警察への情報提供は、何の変化も生まなかった。 それなら、自分で探すしかない。 けれど、彰人の家へ入り込むことも、芹奈の車の記録を調べることも、今の千紘には難しい。「だったら、できるところから……」 千紘はノートに書き出した言葉を見つめた。 保険。 旅行。 芹奈。 彰人。 そして最後に、『殺される前の私』 と書いた。 自分が死ぬ前、何かおかしなことはなかっただろうか。 思い返してみれば、彰人との結婚生活は決して幸せなものではなかった。 帰宅が遅くなった。 休日出勤が増えた。 スマートフォンを伏せて置くようになった。 香水の匂いがしたこともある。 浮気を疑う理由はいくつもあった。 けれど、殺されるなんて考えもしなかった。「保険は……」 結婚した直後に入った。 彰人に勧められて、夫婦で加入した生命保険。 それだけなら不自然ではない。 でも、その後は? 千紘は契約内容をほとんど確認していなかった。 保険関係は彰人に任せきりだったからだ。「変更されてても、気づかなかったかも……」 受取額を増やされていた? 別の保険にも加入させられていた? 考えれば考えるほど不安になる。「でも、勝手には無理よね」 少なくとも本人の同意なしに、何でも自由に契約できるわけではないはずだ。 なら、自分が何かに署名した可能性がある。「……あ」 記憶の奥に、小さな引っかかりがあった。 死ぬ二か月ほど前。 彰人から書類を渡された。『会社関係の手続きで必要なんだ』 そう言われた
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-18 อ่านเพิ่มเติม