最初はゲームの中で出会った、小神野先輩と俺。プロのプレーヤーを目指す俺をあっという間に倒したくせに、名前さえ教えてくれなかった彼を探すこと1年……。俺は高校のeスポーツ部で先輩と再会した。先輩は俺のライバルだ。仲良くなろうと思っていたわけじゃないけど、初日から『雑魚』呼ばわりされてケンカになり、同じチームを組むことになっては、またケンカ。一緒にゲームをやっているときだけは楽しいかと思いきや、協力するゲームにもかかわらず、お互いを撃ち合ってばかりだった。まったくタイプの違う先輩と、共通する部分はゲームが好きなことと、負けず嫌いなこと。試合に負けたのをきっかけに2か月限定の共同生活をすることになった俺は、そこで先輩の意外な一面を知ることになる。家事ができなかったり、意外と不器用だったり、嫌がらせでキスすると顔を赤くしたり――。「お前にだけは負けたくない」と話す先輩に、自分は先輩にとって特別なのかと聞いたら、「……お前は、俺の特別がいいの?」と唇にキスされた。くすぶる気持ちに火をつけられた俺は、「先輩って、誰かを好きになったことある?」と立ち上がる先輩の手を取り、強引に口づけて――。大会で優勝を目指す俺たちの関係は、夏に向けて少しずつ変わっていく。
Last Updated : 2025-07-22 Read more