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30. 社長≪Muscle/President≫

Author: Mr.Z
last update Last Updated: 2025-09-16 22:53:01
 結局、最後までモアにマッサージチェアを奪われてしまった。

 まぁ、好きなだけ使っていいよと言った俺が悪いんだけど。

 だって、わざわざ来てくれた後輩の女の子に、代わってくれなんて言うのもあれだろ⋯⋯。

 ってか、モア寝てる⋯⋯?

「モア、そろそろリビング行くぞ。エンナ先輩のお父さんが来る」

「⋯⋯はぇ? あたし、寝てました!?」

「寝てたな。それだけ疲れてたんだろ」

「ザイ先輩に代わろう代わろうって思ってたらいつの間にか⋯⋯。えへへ」

 なんだその男が絶対許してくれそうな顔は。

 ギャル天使じゃなくて、ギャル悪魔の方なのか?

 そういや、今まで後輩の女の子と接する事ってほとんど無かったが、いざ出来たらこんな感じなのかな。

 うーん、モアが特別な気もしてきた。

 ⋯⋯とりあえず、後でエンナ先輩に頼んで、また後で使わせて貰えるか聞いてみようか

「あたしから先に戻りますね、トイレに行くって言って来ましたから。結構な長いトイレになっちゃいましたけど、家をちょっと見学してたとか言えばいいですかね?」

「それでいいんじゃないか、こんな滅多に無い豪邸なんだしさ」

「ですね。それに、一緒に戻っちゃうと、また先輩がぐちぐち言われちゃいますもんね」

「ダルいからな、特にケンが」

「(私は言われる方が嬉しいですけど⋯⋯)」

 今、小声で何か言っていたような?

 それより、なにかと無防備だよなモアって。

 大会ではあんなに派手に活躍するのに、俺の前では普通に寝たり、クソ短いタイト系のスカートで対面に座ったり⋯⋯。

 あんな事してたら、他の男だと何されるか分からないぞ、後でひっそりと注意しとこうか。

 ⋯⋯さて、そろそろ俺も戻っていい頃だな。

 一人リビング前へと戻ると、自動ドアが開いた瞬間、"エンナ先輩の父親らしき人?の背中"が目に入った。

「師斎社長、お久しぶりです」

「お、おぉ、久しぶりだなぁ喜志可くん。また背が伸びたんじゃないか?」

「どうですかね。自分ではあまり気付かないですが」

「ははは。少しガタイも良くなって、前よりがっちりしているよ。相当なトレーニングをしているのが分かるぞ」

「いえいえ、そんな社長ほど大したものでは⋯⋯」

「また落ち着いたらジムへ行こうじゃないか! ははは!」

「あはは⋯⋯」

 この人とジム行
Mr.Z

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