怠け王様
塚崎雅史(つかさき まさし)が囲っている大勢の愛人の中で、私は一番のんびりとした存在だ。
他の女たちは必死に彼の夜の相手を務め、彼を離さないように頑張っている。
だけど私はすっかり開き直り、彼が買い与えてくれた大きな屋敷で、食べて飲んで、遊びながら暮らしている。
雅史が新しい女を囲うたびに、他の女たちは危機感に襲われ、たまらなく不安になる。
それでも私は相変わらず、気にも留めない。
彼が婚約するという噂が流れた時でさえ。
私は少しも気にせず、ただ微笑んで言った。
「それなら、彼の結婚を祝ってあげようよ。末永くお幸せに、ってね」
だけど、誰も知らない。かつて私がどれほど雅史を愛していたかを。
すべてを投げ打ってもいいと思えるほど愛し、彼が何も持たなかった頃から、成功を収めるまでずっと寄り添ってきた。
でも、記憶の中にいるあの明るくてまっすぐだった男の子は、とうとう変わってしまった。
だから私は、雅史に別れを告げた。
彼はかすかに眉をひそめ、なだめるような低い声で言った。
「大人しくしてくれ。わがままを言うな。
一ノ瀬家の令嬢との政略結婚は、あくまで仮の姿だ。しばらくの間、我慢してくれ」
私はもう、十分に我慢してきた。
名分もない日陰の身のままで、彼の愛人でいることも。
彼の周りに絶えない女たちの影も。
他の女と結婚することさえも、耐えてきた。
今回ばかりは、もう疲れ果ててしまった。
そして、本当に去る時が来たのだ。