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第二十六話「病院で」

Author: 北野塩梅
last update Huling Na-update: 2025-07-30 11:00:50

第二十六話「病院で」

     ※ ※ ※ ※ ※

 三峯神社に宿泊したときに、清香が宿坊の二階から飛び降り救急車で病院に搬送された。父に連絡して、迎えに来てもらいたいと伝えた。

ケイタは、たった一人で押しつぶされそうな不安で、いっぱいだった。

 清香を壊そうとして、ケイタが言った言葉を、思い返す。

「どう? お母さんが望んだ『神様からのメッセージ』は? きちんと受け取ってね」

 あの時の清香への感情は、憎しみだった。

 いくら求めても、清香からの愛情なんて、ケイタには返ってこない。それなのにケイタはまだ、清香に母としての、自分への愛情を期待している。

 清香からの『バケモノ』という罵倒も、甘んじて受けよう。あのときの、清香のケイタを見る目は、血のつながった息子を見る目ではなかった。異常にぎらついた目で、ケイタを恐れていた。

「ぼくは『バケモノ』だ。お母さんを追い詰める。でもその『バケモノ』を作ったのはお母さんだよ」

 一人、明かりの制限された薄暗い病院の廊下で、父を待つ時間、そんな独り言が出た。誰も答えてはくれない。いつも一人だ。とても孤独で苦しい。

「不安だったら、いつでも連絡してこいよ」

 大地の声がよぎった。まだ……颯太と大地は、起きているだろうか?

 アプリをタップして、大地に通話を試みる。だが出ない。たぶんもう、眠っている時間だ。颯太にもかける。祈るような気持ちで。出てくれ。誰かに話さないと、現実から逸脱してしまいそうだった。祈る。まだ正気でいたい。

 眠そうな声で颯太が出てくれた。

「どうしたの?」

 声を聞いただけで、胸の中にあった冷たい感情が溶けていくように、涙がこぼれて止まらない。表現しようのない思いが、堰を切ったように溢れてくる。

「泣いているの?」

 嗚咽を堪えているケイタに、そっと寄り添うように颯太が向こう側で、呟く。そこからしばらく言葉にならずに、ケイタは、押し殺した声で泣き続けた。

 真夜中の通話にも関わらず、ケイタが事情を話せるようになるまで、辛抱強く颯太が待っていてくれた。

「いま、病院にいる」

「うん」

「お母さんが、三峯神社の宿坊から」

「うん」

「ぼくの言った言葉が原因で」

「うん」

「最後にお母さんがぼくを『バケモノ』って言って、飛び降りた」

 颯太が向こう側で、息を吞んだ音が聞こえる。

「ぼくがそう仕向けたんだ」

 ケイタは鼻をすすりながら、なんとか言葉にした。少し颯太が、考えたように間があいて

「例えケイタがそう仕向けなくても、いずれこの先、別の形でケイタのお母さんは、破滅していたと思うよ」

 静かに颯太が答える。

「早い段階で、ケイタが区切りをつけてあげたと思えばいいんじゃないかな」

 颯太が向こう側で、続けて何かを話そうとしている途中で、ケイタの父が病院の廊下に現れた。父は息つく暇も与えずに開口するなり

「何をやってくれてるんだ! こんな大騒ぎを起こして! 自分のケツは自分で拭け!」

 とケイタを怒鳴りつけてきた。

 それを通話で、こちらの音を拾ったのか

「お父さん、来たの? ちょっとスピーカーに切り替えてくれない?」

 颯太が感情を抑えた声で告げてきたので、スマホの通話をスピーカーにする。

「ケイタのお父さんですか? ケイタにお母さんをおしつけていたくせに、いままで何をしていたんですか? ケイタはずっとお母さんの面倒を全部みてきたんですよ。あなたは自分だけ厄介なことから逃げられて良かったですね。ケイタはケイタで精一杯やりました。こんなことになった原因はケイタのお母さんを放置していたあなたにもある。大人なのに、責任を感じないんですか?」

 一気に畳みかけるように颯太が言葉の弾丸を撃つ。スピーカーから颯太が話に割り込んできたことに、ケイタの父が顔をしかめる。

「誰だ、君は」

「ケイタの友達です」

「子供が他人のことに口出ししてくるな」

「じゃあ、うちの親をこれから起こしてくるので、大人同士で、誰が、誰のケツを拭かなければならないのか、はっきりさせましょうか」

「なんだと?」

ケイタの父が語気を強める。颯太はお構いなしに言った。

「ケイタ、いま、どこの病院? うちの親と行くから、教えて」

「秩父市内の救急病院」

 感情の波が滅茶苦茶にケイタを飲み込む。声を震わせながら颯太に、伝えた。

「わかった、すぐに行くから。待っていて」

 颯太が通話を切った。

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