顔の向きひとつでキャラクターの印象は劇的に変わるから、描くときは角度を武器にしている。僕はまず“見せたい性格”から角度を選ぶことが多い。支配的で威厳を出したければやや下からのローアングルであごを引かせ、肩や首のラインで高さを強調する。逆に柔らかさや親しみを出したければ、ほんの少しのハイアングルで視線を下げると目に優しさが出る。
眉目秀麗を狙うなら、三面図の中でも三角形の美しさを意識して、鼻筋と顎のラインがきれいにつながる角度を探すといい。
パースや光の扱いも角度と密接に関係する。斜めから当てる斜光は鼻筋と頬骨を立体化して彫り深く見せるし、目のキャッチライトの位置で視線の強さを操れる。輪郭をややシャープに描くために、耳の位置や髪の流れでシルエットを整理しておくと、どの角度でも“整った顔”に見えやすい。顔の中心をずらして三分割にする構図も有効で、視線が自然に眉や唇に誘導されるようにする。線の強弱や影の置き方で“整った”印象を微調整するのがコツだ。
実例として、私は時折'ジョジョの奇妙な冒険'のポージングを参考にする。大胆なローアングルと顔のほんのわずかな傾きだけでキャラが持つ存在感を増幅させている点は学ぶところが多い。逆に静的なエレガンスを出したいときは、真正面に近い三分の一の角度で目線をずらし、唇やまつ毛の描写に注意を払う。最終的には、角度は描き手の“見せたい物語”を補強するツールでしかない。だから角度を決めるときは、表情、服装、髪型、そして光の当たり方を同時に考えて、全体で魅せることを心がけている。そうすると、眉目秀麗なキャラはただ美しいだけでなく説得力を持って画面から佇むようになる。