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第9話(48)

Author: 北川とも
last update Last Updated: 2025-12-22 08:00:51

 鷹津の手が、いきなり柔らかな膨らみをまさぐってきた。反射的に上体を捩って逃れようとしたが、力を込めて揉まれると、瞬く間に下肢から力が抜け、動けなくなる。

「長嶺に、ここも開発してもらったのか? 一番弱い部分を無防備に晒して、あれだけ感じてたんだ。さぞかし、あの蛇みたいな男は、たっぷりとお前を可愛がってるんだろうな」

 何かを探るように柔らかな膨らみを指で揉みしだかれる。痛みと、ときおり背筋まで駆け上がってくる強い刺激に、和彦はビクビクと腰を震わせる。それでも、やめろとは言えなかった。鷹津がまさぐっているのは、肉体的な弱みだ。そこを押さえられると、何もできない。

 和彦の柔らかな膨らみを執拗に攻めながら、鷹津がのしかかってくる。

「俺に逆らうなよ、佐伯」

 低く囁くように恫喝され、唇を塞がれる。歯列をこじ開けられて舌を捩じ込まれていた。流し込まれる唾液と、下肢から容赦なく送り込まれる強い刺激に、今にも吐きそうになる。生理的な反応から和彦の目に涙が滲むと、鷹津はおもしろがるような表情となり、和彦の目元に唇を押し当て、チロッと舌先で涙を舐め取った。

 耳を舐られてから、首筋に噛み付く勢いで激しい愛撫が与えられる。同時に、下肢に伸びた鷹津の手に和彦のものは握り込まれ、強く上下に扱かれる。

 変わった、と和彦は思った。ここまで和彦をいたぶってきた鷹津が、今度は和彦から快感を引き出そうとしていた。

「……い、やだ……。やめ、ろ……」

 和彦の弱々しい訴えに、鷹津は深い口づけで応える。感じやすい粘膜をたっぷり舐め回され、脅されるまま舌を差し出すと、激しく吸われて噛みつかれる。その間も、和彦のものを扱く手は止まらず、先端に爪を立てて弄られる。

 肌をきつく吸い上げられ、鬱血の跡をいくつも散らされていた。その頃には和彦の体は熱くなり、肌が汗ばむ。これまで何人もの男の愛撫を受けてきたものは、今は鷹津の手の中で形を変え、身を起こし、先端に透明なしずくを滲ませていた。

 生理的なものとはいえ、和彦は自分の体の反応が忌々しい。鷹津はそんな和彦の、快感を求める体と、苦しげな表情のギャップを楽しん
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    「お前、俺を心底嫌っているだろ。なのに体は反応する。……ヤクザの組長を骨抜きにするには、それぐらい淫乱じゃねーとダメってことか」 思わず鷹津を睨みつけると、髪を掴まれて唇を塞がれる。濡れた先端を擦り上げられてたまらず呻き声を洩らした途端、待ちかねていたように舌で口腔を犯されていた。「長嶺にしていたようにしてみろ。いやらしいキスをしていたろ。うっとりした目であのクズを見つめながら――」 引き出された舌を吸われて鷹津の求めているものがわかった和彦は、柔らかな膨らみを強く揉みしだかれる刺激に狂わされ、鷹津と舌先を触れ合わせたあと、絡める。 馴染みのある感覚が、和彦の胸の奥でうねる。それは、他の男たちと共有してきた肉欲の疼きだ。 和彦の変化に気づいたのか、獣じみた粗野な口づけを続けていた鷹津がふいに体を起こし、再び和彦の体をじっくりと見下ろしてくる。次に男の関心を引いたのは、興奮のため凝った胸の突起だった。 胸元に顔を伏せた鷹津が、上目遣いに和彦の反応をうかがいながら、舌先で突起を弄る。和彦はビクリと体を震わせて、思わず鷹津の頭を押し退けようとしたが、身を起こしたものを強く握り締められ、簡単に抵抗を封じられる。 突起をたっぷり舐められてから、痛いほどきつく吸い上げられていた。「あうっ、うっ、うぅっ」 絨毯の上で、ヒクンと背をしならせた和彦は、うろたえて顔を背ける。鷹津に触れられて嫌でたまらないはずなのに、体が急速に鷹津の愛撫に馴染み始めていた。 和彦の動揺をよそに、鷹津は容赦なくことを進める。和彦の片足を抱え上げたかと思うと、唾液で濡らした指を内奥の入り口に這わせてきたのだ。「やめろっ」 本能的な恐怖から和彦が声を上げたときには、強引に指が挿入されていた。痛みで呻き声を洩らそうが、鷹津は頓着しない。狭い場所を押し開くようにして、太く長い指を付け根まで内奥に収めてしまった。「あっ、あっ、うあっ、あっ――」 きつく収縮を繰り返す内奥で、鷹津は無造作に指を出し入れし、繊細な襞と粘膜を蹂躙するように擦り上げてくる。ときおり指を曲げて内奥を押し広げられると、和彦は苦痛の声を抑えられない

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    「うぅっ……」  恐怖と痛みに、鷹津の肩に手をかけたまま和彦は動けない。再び鷹津に唇を舐められてから、強靭な舌にこじ開けられそうになり、さすがに顔を背けようとしたが、敏感なものを握る手に力が込められ、痛みに声を上げる。  口腔に鷹津の舌がヌルリと入り込み、露骨に濡れた音を立てて舐め回されながら、唾液を流し込まれる。いっそ気を失ってしまいたくなるような嫌悪感が、全身を駆け抜ける。厚みのある体にのしかかられながら、本能的なものから抵抗するが、明らかに鷹津は、和彦の抵抗を楽しんでいた。 「ひっ」  和彦のものの根元が、指の輪によって強く締め付けられる。痛みに息が詰まり、体が強張る。そんな和彦の耳元に顔を寄せ、鷹津が囁いてきた。 「抵抗するなら、握り潰してやろうか? これが使い物にならなくなったら、長嶺たちも、お前を本当の〈女〉にしてくれるかもな」  屈辱から、カッと体が熱くなる。和彦は間近にある鷹津の顔を睨みつけるが、圧倒的に優位に立っている男は、蛇蝎の片割れであるサソリの例えに相応しく、怖い笑みを唇に刻んだ。  抵抗心を確かめるように鷹津にじっくりと唇を吸われ、和彦は必死に歯を食い縛る。すると、握られたものを手荒く扱き上げられる。快感など湧き起こるはずもなく、ただ痛い。和彦の苦痛の表情に気づいたのか、鷹津の手が下肢から退く。  ほっとできたのは、ほんの数瞬だった。  喉元に大きな手がかかり、和彦は目を見開く。軽く喉を絞められて息苦しさに小さく喘ぐと、その状態で鷹津は、カーゴパンツと下着をさらに引き下ろし始めた。もちろん和彦は声を出せず、抵抗もできない。下肢を剥かれた挙げ句に、上着と、引き裂かれたシャツも脱がされていた。  鷹津は、冷めた目で和彦の体を見下ろし、まるで検分するように片手で触れてくる。 「これが、三人のヤクザと寝ている〈オンナ〉の体か……」  鷹津に触れられる部分から鳥肌が立つ。いつの間にか喉元にかかった手は退けられたが、それでも和彦は動けなかった。鷹津の凶暴性は、次の瞬間には暴発しそうな危うさがあり、だからこそ手加減を忘れて痛めつけられそうなのだ。 「――足を立てて開け。大きくな」  命令されて片足を抱えられると

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    「それでも減らず口を叩く度胸は褒めてやる。だが、頭はよくない。この状況でそういうことを言えば、半殺しにされても文句は言えんぞ」 鷹津の片手が振り上げられるのを見て、咄嗟に顔を背けてきつく目を閉じる。殴られると思ったのだ。だが、鷹津は予想外の行動に出た。 和彦が着ているシャツの襟元を掴み、一気に引き破ったのだ。声も出せず見上げた先で、鷹津は下手なヤクザよりよほど獰猛な笑みを浮かべていた。「自覚がないようだから、教えてやる。お前は弱くはない。むしろ、したたかだ。したたかで妖しい、〈オンナ〉だ」 鷹津の彫りの深い顔が近づいてきて、有無を言わせず唇を塞がれた。和彦は喉の奥から引き攣った呻き声を洩らし、足をばたつかせ、顔を押し退けようとしたが、鷹津は容赦なかった。 あごを掴む指に力が加わり、骨が砕かれそうになる。同時に、もう片方の手が下肢に伸び、カーゴパンツの上から和彦のものは強く握り締められた。 痛みに、身じろぎもできなくなる。何より、筋肉質で厚みのある鷹津の体は、圧倒的に和彦より重い。この体勢では押し退けられない。 和彦の反応に満足したのか、鷹津は一度唇を離し、じっくりと見下ろしてくる。「恨むなら、長嶺を恨めよ。あの男が俺を挑発した。自分のオンナを、俺に見せびらかした。あいつがイイ〈女〉を抱く分には、俺はなんとも思わない。たった一度しか抱かない、遊びですらない女をいくら見せびらかされたって、地面に落ちてる石ころと一緒だ。意識なんざしない。だが、お前は違う――」 鷹津の手に、手荒く敏感なものを揉まれる。痛みに声を洩らすと、すかさず唇を熱い舌で舐められ、あまりの気持ち悪さに和彦は身震いしていた。剥き出しの神経に、不快なものを擦りつけられているような、そんな耐え難さだ。「こんなものを付けた色男で、医者なんてしているエリートだ。それこそ、イイ女にも金にも不自由しないだろう。そんなお前を、あの蛇みたいな男が抱いて、よがらせている。……妙に興奮するものがある。あいつが一度だけ抱いた女を俺が抱いたところで、なんの感慨もないが、お前は違う。何度も何度も長嶺に抱かれている。奴にとって、特別なオンナだ」 鷹津の手にカーゴパンツと

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     和彦の言葉に、ただでさえ嫌な険を宿した鷹津の目が、さらに険しくなる。相変わらずこの男の目は、ドロドロとした感情の澱が透けて見え、和彦の嫌悪感や警戒心を煽り立てる。「当たり、みたいだな。……組の人間は、あんたがヤクザ相手に何をしでかしたのか詳しく話してくれないし、ぼくも聞こうとは思わなかった。あんたを悪党だという組長の言葉と、あんた自身を見ていたら、十分だ」 鷹津が大股で側にやってこようとしたので、和彦はすかさず逃げ、ソファセットを挟んで対峙する。隙を見て寝室か書斎に駆け込めば、中から鍵がかけられるうえに、そこから電話ができる。「刑事だからと調子に乗りすぎて、ヤクザにハメられたんだろ。あんたがクズだと見下していた連中は、さぞかし気分がよかっただろうな」「……ああ。ご丁寧に、わざわざ俺の目の前で、嘲笑ったクズがいた。ぶちのめしてやったら、血塗れの顔でのた打ち回ってたな」 鷹津が下卑た笑みを口元に浮かべ、和彦は怖気立つ。鷹津の凶暴性が怖いと同時に、血の濃厚なイメージが重なり、吐き気がした。さきほど肩を捻り上げられたせいで、痛みを想像するのも容易だ。 よほど顔色が変わったらしく、鷹津はニヤリと笑った。「長嶺のオンナのくせに、ずいぶんお上品で繊細だな。俺の話を聞いただけで、顔が青くなったぞ。さっきまでの強気はどうした」 和彦は反射的に、寝室に通じるドアにちらりと視線を向ける。これ以上、鷹津と対峙するのは無理だと思ったのだ。 次の瞬間、鷹津がソファを乗り越えて、テーブルの上に立つ。驚いた和彦は思わず立ち尽くしてしまうが、すぐに我に返って逃げようとする。だが、鷹津が獣のように飛びかかってくるほうが早かった。「あっ」 乱暴に絨毯の上に押し倒され、衝撃に数瞬息ができなくなる。その間に、鷹津は悠然と和彦の上に馬乗りになっていた。 あごを掴み上げられた和彦は、なんとか身を捩ろうと足掻きながら、鷹津を睨みつける。一方の鷹津は、余裕たっぷりに笑っていた。その顔がまた、和彦の嫌悪感を増幅させる。触れられているところから、まるで毒が染み込んでくるようだ。「何が、目的だ&helli

  • 血と束縛と   第9話(44)

     ビクリと肩を震わせて、和彦は振り返る。鷹津が軽くあごをしゃくり、仕方なく受話器を置く。部屋に上がるまで、ずっと腕を捻り上げられて痛みを与えられ続けていたせいで、激しい反抗心まで捻じ伏せられたようだ。 鷹津は、逆らえば容赦なく、和彦に痛みを与えてくる。その点はヤクザと同じだ。「このリビングだけで、俺が寝起きしている部屋の何倍だろうな」「……ぼくに、なんの用だ」「この間、いいものを見させてもらったから、礼を言いに来た」 ようやく和彦は、鷹津を睨みつける。秦の店での、賢吾との行為を指しているのだと、すぐにわかった。あんなものを見せつけられて、屈辱に感じない男ではないはずだ。礼どころか、報復に来たのだ。「礼なら、長嶺組長に言えばいい。あんなことをしでかしたのは、あの男だ」「お前のご主人さまだろ。その言い方はよくねーな」 ゆっくりとした足取りで鷹津がこちらに向かってくるので、和彦は後退るようにして距離を取ろうとする。緊迫した空気の中、一瞬たりとも気が抜けない追いかけっこをしているようだ。 沈黙が訪れるのが怖くて、必死に頭を働かせる。話題はなんでもよかったが、この状況で和彦は、長嶺組のために情報を引き出そうとしていた。「――……あんた昨日、長嶺組のシマのことで、何かしたか?」 和彦の問いかけに、鷹津は無精ひげが生えたあごを撫でる。「シマ、か。ヤクザの言葉が身についてきたみたいだな。……お前が言うそのシマを担当区域にしている警察署の生活安全課に、長嶺に飼われているネズミがいると、俺が教えてやっただけだ。ウソの手入れ情報を流してネズミを泳がせ、ヤクザを踊らせる――なんて悪辣なことまでは、俺は関知していない」「長嶺組に対する嫌がらせか」「嫌がらせ? 俺は刑事だぜ。あいつらを駆除するのがお仕事だ。長嶺には、総和会なんて厄介なものまで引っ付いてるんだ。一気に潰すのは不可能だが、じわじわと弱体化させるのは可能だ。俺は、ヤクザが嫌がる手口をよく知ってるからな」「……手口をよく知るぐらい、ヤクザとべ

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