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過去から抜き出した私

過去から抜き出した私

自分の研究成果が、夫の留学経験のある後輩――仲程雲雀(なかほど ひばり)に盗まれたと知った葉山芙美子(はやま ふみこ)は、彼女を告訴した。 法廷で対峙したとき、夫――陸川夕星(りくがわ ゆうせい)は雲雀の証人を担当し、多額の弁護費用まで負担して守ろうとしていた。 一審の判決は、芙美子の敗訴だった。 法廷を出た後、夕星は彼女を見つけ、冷たい口調で言い放った。 「芙美子、雲雀はもう一編の論文を発表すれば、海外の企業に応募できるんだ。同じ貧しい出身なら、その機会の貴重さは理解できるだろう?」 芙美子は唇を噛みしめ、声を震わせて反論した。 「機会?彼女が帰国した時、あなたはわざわざ平安市のポジションまで手配してあげたでしょう。それでもまだ、彼女の方が私より『機会』を必要って言うの?」 夕星は鋭く遮った。 「雲雀は俺の恩師の娘で、俺の後輩だ。彼女を助けるのは当然だろう」
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愛も憎しみも、罪の形

愛も憎しみも、罪の形

初めて藤原彰真(ふじわらしょうま)に会ったとき、私は思った。 「この世にこんなに美しい人がいるなんて」 そして、こう決めた。 「大人になったら絶対彼と結婚する」 最後に彰真に会ったとき、私は言った。 「おじさん、もう二度と会わないで。私、あなたを殺したくなっちゃうから」 彼は静かに答えた。 「梨乃(りの)、俺なら、君に殺されてもいい」
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バケモノが愛したこの世界

バケモノが愛したこの世界

幼い頃、世界から敵と認定され祖国を滅ぼされた元王女のレイミス・エレナート。 全てを奪われながらも仇を討つ事を糧に生きてきた彼女はある日、自らをバケモノと名乗る青年ニイルと出逢う。 復讐を成す力を得る為、彼女はそのバケモノの手を取る事を決意する。 これはヒトとバケモノのモノガタリ
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もう、あなたの愛はいらない

もう、あなたの愛はいらない

町中の上流階級では誰もが知っている。あの冷酷な長谷川家の御曹司が、たった一人の女性のために、家柄も命も捨てたってことを。 やがて彼は念願かなって、心の底から愛する人を妻にした。二人の恋物語は、界隈ではちょっとした伝説になっている。 その女性というのが、私。 この幸せがずっと続くんだって信じていた。でも、ある日突然スマホに送られてきた動画が、すべてを壊した。そこには、男女が絡み合っている姿が映っていた。 「ああ、すごくいい匂いだ」スピーカーから聞こえる長谷川智也(はせがわ ともや)の押し殺した喘ぎ声は、ひどく生々しかった。 相手の女性は、拒むふりをしながらも、甘ったるい声を何度もあげていた。 私はとっさに画面を消した。真っ暗になった画面には、涙に濡れた自分の顔が映っていた。 私と智也は、学生時代に出会って結婚した。もう15年になるけど、周りからはずっと「誰もが羨む理想の夫婦」だと言われてきた。 でも、智也の心が、もうとっくに自分から離れていたことに、私は分かっていた。 彼は私が自分の手で選んだ秘書・小林楓(こばやし かえで)に恋をした。 裏切りだけは、絶対に許すことができない。 この時、私が智也に贈る誕生日プレゼントは、もう決まっていた。二度と会わないこと、それだけだった。
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愛の芝居なんてごめんよ

愛の芝居なんてごめんよ

京西市の社交界で名を馳せる佐藤信之(さとう のぶゆき)が結婚して七年目、外に囲っていた愛人が思いがけない交通事故で命を落とした。 誰もが白野蘭子(しらの らんこ)の仕業だと噂したが、信之だけは信じなかった。 噂を流した者たちを徹底的に懲らしめたうえで、心を入れ替え、家庭に戻ったのだ。 蘭子は彼がようやく改心したのだと思い、用意していた離婚届を破り捨て、再び夫婦としてやり直すことにした。 妊娠がわかった日、蘭子は嬉しくて、信之にサプライズを用意しようとしていた。 だが偶然、彼と友人の会話を耳にしてしまった。 「信之、お前、蘭子を雪山に誘っておきながら、途中で置き去りにして凍え死にさせかけたんだろ?ダイビングに連れて行った時も、サメがいる海域にわざと入れて、襲われそうになったし。この三ヶ月だけで、お前は彼女を五十二回も危険に晒した。まだやめる気はないのか?」 信之は冷たい声で言い放つ。 「俺は絶対にあいつを許さない。清子に手を出した以上、百倍にして償う覚悟をしてもらう。 まだ五十二回しかじゃないか。あと四十八回があるんだ。清子が味わった痛みをすべて返し終えたら、あいつを清子のもとへ送って、直接謝らせてやる!」 まるで奈落の底へ突き落とされるような衝撃が、蘭子を襲った。その瞬間、彼女は「あの時の改心は、すべて偽りだった」と悟ったのだ。 ――信之も、愛人の事故死は私の仕業だと思い込んでおり、そばに置いていたのは復讐のためなのか。 胸が引き裂かれるような痛みに耐えながらも、彼女は泣き叫びはしなかった。代わりに、妊娠検査の報告書だけを残し、結婚記念日に自らの死を偽装する計画を静かに練り始めた。 その後、冷静沈着だった信之が、妻と腹の子を同時に失ったと知った夜、たった一晩で髪が真っ白になったと聞いた。
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叶わなかった夢、偽りの愛

叶わなかった夢、偽りの愛

まさか、生まれ変わっても、また間違った人を愛してしまった。 前世では、婚約者だった斉藤健一(さいとう けんいち)を選んだ。 けれど彼は、私の知らないところで偽物の令嬢、松本葵(まつもと あおい)と3年間も不倫し、子供までいた。 挙句の果てには、彼女のために私の両足を轢き、首席ダンサーの座まで奪った。 生まれ変わって、私は叔父の斉藤彰(さいとう あきら)と結婚することを選んだ。 これでもう前世の運命から逃れ、夢を実現できると思っていた。 しかし、首席ダンサーの選考を前に、またしても私は交通事故に遭ってしまった。 彰はそれを知り、街の大物たちを敵に回すことも厭わず、自ら葵を刑務所送りにした。 私は深く感動し、生まれ変わってからの選択は正しかったのだと勘違いした。 5年後、彰と息子の会話を聞くまでは―― 「パパ、葵おばさんが言ってたんだけど、パパがママに示談書にサインさせるために、ママと結婚したんだって。 もう葵おばさんが戻ってきたんだから、ママと離婚してくれない?葵おばさんにママになってほしいんだ」 彰はその言葉を聞き、私の信頼の眼差しを思い出した。そして、首を横に振って言った。 「そんなことしないよ。葵の証拠を隠滅し、新しい身分を与えて罪から逃れさせた時点で、もうすでにお前のお母さんには申し訳ないことをしたと思ってる。だから、一生かけて償うつもりだ。 彼女は、いつまでも俺の妻だ。これから、お母さんの前でそんなことは言うなよ。彼女が悲しむぞ」 体の痛みよりも、今、心が痛くて、痛くて...... 結局、5年間の結婚生活は陰謀だったのだ。 彰が愛していたのは、ずっと葵だけだった。私があんなに苦労して産んだ息子でさえも。 もういい。彰なんていらない。 息子もいらない。
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山村の風と愛しい日常

山村の風と愛しい日常

「俺が一番後悔しているのは……結空と結婚するって約束した後に、他に心惹かれる人に出会ってしまったことだ」 個室はしばらく静まり返っていたが、やがて友人の一人が口を開いた。「圭馬さん、なんでだよ。結空さんともう十二年も付き合ってるじゃないか」 「長すぎたからだ。長すぎて、結空への気持ちがただの慣れなのか、それとも愛情なのか、もう分からなくなってしまったんだ」 新井圭馬(あらい けいま)は酒を一口飲んだ。 「会社が倒産して一番どん底だった時、結空は俺を置いて勝手に出て行った。俺のそばにいてくれたのは美波だったんだ」
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私のために隠し子を「消した」夫は、結局――?

私のために隠し子を「消した」夫は、結局――?

五十嵐拓海(いからし たくみ)は、周囲から見れば、完璧な夫だった。 毎日決まった時間に帰宅し、出張先からは必ずビデオ通話で無事を知らせてくる。 飲み会に女性が同席すると分かれば、必ず事前に電話で私の了承を得る。 生理のたびに、彼は決まって温かい飲み物を用意してくれた。 しかし、彼の優しさが深ければ深いほど、私・音羽望央(おとは みお)はまるで刑期を過ごしている囚人のような気分になった。 五年前、結婚式当日。 彼の秘書が、臨月のように膨らんだ腹を抱えて私の前にひれ伏し、二人の仲を認めてほしいと懇願した。 拓海は彼女を引きずり出し、戻ってきた時には全身が血だらけで、私の前で震えていた。 「みお、俺が悪かった。もう縁を切った。あいつは二度と姿を見せない」 それから五年。 彼は確かに、浮気まがいの行為は一度もしていなかった。 むしろ欠点が見つからないほど完璧な夫で、そろそろ彼を許してもいいのだろうか。 そう自分に言い聞かせていた。 今日、一緒に食事に行こうと、彼の会社へ向かった。 ドアの向こうから、子どもの声が聞こえた。 「パパ、今日はママの誕生日だよ。帰ってお祝いしようよ」 「うん、そうしよう」 次の瞬間、手元のスマホが振動し、画面が明るくなった。 【みお、今夜は残業だ。遅くなる】 ドアの隙間から、そっくりな顔をした夫と男の子を見つめた。 ふと、五年前のことを思い出した。 あの女がひれ伏した時、その腹は今にも生まれそうなほど大きかった。 強く握りしめていた妊娠検査薬が床に落ちた。
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やり直し人生、今さら後悔されても遅い

やり直し人生、今さら後悔されても遅い

旦那の隼人と一緒に、年末に実家へ帰る途中だった。 ……そのはずが、事故に巻き込まれて、気がついたら――恋人になる前の時間に戻っていた。 前の人生では、七年間、彼と結婚していた。お互いに礼儀正しく、表面上は平穏な夫婦。でも、彼は最後まで一度も子どもを望んでくれなかった。 あとになって、私はやっと気づいた全部わかったのは、死んだあとだった。彼の心の中にはずっと「思い人」の影が残ってたんだ。 だから私は決めた。今回は、彼を解放してあげようって。 黙って連絡先を消して、距離を置いて、それぞれ違う道を選んだ。 ――そして、七年後。 彼は株の世界でトップに登りつめ、思い人の水瀬水無瀬さんと一緒に、同窓会で堂々と婚約を発表した。 私が一人でいるのを見ると、彼は皮肉を込めた笑みでこう言った。 「詩羽、俺のこと、二度の人生どっちでも一番愛してたって自覚してるけど……だからって、いつまでも俺のこと待ってなくていいんじゃない?」 私は何も言わずに、そっと息子の手を取った。 その瞬間、隼人の顔から血の気が引いた。目を真っ赤にして、私を睨みつけながら叫んだ。 「……お前、『一生一緒にいたい』って言ったよな?『俺のためだけに子どもを産む』って……言ったじゃないか!」
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愛と憎しみのすれ違い

愛と憎しみのすれ違い

2年間行方不明だった夫は、新しい恋人と新しい名前を手に入れて戻ってきた。 彼の記憶の中で、私は彼を不幸にした悪い女になっていた。 首を掴まれ、その目には憎悪が渦巻いている。 「よくも俺を探しに来られたな」 そして彼がすべてを思い出した時、許しを乞うために全世界に愛を宣言してきた。 でもそれはすべて、私を奈落の底に突き落とすためだった。
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