階では、元品目と予定品目を併記する。 これでよいかは分からない。 だが、分からないままにしないための補足だった。 第四課題、空欄の扱い。 これは、ある意味で一番怖かった。 試験用紙には、受領先確認欄が空白の書類、補助記録欄が空白の書類、未着報告欄が空白の書
それでも、立っている姿には気品があった。 ミレーヌは慌てて礼をする。 「王妃陛下」 「顔を上げて、ミレーヌ」 柔らかな声だった。 ミレーヌはおそるおそる顔を上げた。 王妃は、彼女を責める目では見ていなかった。 けれど、甘やかす目でもなかった。 「今日、あなたは試験を受けます」 「はい」 「緊張していますか」 「……はい。とても」 「よろしい」 意外な返答だった。 王妃は少し微笑む。 「緊張しない人より、緊張していることを分かっている人の方が、記録の仕事には向いています」 「そうなのでしょうか」 「ええ。自分が間違えるかもしれないと知っている人は、
ミレーヌ・フォン・エルディアは、朝から三度、同じ紙を読み返していた。 一度目は、起きてすぐ。 二度目は、朝食の前。 三度目は、王妃執務院へ向かう馬車の中。 紙には、簡潔な字でこう書かれている。 慈善記録官室補佐見習い実務試験 受験通知 その下に、試験項目。 一、不備書類の分類。 二、受領先への照会文作成。 三、品目分類。 四、空欄の扱い。 五、相手を責めない差し戻し文。 六、緊急度判定。 何度読んでも、文字は変わらない。 当たり前だ。 でも、読み返してしまう。 ミレーヌは、膝の上で紙の端をそっと押さえた。 強く握ると皺になる。
その曖昧さを、急いで名前にする必要はないのかもしれない。 ただ、政治的な線だけは引いておく。 その上で、心が少し近づくことまで否定しない。 それが今の二人にできる精一杯だった。 王弟府の廊下へ戻ると、イリスが待っていた。 彼女はクラリスを見る。 次に、レオンハルトを見る。 それから、何も言わずに一枚の札を出した。 公私の距離、要確認 クラリスは足を止めた。 「イリス」 「必要かと」 レオンハルトが札を見て、真面目に頷く。 「正しい」 「殿下まで」 「かなり正しい」 イリスはもう一枚の札も出した。 文書で支える 「それも必要ですね」
「はい」 「王弟府の支援は文書に残す。王弟府記録官を通す」 「はい」 「私的な助言が職務判断に関わる場合は、後で要点を記録化する」 「はい」 「私が感情で君を守ろうとした時は」 そこで彼は少し詰まった。 クラリスは静かに待った。 レオンハルトは、短く息を吐く。 「止めてくれ」 「わたくしがですか」 「君が難しければ、イリス殿に」 扉の外に控えているはずのイリスが、なぜか気配だけで頷いたような気がした。 クラリスは小さく笑った。 「イリスなら遠慮なく止めます」 「だろうな」 「わたくしも、止めます」 レオンハルトは、少し驚いたように彼女を見た。







