再婚、そしてまた再婚......気づけば御曹司に溺愛された
「海渡さんと梨沙さんが結婚して2年の間に、私たち、500回もしたんだよ?ねえ、海渡さん、梨沙さんってこれを知ってるのかな?」
梨沙が聴力を取り戻したあと、最初に耳にしたのは――
夫の義妹である明里が、彼に向かって囁くその言葉だった。
夫は浮気していた。
梨沙は泣き喚きも、縋りつきもしなかった。
ただ静かに、婚前契約書を取り出した。
そこに書かれていたのは――
【不貞行為を行った者は、全財産を放棄したうえで離婚に応じるものとする】。
――
海渡は、ずっと梨沙が振り返ってくれるのを待っていた。
だが彼が待ち続ける間に、彼女は国際式典の総合プロデューサーとなり、さらに、ビジネスアワードの総合優勝を勝ち取った初の女性となった。
政財界の要人や世界的巨匠たちに囲まれ、誰よりも眩しい存在になっていく。
海渡はようやく焦り始める。
彼は惨めなほど低く梨沙の足元に跪き、震える指で彼女のスカートの裾を掴んだ。
「君は昔、俺のためにすべてを捧げてくれただろ?本当に、このまま俺を捨てるのか? 梨沙......お願いだ。もう一度だけ俺を愛してくれないか......」
梨沙は、彼を一瞥もしなかった。
彼女は嬉しそうに振り返り、そのまま別の男の胸へ飛び込んでいく。
その男は、誰よりも高貴で圧倒的な存在感を持ちながら、彼女を甘やかしていた。
――
バレンタインデー。
礼都は家に届けられた花束を見て、眉をひそめる。
「そんな得体の知らないものは捨てておけ」
梨沙はわざと笑ってからかう。
「でも、綺麗じゃない?」
その日の夜。
腰を押さえながら、梨沙は思わず抗議した。
「もう引退して何年も経つのに、なんでそんなにタフなのよ......!」