LOGINそれから二週間、蓮からの連絡は途絶えなかった。毎日ではないが、二、三日に一度、彼から短いメッセージが届いた。
『今日は良い天気ですね。花日和です』 『面白い本を見つけました。今度貸しますね』 『週末、時間がありますか?』
弥生は最初、どう返信していいかわからなかった。でも、次第に自然に返せるようになっていった。
ある土曜日、蓮は弥生を都内の植物園に誘った。
「ここの温室は、世界中の珍しい植物が見られるんです」
蓮は楽しそうに説明した。弥生は彼のその様子が意外で、少し微笑ましかった。ビジネスの世界で生きる冷静な経営者が、植物を前にすると少年のように目を輝かせる。
温室の中は、外の春とは違う、熱帯の空気が満ちていた。色とりどりの蘭、巨大な葉を持つモンステラ、天井近くまで伸びるヤシの木。
「これ、見てください」
蓮が指差したのは、深紅の花を咲かせた植物だった。
「アンスリウム。花言葉は『煩悩』『恋にもだえる心』」
弥生は驚いて蓮を見た。
「花言葉、知ってるんですか?」
「少しだけ。母から教わりました」
蓮は花に近づいた。
「でも、橘さんほど詳しくはありません。いつか、もっと教えてほしい」
弥生は頬が熱くなるのを感じた。
温室を出ると、外の庭園を散策した。桜は既に散り、新緑の季節が始まっていた。
「あ、あそこ」
弥生が指差したのは、青い小さな花が群生している場所だった。
「ネモフィラです。花言葉は『どこでも成功』『可憐』」
弥生は花の前に膝をついた。
「この花、好きなんです。小さくて、でも一生懸命咲いてる」
蓮は弥生の隣にしゃがんだ。
「あなたに似ていますね」
「え……?」
「小さく見えるけど、一生懸命で、そして美しい」
弥生は蓮を見た。彼の目は真剣だった。
「蓮さん……」
「考えてくれましたか? 僕のプロジェクトのこと」
弥生は深呼吸をした。この二週間、ずっと考えていた。怖い。失敗するかもしれない。また誰かを失望させるかもしれない。でも――
「やってみたいです」
その言葉が口から出た瞬間、弥生は自分でも驚いた。
「でも、自信はありません。失敗するかもしれません」
「失敗してもいいんです」
蓮は立ち上がり、弥生に手を差し伸べた。
「大切なのは、挑戦すること。そして、僕が一緒にいます」
弥生はその手を取った。温かかった。
その日から、弥生の生活は変わり始めた。蓮の会社の一角に、小さなオフィススペースが用意された。「花のある暮らしプロジェクト」という名前だった。
最初は、弥生一人だった。白い壁、空のデスク、そして窓から差し込む光。
「まず、どんな花を届けたいか、考えてみてください」
蓮は弥生に、何も指示を出さなかった。
「自由に。あなたの感性を信じてください」
弥生は、五年ぶりにフラワーデザインに向き合った。最初は手が震えた。色の組み合わせを考えても、自信が持てない。これでいいのだろうか。これは美しいのだろうか。
でも、蓮は週に一度、必ず様子を見に来た。
「この組み合わせ、いいですね。黄色と白が、希望を感じさせる」
「このグリーンの使い方、勉強になります」
彼の言葉が、少しずつ弥生の自信を育てていった。
一ヶ月後、最初の配達先が決まった。都内の小児病院。
「子供たちが喜ぶ花を」
弥生は悩んだ。子供たち。病気と闘っている子供たち。何が彼らを笑顔にするだろう。
弥生は、明るい色の花を選んだ。黄色のガーベラ、オレンジのチューリップ、ピンクのカーネーション。そして、小さなヒマワリ。花言葉は「あなたを見つめる」「憧れ」。
配達の日、弥生は病院を訪れた。蓮も一緒だった。
小児病棟のプレイルームに花を飾ると、子供たちが集まってきた。
「わあ、きれい!」
「ヒマワリだ!」
子供たちの笑顔を見て、弥生の胸が熱くなった。五年前に感じていた喜び。花を通じて、誰かを幸せにする喜び。
「お姉ちゃん、この花作ったの?」
小さな女の子が聞いた。
「うん。みんなが元気になるように、一生懸命選んだの」
「ありがとう。すごく嬉しい」
女の子は花に顔を近づけて、深く息を吸った。
「いい匂い。お花って、元気をくれるんだね」
弥生は涙をこらえるのに必死だった。
病院を出ると、蓮が言った。
「見ましたか? あなたの才能を」
「才能なんて……」
「あの子供たちの笑顔が、答えです」
蓮は弥生の肩を抱いた。
「橘さん、あなたは素晴らしい仕事をしています」
その夜、蓮は弥生を食事に誘った。高級レストランではなく、小さなイタリアンレストラン。
「ここのパスタが絶品なんです」
蓮は慣れた様子で席に着いた。
「よく来るんですか?」
「時々。一人で考え事をしたい時に」
ワインが運ばれてきた。弥生はあまりお酒を飲まないが、今日は少しだけ飲みたい気分だった。
「乾杯」
蓮がグラスを掲げた。
「あなたの新しい門出に」
弥生も自分のグラスを掲げた。グラスがぶつかる、澄んだ音。
「ねえ、橘さん」
「はい?」
「少しずつ、自分を信じられるようになってきましたか?」
弥生は考えた。確かに、以前よりは――
「少しだけ……。でも、まだ怖いです」
「怖いのは当然です。新しいことに挑戦しているんですから」
蓮はワインを一口飲んだ。
「でも、怖がりながらも前に進んでいる。それが大切なんです」
食事の間、二人は色々な話をした。蓮の仕事のこと。彼が会社を継いだ時の不安。母親の思い出。弥生の子供時代。祖母との記憶。
「祖母は、花を生けながらよく歌っていました」
弥生は微笑んだ。
「古い童謡とか、唱歌とか。私も一緒に歌ったりして」
「幸せな記憶ですね」
「はい。祖母が亡くなってから、ずっとそういう記憶を封印していました。思い出すと、悲しくなるから」
「でも、今は?」
「今は……温かい気持ちになれます」
弥生は蓮を見た。
「蓮さんのおかげです」
蓮は何も言わず、ただ微笑んだ。
レストランを出ると、夜の風が心地よかった。
「送ります」
「いえ、大丈夫です。タクシーで……」
「一緒に歩きましょう。少しだけ」
二人は並んで、夜の街を歩いた。ビルの明かり、車の流れ、人々の笑い声。都会の喧騒の中で、二人だけの静かな時間が流れていた。
「橘さん」
蓮が立ち止まった。
「僕は、あなたのことが好きです」
弥生の心臓が止まりそうになった。
「好き……?」
「ええ。最初に会った時から、ずっと」
蓮の目を見ると、そこには迷いがなかった。
「でも、急ぎません。あなたのペースで。ただ、僕の気持ちは知っておいてほしかった」
弥生は言葉が出なかった。この人は、自分のことが好きだと言っている。なぜ? 自分のような人間を?
「返事はいりません。今は、ただ一緒に仕事を楽しみましょう」
蓮は歩き始めた。弥生も慌てて後を追った。
その夜、家に帰った弥生は、鏡の前に立った。そこに映る自分は、以前と同じ顔。でも、何かが違う気がした。
頬に、少しだけ血色が戻っている。目に、小さな光が宿っている。
蓮の言葉が、頭の中で繰り返される。
『好きです』
その言葉の重さが、じわじわと胸に染み込んでくる。
弥生は、自分の頬に手を当てた。温かい。生きている。そして――
もしかしたら、愛されているのかもしれない。
その可能性が、怖くて、でも同時に、とても嬉しかった。
東京に戻った弥生は、新たな気持ちで仕事に向き合った。大手企業の装飾プロジェクトのデザインを、もう一度見直した。「これで行こう」 弥生は自分のデザインを信じることにした。完璧ではないかもしれない。でも、これが今の自分の最高の表現だ。 プレゼンテーションの日、弥生は緊張していたが、逃げなかった。「四季をテーマにした装飾を提案します」 弥生は資料を開いた。「春は桜とチューリップで再生と希望を。夏はヒマワリとラベンダーで活力と落ち着きを。秋はコスモスと紅葉で調和を。冬は白い薔薇と松で清浄と永続を表現します」 クライアントの担当者たちが、じっと資料を見ている。弥生の心臓が激しく打つ。「それぞれの季節に、花言葉の意味を込めました。このビルで働く人々、そしてここを訪れる全ての人に、花が持つメッセージを届けたいと思います」 沈黙が流れた。長い、長い沈黙。「素晴らしい」 担当者の一人が言った。「この企画、採用させていただきます」 弥生は信じられなかった。本当に?「特に、花言葉を取り入れたコンセプトが良いですね。単なる装飾ではなく、意味のある空間を作る。これは、我々が求めていたものです」 会議室を出ると、蓮が廊下で待っていた。「どうでしたか?」「採用されました……」 弥生は震える声で言った。「本当に、採用されたんです!」「おめでとうございます」 蓮は弥生を抱きしめた。「あなたは、やり遂げました」 弥生の目から涙が溢れた。でも、それは悲しみの涙ではなかった。喜びの涙。達成感の涙。 そして、初めて自分を認められた涙だった。 それから三ヶ月。プロジェクトは順調に進んだ。弥生は、フラワーアレンジメントの専門家たちと協力して、ビルのエントランスに四季の装飾を完成させた。 完成記念のセレモニーの日、多くの人々が集まった。報道関
週末、弥生と蓮は新幹線で弥生の実家がある信州へ向かった。車窓から見える景色が、都会から田園へと変わっていく。「久しぶりですか? 実家に帰るの」「はい。三年ぶりです……」 弥生は答えた。両親とは仲が悪いわけではない。ただ、自分の失敗した姿を見せたくなくて、距離を置いていた。「ご両親、驚くでしょうね」「はい……連絡はしましたが、蓮さんのことは詳しく話していないので……」 駅に着くと、母親が迎えに来ていた。五十代後半の、優しそうな女性。弥生の面影がある。「弥生、久しぶりね」「お母さん……」 母親は蓮を見て、少し驚いた表情を見せた。「こちらは……?」「神宮寺蓮と申します。弥生さんの会社の者です」 蓮は丁寧に頭を下げた。「まあ、わざわざ……」 母親は戸惑いながらも、二人を車に乗せた。 実家は、山に囲まれた小さな一軒家だった。庭には、色とりどりの花が咲いている。「お母さん、庭の花、綺麗ですね」「ああ、これはね。あなたのおばあちゃんが植えたものよ。毎年咲くの」 弥生は庭を見渡した。スイートピー、パンジー、マリーゴールド。祖母が好きだった花ばかり。「すばらしい庭ですね」 蓮も庭を見ていた。「この花の配置、とても計算されています。色のバランス、高さの変化、季節の移り変わりを考慮している」「まあ、よくわかりましたね」 母親は感心した。「おばあちゃんは本当に花が好きで。弥生も、小さい頃からずっと手伝っていたのよ」 家の中に入ると、仏壇があった。祖母の写真が飾られている。笑顔の、優しい顔。 弥生は仏壇の前に座り、手を合わせた。蓮も隣で手を合わせた。「おばあちゃん……
パーティーから一週間、弥生は蓮からの連絡にうまく返事ができなくなっていた。会社には行く。仕事はする。でも、蓮と顔を合わせるのが怖かった。「橘さん、少し話せますか?」 金曜日の夕方、蓮がオフィスにやってきた。弥生は逃げられないと悟った。「はい……」 二人は会議室に入った。夕日が窓から差し込んでいる。「あの日から、避けていますね」 蓮は単刀直入に言った。「そんなことは……」「嘘をつかないでください。あなたの目を見ればわかります」 弥生は俯いた。「堀江さんの言葉を、まだ気にしているんですか?」「……はい」 正直に答えた。もう、嘘はつけない。「彼女の言うことが、正しいような気がするんです」「どういう意味ですか?」「私は、蓮さんには相応しくない。違う世界の人間です。いつか、蓮さんの足を引っ張ってしまう」 蓮は深く息を吐いた。「橘さん、質問してもいいですか?」「はい……」「あなたは、自分に価値がないと本当に思っていますか?」 弥生は答えられなかった。「僕が見ている橘弥生は、花を愛し、人を思いやり、真摯に仕事に向き合う女性です。でも、あなた自身は、そんな自分が見えていない」 蓮は弥生の手を取った。「それが、一番もどかしい」「蓮さん……」「時間が必要なら、いくらでも待ちます。でも、一つだけ約束してください」「何ですか……?」「自分を否定しないでください。少なくとも、僕の前では」 弥生は涙が溢れるのを堪えた。 その夜、弥生は一人で考え込んだ。蓮の言葉。堀江の言葉。どちらを信じればいいのか。 翌週、プロジェクトに大きな動きがあった。大手企業か
プロジェクトが軌道に乗り始めた頃、蓮は弥生を自分の主催するパーティーに誘った。「今度は、ゲストとしてです」 蓮は微笑んだ。「あなたにドレスを着てほしい」 弥生は戸惑った。ドレス? そんな高価なもの、持っていない。「選びに行きましょう。一緒に」 週末、蓮は弥生を銀座のブティックに連れて行った。店内には、煌びやかなドレスが並んでいる。値札を見て、弥生は目を疑った。一着で、自分の月給の数倍する。「これなんか、どうですか?」 店員が薄いブルーのドレスを持ってきた。シンプルだが、上品なデザイン。「試着してみてください」 蓮に促され、弥生は試着室に入った。 ドレスを身につけて鏡を見た瞬間、弥生は息を呑んだ。そこに映っているのは、自分? ブルーの生地が肌に柔らかく添い、体のラインを美しく見せている。髪をアップにすると、首筋が見える。「橘さん、見せてください」 蓮の声に、弥生は恐る恐るカーテンを開けた。 蓮は、数秒間黙って弥生を見つめた。「……美しい」 彼の声は、いつもより低かった。「本当に、美しいです」 弥生は顔が熱くなるのを感じた。「で、でも、高すぎます。こんなの、私には……」「プレゼントさせてください」「だめです! そんな高価なもの……」「では、プロジェクトの制服ということで」 蓮は笑った。「これから色々なイベントに出る機会があります。その時に着てください」 弥生は迷ったが、結局受け入れた。蓮の真剣な眼差しを、断ることができなかった。 パーティーの日。弥生は美容院で髪をセットしてもらい、メイクもプロに任せた。全てが初めての体験だった。 会場に到着すると、そこは前回のパーティーとは比べものにならないくらい豪華だった。シャンデリアの光、生
それから二週間、蓮からの連絡は途絶えなかった。毎日ではないが、二、三日に一度、彼から短いメッセージが届いた。『今日は良い天気ですね。花日和です』 『面白い本を見つけました。今度貸しますね』 『週末、時間がありますか?』 弥生は最初、どう返信していいかわからなかった。でも、次第に自然に返せるようになっていった。 ある土曜日、蓮は弥生を都内の植物園に誘った。「ここの温室は、世界中の珍しい植物が見られるんです」 蓮は楽しそうに説明した。弥生は彼のその様子が意外で、少し微笑ましかった。ビジネスの世界で生きる冷静な経営者が、植物を前にすると少年のように目を輝かせる。 温室の中は、外の春とは違う、熱帯の空気が満ちていた。色とりどりの蘭、巨大な葉を持つモンステラ、天井近くまで伸びるヤシの木。「これ、見てください」 蓮が指差したのは、深紅の花を咲かせた植物だった。「アンスリウム。花言葉は『煩悩』『恋にもだえる心』」 弥生は驚いて蓮を見た。「花言葉、知ってるんですか?」「少しだけ。母から教わりました」 蓮は花に近づいた。「でも、橘さんほど詳しくはありません。いつか、もっと教えてほしい」 弥生は頬が熱くなるのを感じた。 温室を出ると、外の庭園を散策した。桜は既に散り、新緑の季節が始まっていた。「あ、あそこ」 弥生が指差したのは、青い小さな花が群生している場所だった。「ネモフィラです。花言葉は『どこでも成功』『可憐』」 弥生は花の前に膝をついた。「この花、好きなんです。小さくて、でも一生懸命咲いてる」 蓮は弥生の隣にしゃがんだ。「あなたに似ていますね」「え……?」「小さく見えるけど、一生懸命で、そして美しい」 弥生は蓮を見た。彼の目は真剣だった。「蓮さん……」「考えてくれましたか? 僕
それから三日後、弥生の携帯電話に見知らぬ番号からメッセージが届いた。『橘さん、神宮寺です。今週末、お時間はありますか?』 弥生は画面を何度も見返した。本当に神宮寺蓮からのメッセージ? でも、自分の連絡先をどうやって知ったのだろう。そう思ってから、はっとした。派遣会社を通じて調べれば、簡単にわかることだった。 指が震えながら、返信を打つ。消して、また打つ。何度も繰り返した末、ようやく送信した。『はい、大丈夫です』 短い返信。でも、これ以上何を書けばいいのかわからなかった。 すぐに返事が来た。『では、土曜日の午後一時、青山のカフェ「ラ・リュミエール」でお待ちしています。住所を送ります』 弥生は深呼吸をした。本当に会うのだ。神宮寺蓮と。 土曜日の朝、弥生はクローゼットの前で途方に暮れていた。何を着ていけばいいのだろう。手持ちの服は、どれも地味で色あせている。セレブが集まるような場所に着ていける服なんて持っていない。 結局、一番無難な白いブラウスと紺色のスカートを選んだ。鏡を見る。やはり地味だ。でも、これが自分だ。背伸びしても仕方がない。 カフェ「ラ・リュミエール」は、青山の閑静な通りにある瀟洒な建物だった。外観は古いヨーロッパの邸宅を思わせる造りで、入口にはアイビーが這い、季節の花々が植えられた花壇が美しかった。 弥生は入口の前で立ち止まった。足が動かない。こんな場所、自分が入っていいのだろうか。「橘さん」 振り返ると、カジュアルな白いシャツとジーンズを着た蓮が立っていた。スーツ姿とは違う印象だったが、その佇まいは変わらず洗練されていた。「あ、神宮寺さん……」「『蓮』と呼んでください。『さん』もいりません」 蓮は微笑んで、カフェのドアを開けた。「さあ、入りましょう」 店内は落ち着いた雰囲気だった。アンティークの家具、壁一面に飾られた絵画、そして柔らかな光を放つシャンデリア。客は数組しかおらず、静かなクラシック音楽が流れている。 窓際の席に案内されると、蓮はメニューを弥生に渡した。「好きなものを頼んでください」 弥生はメニューを開いて、価格に目を奪われた。一杯のコーヒーが二千円近くする。軽食も三千円以上。これは――「あの、私……」「気にしないでください。今日は僕が誘ったんですから」 蓮の言葉に、弥生は小さく頷いた。結局、