愛は、行き違いの果てに
私と夫の木村貞吾(きむら ていご)が帰国して最初に顔を合わせた場所は、役所の前だった。
彼はセダンのそばにもたれ、不機嫌そうに一本タバコに火をつけた。
「そこまでじゃないだろ。お前の親友と一度遊びに行っただけで、離婚するって?
それに、お前のためにプレゼントを選んでもらっただけだぞ。そんなに心が狭くていいのか?」
私は聞こえないふりをして、淡々と「中に入ろう」とだけ言った。
翌日の夜、私は貞吾が親友を抱き寄せ、冗談交じりに笑っているのを目にした。
「貞吾さん、美羽(みう)の友達とこんなことして、美羽は平気なの?」
貞吾は自信満々で、「あいつは俺をあんなに愛してるんだ。いずれ受け入れるさ」と言った。
彼が、私が別の人のためにウェディングドレスを着せているのを見て、ようやく気づいた。
私が望まないことに、どんなことがあっても妥協することはないのだ。