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第五十五話

Author: 水沼早紀
last update publish date: 2026-01-29 10:02:31

「……先生、親父は、あとどのくらい生きられますか?」

棗さんが震えた声でそう先生に問いかけると、先生は一言こう言った。

「もって……ニヶ月くらい、でしょうか」

「ニヶ月……?」

そんな……。お父様の余命は、あとニヶ月……?

お父様のあの時の笑っていた顔が、忘れられない。 あの時、嬉しそうに笑っていたあのお父様の笑顔が、もう見れなくなるかもしれないなんて……。

そう思うと、私は涙が止まらなかった……。

「治療をするにはどうしても限界があります。薬を投与して治療したとしても、完全に治るわけではありません。……もちろん薬を使うことで得られる効果には、人それぞれ差が出ます。 髪の毛が抜けたり、頭痛だったり、副作用も出ますし。もっと重い人は吐き気や痙攣なども伴います。……ご年齢を考えると、やはりそう言ったリスクが高くなりますので」

「……じゃあ病院は、このまま何もしない方がいいってことですか?」

棗さんの表情は、今にも泣きそうになっていた。

「いえ。もちろん、ご家族が望むのなら、私たちは患者さんやご家族の意見に寄り添い治療をしていくつもりです。……ですがかなりのリスクになりますので、ご家族でよ
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