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第四段階へ

ผู้เขียน: 兎騎かなで
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-04 18:01:45

 丘の上はびゅうびゅうと大風が吹いていた。まだ日も高いのに、ずいぶんと風が吹き荒れている。まるでカエンの心の内を表しているかのようだ。

 丘を下ると風の勢いはいくらかましになり、カエンの青褪めた顔に血の色が戻りはじめる。

「本当に気分が悪そうだけど、大丈夫?」

「大丈夫だ、だいぶましになってきた」

 カエンは無理して笑ってみせた。そういう笑顔はあんまり好きじゃない。

 丘を降りる途中、大きな木の影で一度休憩をとることになった。僕のお腹が空腹を訴えたせいだ。

 お腹が鳴ったのを聞くと、カエンはハッと気を取りなおしたみたいだった。昼食を食べようと提案して、テキパキと用意をしはじめる。

「悪かったな、腹が減ってたのに気づかなくて。たんと食えよ」

「ありがとう、いただきます」

 バケットサンドにはソーセージとチーズ、それからレタスが挟まっている。僕好みの味つけのそれを味わって食べた。

「おいし……」

「拓海はよく俺の作る飯を褒めてくれるよな。そういうとこ好き」

「僕もカエンが好きだよ」

「……え? っ本当か!?」

 バッとカエンが勢いよく立ち上がった。あれ、伝えたことなかったんだっけ、そういえば。

「好きだよ」

「本気で? 俺のことが?」

「好き好き。本気」

「言い方が軽いな!? でも、嬉しい……っ!」

 カエンはバケットサンドをカゴに戻すと、僕の食事を邪魔しないように、背中側からそっと抱きついた。

 ご飯が終わるまで待てなかったんだな、ちょっとかわいい。

「ひっついてないでご飯を食べなよ」

「ちょっと待って、今、めちゃくちゃ感動してるから……拓海が俺のこと好きとか、うわ、破壊力ヤバいな。うっわどうしよ、俺はどうすればいいんだ! うひゃーっ」

 耳元で奇声をあげてるヤツのことは放っておいて、僕はバケットサンドを平らげた。それにしてもおいしいな。もう一個くらい食べれそう。

 カゴの中に残っているカエンの分の昼食が目につく。

「食べないならそれちょうだい?」

「いいぜ。俺、今は胸が一杯で……ああ、拓海っ! 俺も大好きだっ!!」

 そんなに大袈裟に感動するほどのことなのか。記憶のある頃の僕はカエンと恋人同士だったと思っていたけれど、どうやら違いそうだ。

 カエンに抱きつかれるのは少々暑苦しいが、悪い気分じゃなかった。むしろ好きだ。胸の奥がくすぐったい。

 カエンにひっつかれながら食べる好物は、いつもより美味しかった。幸せってこういうことを言うのかも。

 なんかもう……記憶のことは気になるけれど、思い出すことでカエンが苦しむなら、このままでもいい気すらしてきた。

 それよりも今は、カエンとキスがしたいし、抱きしめ返したいし、一つになって繋がりたい。

「ねえ、カエン。好きだよ」

「ぐはっ! かわ、かわいすぎる」

「だからさ、最後までカエンとしたい……」

 後ろを振り向き、カエンの胸に甘えるように抱き返した。

 カエンはちょっとの間固まっていたけれど、やがてぎこちなく僕から顔を逸らした。

「俺も……拓海をちゃんと抱きたいって気持ちは、正直めっちゃある。だけど抱いたら、拓海がどこかに行ってしまいそうで……怖いんだ」

 カエンはギュッと俺の背を抱く腕に力を込めた。

「どこにも行かないよ。カエンがここにいてほしいって言うなら、ずっとここにいる」

「でも……ごめん、俺は意気地無しだ。どうしても、怖い……だって拓海は……」

 カエンはそれ以上言葉が続かないようで、それきり黙ったまま僕を抱きしめていた。

 その日の夜はなにもせず、ただ抱きしめあいながら互いの手を握り、夜遅くまで話をした。

「拓海が俺を好きになってくれるなんて、思ってもみなかったから、本当にすごく嬉しいよ」

「なんで? カエンは顔もいいし性格だって優しいし、誰だって君のことを好きになるんじゃない?」

「そうか? へへっ、他の人に好かれるかどうかはどうでもいいけど、拓海に好かれてるってのが一番嬉しい」

 カエンは夢見心地といった様子で、僕の指先をそっとなぞった。

「爪、伸びてきたな。また今度切ってやるよ」

「そのくらい自分でできる」

「いや、今のは言い方を間違えた。拓海のことは全部俺がやりたいから、やらせて」

「そんなの、僕がなにもできなくなるじゃないか」

「いいじゃん、なにもできなくたって俺がなんでもするし。拓海のためなら俺、なんでもできるから」

 浮かれきっているカエンは、シーツの中でもぞもぞと忙しなく足を動かした。僕の足に自身の足を絡めると、ようやく動きが落ち着く。

「じゃあ、僕の爪を切ってもらうお返しに、カエンの爪を切らせてよ」

「俺? 俺の爪は伸びないからなあ……どうしても伸ばしてほしいっていうならやるけど」

 ……いよいよカエン人外説が濃厚になってきた。いや、薄々わかってはいたことだけど。本人の口からハッキリ聞くと衝撃を受ける。

「カエンって、爪が伸びないのか……」

「そうだ。やっぱおかしいか? でもな……あんまり無駄遣いしたくなくてさ」

「なにを?」

「えーと、エネルギー?」

「エネルギーってなに」

「うーん、説明するのが難しいな……」

 カエンがあまりにもうんうん唸って悩んでいるので、僕は助け舟を出さずにはいられなかった。

「いいよ、どうしても爪切りがやりたいわけじゃないから」

「そうか? なあ俺、拓海とやりたいことがたっくさんあるんだ……」

 カエンの願いはたわいもないものばかりだった。

 森の中を手を繋ぎながら散策したり、川でくっついて泳いだり、また僕に絵を描いてほしいといったような、いつでもできそうなことばかりだ。

 かわいいなって思いながら相槌を打ちながら聞いていると、カエンはやがて静かになった。

 規則正しい呼吸音が聞こえる。眠ってしまったみたいだ。

 穏やかな寝息を聞いていると、真っ暗で風の音ばかりが耳を突くこんな夜でも、安心して眠れるのだ……いつもなら。

 今日はどうしても気になることがあって、疑問ばかりが頭をめぐって眠れない。

 昼間の会話を思い出す。海を避けたがるカエン。告白に喜ぶ姿、そして最後まで繋がることへの拒絶と恐怖。

 カエンはいったい、なにをそんなに怖がっているんだろうか。いまさら僕がカエンの側から離れるつもりはないのに。

 ……やっぱり記憶を思い出すしかない。忘れていることがなんなのかわからない以上、判断材料が足りない。

 全部の記憶を思い出した上で、それでも大丈夫だよ、側にいるよとカエンに言ってあげたい。

「……」

 のそりと体を起こす。今まで僕は、キスをすることで記憶を思い出していたように思う。正確には、カエンの体液を飲みこんだ時だ。

 けれど最近は、キスをしても新たな記憶を思い出したりしないから、勘違いかとも思っていた。

 もしかして、違う種類の体液なら。

 そっとカエンの下衣に手をかける。ゆるい寝巻きは簡単にずり下ろすことができた。

 パンツごとずり下げると、くたっと力の抜けたソレを掴む。

「ん……」

 カエンが吐息を漏らす……起きていないみたいだ。ドキドキと高鳴る胸を押さえながら、そっと息を吐く。

 暗闇の中、僕は怪しい動きでカエンに覆い被さり、雄芯を育てはじめた。

 ひとまず指先を使ってカリの部分を上下に擦ってみる。ちょっと硬くなったかな?

 もうちょっとちゃんと刺激したい……そうだ。

 僕は思いついて、彼の雄に顔を寄せた。先端をペロリと舐めてみる。

「あ、え……!? た、拓海か? なにやって」

 まずい、カエンが起きた。僕は思いきって彼の先端を口に咥えた。

「ちょ、本当になにしてるんだ!?」

 カエンが焦っているけれど、それでめげる僕じゃない。亀頭部分をすっぽり口内に含むと、口唇をすぼめて吸い上げた。

「っう!」

 カエンのそれがムクムクと大きくなる。花の香りが口の中から鼻へと抜けた。

 溢れ出てきた先走りを舌先で舐めとる。しょっぱくない。むしろ甘い。どういうことだ。

 まさかこんな完璧なプロポーションで、実は糖尿病とか有り得ないだろうし。

 混乱しながらも舐めていると、髪の合間にカエンの指が差し入れられる。

「拓海、それヤバいって……!」

 切羽詰まった声とは裏腹に、僕を撫でる手つきは柔らかい。本気で嫌がってないってことでいいよね?

 ジュルリと先走りごと口の中に溜まった唾液をすすると、ピクリと雄が跳ねる。最大サイズになると、口を開けているだけでちょっと疲れる。

「ん、んぅ」

 しょっぱくもなく臭くもないソレを、夢中でペロペロ舐め上げる。口に収まりきらない部分に手を添えると、ガッチガチに硬くなっていて今にも弾けそうだ。

 上下に竿をさすると、カエンの息が荒くなる。

「拓海、口離して、もう出る……っ」

「んーん、ふぉおままあふぃうぇ」

 このまま出してと言ったが、通じただろうか。カエンは息を乱しまくっていて、それどころじゃなさそうだ。

「そこで喋んなって、くっそ……くぅっ!」

 ドピュッと口の中に液体が注がれた。蜜のように甘いそれをためらいもなく飲み下す。

 ゴクリ、と僕の喉が鳴る音を聞いて、カエンはヒュッと息を吐く。

 そして僕は思い出した。おばあちゃんがいっとう大切にしていたペンダントのことを。

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