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第71話 あなたを探していた

last update Veröffentlichungsdatum: 06.07.2026 12:47:11

「美羽ちゃん……帰ろう」

「……っ」

 拓真が美羽の手を会場の外へと引いていく。

 美羽は何か言おうとしていたけれど、澪を軽く睨むと拓真についていった。

 美羽と拓真が去ったあとも、展示会場には静かなざわめきが流れていた。

 けれど澪だけは、その音が遠く聞こえていた。

 胸の鼓動が、まだ落ち着かない。

「……」

 どうして私は、あんなことをしたんだろう。

 考えても答えは出ない。

 美羽が綾人へ近付いたその瞬間、身体が勝手に動いていた。嫌だと思った。美羽が、綾人さんに触れることが。でも、どうして……?

「……綾人さん」

 澪は少し申し訳なさそうに振り返った。

「さっきは、ごめんなさい」

 綾人は静かに澪を見る。

「急に間に入ったりして……」

 澪は困ったように俯いた。

「自分でも、どうしてあんなことをしたのか分からなくて……ご迷惑お掛けしました」

 そして小さく続ける。

「妹に、ただ紹介してって言われただけなのに……」

 しばらく沈黙が流れた。

 やがて綾人は、小さく首を横へ振る。

「謝る必要はない」

「でも……」

「俺は助かった」

 澪は思わず顔を上げる。

「それより、まだ教えてい
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  • 「君は俺の花だ」妹に婚約者を奪われた私を、冷徹華道家が溺愛して離してくれません   第6話 白い花

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  • 「君は俺の花だ」妹に婚約者を奪われた私を、冷徹華道家が溺愛して離してくれません   第5話 一体誰なの

    「こちらへどうぞ」 年配の女性に案内されながら、澪は何度も周囲を見回していた。 広い。とにかく広い。これを『普通の家』を称した綾人のことを思い出して、澪は苦笑いを浮かべるしかなかった。一体どんな風に生きていたら、これが『普通』という認識になるのだろうか。 磨き上げられた廊下はまるで旅館のようだ。屋敷のあちこちに飾られている生け花はどれも芸術作品のように美しかった。「すごい……」 居間として使われている部屋だろうか。その前を通りかかったとき、一際上品で、一際色鮮やかな花で彩られた生け花に、思わず声が漏れる。「ありがとうございます」 女性は嬉しそうに微笑んだ。「お花はどれも、綾人

  • 「君は俺の花だ」妹に婚約者を奪われた私を、冷徹華道家が溺愛して離してくれません   第4話 連れて帰る

     車のドアが静かに閉まる。外の雨音が遠くなった。 澪は膝の上で手を握る。 隣には、先程出会ったばかりの男性が、窓際に頬杖をついて流れる景色を見ている。 車内は驚くほど静かだった。 隣に座っているだけなのに緊張する。 けれど……なぜだろう。不思議と怖くはない。 むしろ……どこか居心地の良ささえ感じてしまっているような――。「……寒くないか」 不意に掛けられた言葉に、澪の肩がびくりと跳ねた。「は、はいっ」 思わず声が裏返る。「全然、寒くないです」「それならいい」 「じ……神宮寺さんは、」 寒くないですか、と言いかけた言葉は、「綾人」 と短い声に遮られた。「え?」

  • 「君は俺の花だ」妹に婚約者を奪われた私を、冷徹華道家が溺愛して離してくれません   第3話 触るな

    「……澪?」 聞き慣れた声だった。 その瞬間、澪の体は強張る。 振り返った先には、息を切らせた拓真が立っていた。 雨に濡れた髪。 乱れた呼吸。 まるで必死に追いかけてきたみたいだった。「澪……!」 澪の姿を見て、安堵したように表情を緩めた拓真が、一歩近づいてくる。 けれど澪は思わず一歩足を後ろに引いた。 その仕草に、拓真の顔が傷付いたように歪む。「待ってくれ。話を聞いてほしい」「……」「誤解なんだ」 その言葉に、澪は思わず顔を上げた。 誤解。 その言葉が胸に刺さる。 だって澪は見たのだ。確実に。この目で。 ホテルの前で。 拓真が美羽に口づける姿を。「誤

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