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ผู้เขียน: 七賀ごふん
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-06-29 10:12:32

この地は特別で、必ず同じ時刻に陽が沈む。一分一秒狂うこともなく空は薄紫に染まり、やがて灯りを際立たせる濃紺へ変わる。

昼とは違う活気が生まれ、橙色の灯りが店先に垂れ下がった。仕事を終えた大人達が酒を飲み交わす、ささやかな宴の時間が始まる。

「お! ノーデンス様、良かったら一緒にどうだい?」

屋台の前を通り過ぎた時、鉱山の歩荷の男性達に捕まった。隣国に商品を運搬する出稼ぎの青年達も一緒だ。どうも通り行く者皆に声を掛けて飲み会をしているらしい。既に席がいっぱいの為、ノーデンスは財布から金貨だけ取り出し、手前の青年に渡した。

「今日はちょっと疲れてて。また誘ってください」

「もちろん。美人がいると酒が進むもんなー」

どっと場に笑い声が響く。その時、まだあどけなさが残る青年が手を挙げた。

「そうだ、ノーデンス様。昨日ヨキート王国に行ったんだけど、第二王子に会いましたよ。大丈夫ですか?」

「大丈夫? 何がです?」

「え? いや、その……お子さんも一緒だったから、いつこっちに戻って来るのかな、って。ノーデンス様も寂しいと思いますよ、ってお伝えしたんですけど、彼はまだもど……んっ!」

その先を聞くことはできなかった。しどろもどろに話す彼の口を、周りの男達が手で塞いだからだ。中核にいた男が慌てて前に躍り出て、愛想のいい笑顔で弁解する。

「すみません、こいつ本当に何も分かってない世間知らずで……今言ってたことは忘れてください! 後でちゃんと、きっつー……く教えておきますんで!」

賑やかだった店先が静まり返った。誰も口を開くものがいない。一番に動いた者が殺されるのではないか、という謎の緊張感を放っていた。

心の中で深いため息をつく。

……結局、こういう事があるから嫌だったんだ。“アレ”に心を許したことが失敗だったのだと、嫌でも思い知らされるから。

努めて当たり障りのない笑顔を浮かべ、元気に答えた。

「……もう~、大丈夫ですよ。今までで一番仕事に打ち込めて、充実した日々を送れています。せっかくの飲み会なんですから、皆さんもっとたくさん飲んでください! それでは失礼します」

踵を返し、非常に静かになった一行を置いて城へ戻った。住宅街を抜け、城へ近付くほど喧騒は遠ざかる。

音が死ぬ。光が消える。星が輝く。

高台へ登って振り返ると、さっきまでいた城下町が玩具箱のようなサイズに見えた。地平線まで広がり、所々七色に輝いている。

そのずっと先にはシンボルにもなっている国境の大門。ランスタッドを出入りする者は必ず潜り抜ける場所。

現時点、よっぽどのことがなければこの国を出るつもりはない。あそこを抜ける時は、王を失脚させて城を自分のものにした時だ。

「ノーデンス様、お帰りなさいませ。今日も遅くまでお疲れ様です」

「ああ……おつかれ」

宮女達に出迎えられ、城の大広間を抜けた。ノーデンスの部屋は彼以外立ち入ることは許されていない。王族は例外だが、わざわざ自分に用があって来る者はいない。掃除も自分でしているし、ここしばらく誰も入れたことがなかった。

寝室やシャワールーム、空中庭園のほか食堂や書庫等充分過ぎる設備が備えられているが、今は手付かずで荒れ放題だ。かと言って部下を呼んで整理してもらうのは気が引ける。

自室に入り、身に付けているアクセサリーを全て外した。スーツも全て脱ぎ捨て、広過ぎるシャワールームに入る。何故かサークル上の空間に全方鏡張りとなっていて、どこからでも自分の姿が確認できる。最初は面白いと思ったが、今は酷い悪趣味にしか感じない。

ここでずっと独りの生活が続き……四……いや、五ヶ月目になる。振り返るとあっという間だった気もするし、とても遠い出来事のような気もする。少し前にここでがやがや騒いでいたのが嘘のような。

「……っ、ん……っ」

花で作った特製の石鹸を泡立てて、身体を洗っていく。しかし下半身に回った時、無意識に腰を浮かして後ろの小さな窪みに指を当てていた。

「はっ……あ、あぁ」

熱い。

胸も、息も、腰も……全てがぐちゃぐちゃに溶けてしまったような錯覚に陥る。ちゃんと原型を留めていることは鏡を見れば分かるのに、後ろから溢れる体液が冷静な思考を洗い流してしまう。

尻の奥の小さな穴が開きかかった瞬間、中指を潜り込ませた。久しぶりの感覚に、つま先から脳天まで電流が駆け巡った。

仰け反りそうになったところを何とか立て直し、床に膝をつく。まるで土下座しているような体勢で、腕だけは後ろに回していた。

「いっ、あ、あぁあっ……!」

指を激しく抜き差しすることでいやらしい音が浴室に響く。羞恥心で頭がおかしくなりそうだ。……いや、もうおかしくなってるか。ひとりでこんか痴態を晒し、喘いでいるのだから。

ペニスはがちがちに硬くなり、下腹部にぴったりとくっついている。触れてもいないのに、先端から透明なつゆを零していた。

最悪だ。今まであまり触らないようにしていたのが裏目に出たのか、久しぶりの刺激に身体は異常なほど昂ってしまっていた。

内腿がぶるぶると震えて、後ろはもっと強い刺激を求めている。苦しい。苦しいほどの快感に殴られて、悲痛な叫びを上げた。

男を抱く男と、男に抱かれる男。どうしてそんな分け方になったのだろう。子どもを産むのも男に抱かれるのも、女だけで良いのに。

この世界では男も子どもを産める。ただ全ての男が着床するわけではない。確率としては非常に低く、それも特別な精子を持つ男と交わった時しか成功しない。

男同士の結婚は一般化されたが、妊娠についてはまだ解明されていないことが多い。最悪命を落とす者もいるから、初めから子どもは作らないと決めている男性夫婦の方が圧倒的に多い。

それは至極真っ当な考えだと思う。死んだら元も子もないのだから、子孫繁栄は女に任せればいい。いざと言う時に強いのは女の方だったりするし、男は育児が上手くいかないと事件を起こす者が多いからだ。

いない方がいい……。

そう無理やり頭に刻みつけて奥歯を噛み締めた。一際強く、一番届く部分を指で擦ったとき、思考を支える大事な糸がぷつんと切れた。

「ああぁっ!」

生理的な涙と、精液なのか何なのか分からない液体が弾けた。もはや膝を立てていることもできず、床にうつ伏せで倒れる。ペニスが擦れたことで再び快感に呻き、無様に腰を痙攣させた。

こんな姿を誰かに見られたら屈辱で死ぬ。見た奴を殺して自分も死ぬ。

有能、沈着、穏当。全てを兼ね備えた自分からすれば、快楽に耽ってひとり遊びをするなんてとんでもないことだった。だが塗り替えられてしまったのも事実だった。セックスの気持ちよさを教えられるまでは、ひたすら仕事だけに打ち込めたのだから。

そう思うとやはり憎い。唾液を零しながら、瞼をそっと伏せた。

倦怠感で動けない。このまま寝たら絶対風邪ひくな……などと考えながら、意識は深い谷底に落ちていった。

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