インターハイ予選優勝から数日が経っても、校内の空気はまだあの熱を引きずっていた。 朝の昇降口を抜けた瞬間から、視線が集まるのが分かる。廊下を歩けば、同級生だけでなく下級生の会話まで一瞬だけ止まり、すれ違いざまに小さく声が漏れる。「天根先輩だ」 「決勝のあれ、やばかったよな」 「全国、絶対優勝いけるって」 蓮は足を止めず、かけられた声へ軽く視線を向けて短く返す。「ああ」 「ありがとう」 それだけで十分だった。 教室へ入っても同じだ。 席に着くまでに何人かに声をかけられ、試合のことを聞かれるが、蓮の返答はどれも簡潔だった。 昼休み、若葉が購買のパンを抱えたまま教室の入口から顔を出した。「天根センパイ!今日の放課後、昨日の続きやってもらっていいっすか!」 教室の何人かが振り向く。 蓮はノートから顔を上げた。「昨日の続き?」「半歩のやつっすよ!あれ結局まだ分かってなくて!」 若葉の声は相変わらずよく通る。 その勢いに、周囲から小さく笑いが漏れる。「……分かった。練習後な」「ありがとうございますっ!」 そう言うと、若葉はそのまま顔を引っ込めた。 そのやり取りを見ていたクラスメイトに、また小さく笑いが広がった。 予選を終えてから、日常の速度は確かに変わっていた。 だが蓮の中では、もう次へ意識が向いている。 全国へ向けて、積み上げを止める理由はない。 放課後のグラウンドもまた、いつも通りだった。 若葉の縦パスは明らかに質を上げている。 中央で受けたボールを、迷いなく蓮へ差し込む。 蓮がワンタッチで捌き、桐生が落とし、サイドが裏を取る。 決勝の熱を経て、チーム全体の循環速度が一段上がっていた。「天根センパイ!今のタイミングどうっすか!?」 ミニゲームの合間、若葉が汗を拭いながら駆け寄る。「悪くない
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-22 อ่านเพิ่มเติม