大晦日の集まりで、夫が隣の個室で愛人と婚約していた
姑がくれたルビーの腕輪がなくなっていた。
家に泥棒が入ったのかと思い、私·二階堂雪乃(にかいどう ゆきの)は慌ててリビングの防犯カメラの記録を呼び出した。
映像は、昨日の午後三時二十分で止まっていた。
夫の清水直樹(しみず なおき)が金庫を開け、ルビーの腕輪を持ち出していた。
出かける前、彼はちらりとスマホに目を落とした。
画面に表示されていた登録名は、四文字だった。
藤田杏奈(ふじた あんな)。
私のジュエリー店のVIP顧客だ。
でも、どうして夫が彼女の連絡先を持っているの?
胸がざわつき、頭の中にいくつもの可能性が一気に押し寄せた。
次の瞬間、夫が私の前まで来て、こう言い訳した。
「母さんがこの前来たとき、そのルビーの腕輪を着けたくてさ。それで持っていったんだ」
嘘だった。
私は心の底から冷えきってしまい、店に残っていた杏奈の住所を調べると、上着をつかんで家を飛び出した。