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第1060話

Auteur: 栄子
「池田咲玖......」音々は眉をひそめた。「他に何か分かったの?」

「亡くなって32年も経つのに、まだ番号が使われているなんて、おかしいですわ。同姓同名の人かもしれません。もう一度調べてみますね」

「ああ、よく調べて。細心の注意を払って」

「わかりました」

電話を切ると、音々はスマホを置いて、洗面所に入って顔を洗った。

わざわざ自分に電話をかけてきて、あの歌を知っているなんて......きっと自分の出生の秘密を知っている人物だわ。

知っているだけじゃない。自分が孤児になったことにも、関わっているかもしれない。

音々は顔を上げて、鏡に映る自分を見つめた。

水滴が頬を伝い、洗面台に落ちていた。

実は、音々も自分の出生の秘密を調べたことがなかったわけじゃない。でも、孤児院に預けられたのは、まだ6歳の時だった。院長は、警察に保護されてきたと教えてくれた。

孤児院に来る前は、親切な人に保護されて南城市の警察署に連れて行かれたらしい。その時、高熱を出していて、意識がもうろうとしていた。警察官は病院に連れて行ってくれたけど、熱が下がって目を覚ました時には、記憶喪失になっていた。
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