로그인鷹津の手が、いきなり柔らかな膨らみをまさぐってきた。反射的に上体を捩って逃れようとしたが、力を込めて揉まれると、瞬く間に下肢から力が抜け、動けなくなる。
「長嶺に、ここも開発してもらったのか? 一番弱い部分を無防備に晒して、あれだけ感じてたんだ。さぞかし、あの蛇みたいな男は、たっぷりとお前を可愛がってるんだろうな」 何かを探るように柔らかな膨らみを指で揉みしだかれる。痛みと、ときおり背筋まで駆け上がってくる強い刺激に、和彦はビクビクと腰を震わせる。それでも、やめろとは言えなかった。鷹津がまさぐっているのは、肉体的な弱みだ。そこを押さえられると、何もできない。 和彦の柔らかな膨らみを執拗に攻めながら、鷹津がのしかかってくる。「俺に逆らうなよ、佐伯」 低く囁くように恫喝され、唇を塞がれる。歯列をこじ開けられて舌を捩じ込まれていた。流し込まれる唾液と、下肢から容赦なく送り込まれる強い刺激に、今にも吐きそうになる。生理的な反応から和彦の目に涙が滲むと、鷹津はおもしろがるような表情となり、和彦の目元に唇を押し当て、チロッと舌先で涙「あの家が、ぼくを必要としていると知ったところで、少しも嬉しくないんだ。きっともう、ぼくとあの家が歩み寄ることはできない。それが確認できただけでも、会ってよかったと思う。間に入った里見さんには、申し訳ないけど」 座卓に置いた文庫本の表紙を、手慰みに撫でる。そうしながら和彦の脳裏に蘇るのは、英俊と会ったときの光景だ。 思い返すたびに息苦しい感覚に襲われていたが、自分を駆り立てるように仕事をこなし、すっかり慣れ親しんだ男たちと顔を合わせていくうちに、その感覚も薄れつつある。だから、里見に連絡を取ることにしたのだ。今回は、悲壮な覚悟は必要としなかった。「兄さんに、言いたいことは言えたと思う。そのことを、あの人たちは納得しないだろうけど、ぼくはこれ以上話をするつもりはない。また里見さんに何か頼んできたときは、そう伝えてもらえるかな。一生連絡を取らない――という決心まではしていないけど、当分、話をするつもりはない」 電話の向こうから聞こえてきたのは、深いため息だった。一瞬、里見を失望させただろうかと身構えた和彦だが、次に耳に届いたのは、鼓膜をくすぐるような笑い声だった。「……里見さん?」『ごめん。最初の頃は、君は誰かに脅されていると思っていたんだ。だけど直接君に会って、英俊くんからも話を聞いて、今の君の言葉を聞いて、ようやく受け入れるしかないと思った。――君は、今いる場所で必要とされて、それ以上に大事にされているんだって』 里見が想像しているのは、穏やかで優しくて、美しい環境なのだろうと思うと、現実とのギャップに和彦もつい声を洩らして笑ってしまう。だが、男たちの情や、複雑な事情に雁字搦めになりながらも、和彦にとってこの世界が心地いいのは間違いない。「そう……、単純なものじゃないけどね」 ほろ苦い気持ちを噛み締めながら和彦が呟いたとき、廊下を歩く足音が聞こえてくる。「それじゃあ、もう切るね」『和彦くんっ』 携帯電話を耳元から離そうとしたとき、突然里見が大きな声を発する。「何?」『この電話を切ったあと、携帯の番号を変えたりしないでくれ。英俊くんに番号を知
ファミリーレストランで、三田村と向かい合って朝食をとるというのも、なんだか妙な感じだった。 パンを一口かじった和彦は、何げなく視線を上げてドキリとする。三田村が、フォークを持ったまま、じっとこちらを見つめていたからだ。 優しい眼差しだった。柔らかな感情のすべてを傾けて、和彦を包み込もうとしているような、そんな眼差しだ。 慌しい空気に満ちている店内にあって、自分たちがついているテーブルだけ、異質な空気が漂っているのではないかと、少し和彦は心配になってくる。 いつもなら、周囲の様子に気を配るのは三田村の役目のような気がするが、今朝ばかりは様子が違う。「……そんなに眺めるほど、ぼくは変わってないだろ。寝不足で、目の下に隈ができているぐらいだ」 さすがに気恥ずかしくなってきて、ぼそぼそと和彦が洩らすと、三田村はわずかに目を丸くしたあと、口元に苦笑を湛えた。「正直、先生が落ち込んでいるかもしれないと、ずっと心配していたんだ。しかも、クリニックも休まないと聞かされて、驚いた。先生のことだから、周囲の人間に迷惑をかけまいと、無理をしているんじゃないか」「無理か……」 パンを置いた和彦は、ふっと息を吐き出す。 今朝は、早い時間に賢吾と一緒に総和会本部を出て、自宅マンションに寄ってもらった。ゆっくりする間もなく出勤の準備をする傍ら、三田村に連絡を取ったのだ。本当は、声を聞くだけで満足するつもりだったのだが、三田村のほうから、朝食を一緒にとらないかと誘ってくれ、今のこの状況だ。「無理ならしている。肉体的にも精神的にも疲れているから、本当なら今日一日ぐらい、部屋でゆっくり過ごしてもよかったのかもしれない。だけど、そう思う以上に――ぼくの日常を取り戻したかったんだ。自分は、実家の事情に引きずられたりしないと強がりたい……、と言ってもいいのかな」「先生は、タフだ」 そう呟いた三田村の口調は、苦々しさに満ちていた。和彦の無理を窘めたい気持ちがある一方で、和彦の気持ちも汲み取っている、三田村の誠実さが滲み出ているようだ。「…&
「うああっ――」 内奥の入り口をこじ開けられ、太い部分を一息に呑み込まされる。繋がった部分を指先でなぞられると、それだけで上擦った声が出る。背後から緩く突き上げられて、腰から痺れが這い上がり、吐息を洩らす。さらにもう一度突き上げられて、悦びの声を上げていた。 賢吾と深く繋がっていきながら、引き絞るように内奥を締める。欲しかった、と言葉ではなく、体で訴える。和彦の訴えを、賢吾は受け止めてくれた。「……しっかりと、俺を欲しがっているな。本当に、可愛いオンナだ……」 腰を掴まれて、ぐうっと奥深くまで欲望を捩じ込まれる。和彦は声も出せずに、ビクッ、ビクッと腰を震わせていた。賢吾が笑いを含んだ声で言った。「尻で、イったな」 巧みに官能を刺激されて、頭の芯まで快感に浸される。賢吾の欲望に内奥深くを突かれるたびに、堪えきれず嬌声を上げていたが、おそらくその声は、部屋の外にも響いているだろう。和彦の理性ではもう声を抑えることができず、賢吾にしても、あえて〈誰か〉に聞かせるように、和彦の快感を煽ってくる。「あっ、い、ぃ――……。賢吾、奥、いい……」「どこもかしこも、いいところだらけだな。――和彦」 内奥深くを重々しく突き上げられ、一瞬息が詰まる。全身に快美さが響き渡り、小刻みに体が震える。賢吾は、和彦のそんな反応をいとおしむように、背後からきつく抱き締めてくれた。「一度抜いていいか?」 快感に恍惚としている和彦の耳に、賢吾の言葉が届く。和彦は子供のように必死に首を横に振っていた。「嫌だっ。まだ……、このままがいい」「俺もそうしたいが、それ以上に、お前のいい顔を見ながら、尻を可愛がってやりてーんだ」 ズルリと内奥から熱い欲望が引き抜かれ、和彦は短い悲鳴を上げる。このとき、自分の体に何が起こったのかを、和彦の体を仰向けにした賢吾に指摘された。「お前が、突っ込まれる瞬間に弱いのは知ってたが、抜かれる瞬間もよくなってきたか?」 賢吾に、精を放ったばかりの欲望を
和彦は無意識のうちに強い刺激から逃れようとするが、賢吾の逞しい腕にしっかりと腰を抱え込まれ、もっと奔放に乱れてみせろと追い立てるように、荒々しい愛撫を与えられる。「ひっ……、待、て……。賢吾さん、そこ、乱暴には……」「違うだろ。そういう呼び方じゃなかったはずだ」 賢吾の声が楽しげな響きを帯びる。弱みを指先で弄られて、和彦は半ば脅されるように声を上げていた。「賢吾っ」 この瞬間、気も遠くなるような法悦が和彦の中で生まれる。残酷なほど優しく丁寧な手つきで柔らかな膨らみを揉み込まれ、腰から下に力が入らなくなる。意識しないまま自ら足を大きく開き、賢吾の淫らな愛撫をねだっていた。「あっ、あっ、んあっ、あっ――……」「これ以上仕込んだら厄介だとわかっちゃいるんだが、気持ちよさそうに声を上げるお前の反応を見ると、可愛がってやらずには、いられねーんだ」 痛みとは紙一重の、絶妙の力加減で柔らかな膨らみをまさぐられ、和彦は甲高い声を上げて身悶える。欲望の先端から透明なしずくが滴り落ち、和彦が味わっている愉悦を雄弁に賢吾に知らせる。「ここ、いいか?」 わずかに声を掠れさせて、賢吾が問いかけてくる。余裕たっぷりのバリトンとはまた違った色気に、和彦はヒクリと背をしならせる。声に、感じてしまったのだ。賢吾は当然、和彦の反応に気づいていた。「……感じやすいオンナだ」 さきほどの愛撫の礼だと言わんばかりに、今度は賢吾が、和彦の背に唇と舌を這わせてくる。尻の肉を鷲掴まれ、腰を突き出した姿勢を取らされていた。賢吾が何をしようとしているか、次の言葉で知ることになる。「まだ触ってもないのに、もう赤く色づいて、ひくついてるな。南郷にたっぷり弄ってもらったんだろう。感じさせてくれるなら、誰でも甘やかすからな。お前のここは――」 嫌でも意識させられた内奥の入り口に、柔らかく湿った感触がまとわりつく。それが賢吾の舌だとわかったとき、和彦は呻き声を洩らして、シーツに精を飛び散らしていた。しかし、賢吾は許し
見事な大蛇の刺青をまず目に焼きつけてから、広い背に丹念にてのひらを這わせ、衝動のまま唇を押し当てる。巨体の輪郭をなぞるように舌先を動かしていると、賢吾の背の筋肉がぐっと強張った。 もし、英俊に無理やり連れ去られるような事態になっていたら、この大蛇に触れることは二度とできなかったのだ。そう思うと、情欲とはまた違う、強い感情に胸を揺さぶられる。多分これは、愛しいという感情だ。そしてこの感情は、この大蛇を背負う男に対して向けられている。「――俺とオヤジは、嫌になるほど似ている」 ふいに賢吾が話し始める。和彦は、背に唇を押し当てたまま耳を傾ける。「優しくて愛情深くて、淫奔でしたたかな先生の性質を、俺は、この世界に繋ぎとめるために利用している。俺が許した男たちと関係を持たせて、先生を雁字搦めにしているんだ。こんなことをするのは、俺ぐらいのものだと思っていたが……、さすがは、俺のオヤジといったところだな」 賢吾の胸元に手を回すと、いきなりその手を掴まれ、下腹部へと導かれる。触れた賢吾の欲望は、いつの間にか熱く高ぶっていた。吐息をこぼした和彦は、しっかりと握り込むと、緩やかに扱く。「オヤジは、先生と南郷を繋ごうとしている。なんとなく、目的が見え始めてはいるが、まだはっきりとしたことは言えない。今問い詰めたところで、とぼけられるのがオチだろうな」 賢吾が引き戸のほうに顔を向けたので、和彦もつい反応してしまう。同じ家の中に守光もいるのだと思うと、自分が今、とてつもなく恥知らずな行為に及んでいるのだと認識させられる。怖気づいたとも言えるかもしれない。 和彦は慌てて体を離そうとしたが、賢吾がそれを許さなかった。腕を引っ張られて布団の上に転がされてうつ伏せになると、さらに浴衣を剥ぎ取られ、下着も強引に脱がされる。「おいっ――」「総和会という枠の中じゃ、俺がオヤジに対して取れる抵抗は高が知れてる。父子であることは強みだが、同時に弱みでもあるんだ。俺は組を守る責任があり、組員たちの生活も守ってやらなきゃいけない。だが、このオンナを手放すこともできない」 背に、賢吾の熱い体がのしかかってきて、押し潰されそうな圧迫感に息が詰まる。和
守光に対する賢吾の言動を見ている限り、南郷が言ったようなことはありえないと思うのだが、賢吾ほどの男なら和彦を欺くのは容易だと、これまでの経験で骨身に染みてもいる。 急に、賢吾と部屋で二人きりになることが怖くなり、和彦は慌てて布団に潜り込む。そのまま身を固くしていると、しばらく経ってから、引き戸がゆっくりと開く音がした。「――先生、寝たのか?」 低く囁くような声がかけられたが、体を横にして背を向けた格好となっている和彦は、顔が見えない位置なのをいいことに、返事をしなかった。賢吾はそれ以上声をかけてこず、隣で寝る準備をしている気配がする。 それを背で感じていた和彦だが、このまま眠ることはできそうにないため、一度深呼吸をしてから口を開いた。「……今回のことで、ぼくの存在を面倒だと思わなかったか?」 背後で動く気配が止まり、和彦は反射的に身を竦める。数秒の間を置いて聞こえてきたのは、低く抑えた笑い声だった。「先生は、優しすぎるな。もっと傲慢になったらどうだ。人生をめちゃくちゃにしたヤクザ共は、自分のために少しぐらい苦労したほうがいいと。そう思ったところで――いや、それでもまだまだ優しいし、甘いな」 和彦は寝返りを打つと、隣の布団の上で胡坐をかいている浴衣姿の賢吾を見上げる。「別れ際に兄さんから、父さんの伝言を聞かされた。顔を見せに帰ってこい、と……。この言葉を聞いたとき、ものすごく嫌な感覚がした。ぼくの父親は、何があっても、自分の思う通りに息子を従わせるつもりだと」「まさか、父親とも会う必要があるなんて、言うんじゃねーだろうな」 賢吾が大仰に片方の眉を動かして言った言葉に、和彦は目を丸くしたあと、苦笑を洩らす。「少なくとも……、今は必要ない。兄さんと会って、よくわかった。ぼくの要望は、受け入れられない。あの人たちの野心のために自分の身を差し出せるほど、ぼくは優しくも甘くもない」「先生の話を聞いていると、つくづく思う。世の中、いろんな家族の形があるもんだってな」 賢吾が布団を軽く叩いたので、意味を察した和彦は起き上がる。
** 別れ際、玄関で秦に抱き締められてから、和彦は部屋をあとにした。 エレベーターの中で、もう二度と秦と会わないということはおそらく不可能だろうなと、ぼんやりと考える。秘密を共有してしまったということもあるが、秦との間に確かな結びつきができたことを実感していたのだ。 賢吾や千尋、三田村との間で生まれた結びつき――縁と、同種だ。肉欲と切っても切れない縁で、それはすぐに、情へと変化する。さすがに和彦も、それぐらいは学習していた。 複雑になった事態と人間関係を、自分はどうするつもりなのか、考えたくなかった。体も心も、秦から与え
和彦が喉を反らして呻き声を洩らすと、唇を割り開くようにして指を含まされ、舌を刺激される。 ヌチュッと湿った音を立てて、内奥深くに逞しいものを呑み込まされていた。重々しく突き上げられて和彦の体を駆け抜けたのは、嫌悪感ではなく、爪先から頭の先まで駆け抜けるような肉の悦びだった。口腔から指が引き抜かれ、声が抑えられない。「あっ、あっ、やめ、ろ――……。こんなの、嫌だ……」「体は嫌がってない。尻に入れられた途端、涎の量が増えたぜ、先生。知らない男のものだとは言っても、具合のいい道具だと思えば、抵抗は少な
「何かあれば、すぐに知らせてくれ。こういう言い方は卑怯かもしれないし、そもそも効き目があるのかわからないが――、俺のためにも、先生は組の連中に素直に守られてくれ。そして、頼ってくれ」 和彦は目を丸くしたあと、わずかに視線を伏せた三田村に笑いかける。「……効き目十分だな、その台詞は」「だとしたら、らしくないことを言った甲斐があった」 三田村を煩わせたくなかった。和彦個人の事情に巻き込んで、組の中でさらに複雑な立場に追いやりたくない。 だからこそ、やはり秦のことは言えなかった。自分の甘さが引き起こした問題
賢吾にこうされるときの高揚感と快感は異常だ。ヤクザの組長という肩書きを持ち、何人ものヤクザを従わせている男が、たかが若い医者でしかない和彦のものを口腔で愛撫しているのだ。倒錯した興奮が、快感に拍車をかける。「ふっ……、あっ、んあっ、ああっ――。賢、吾さっ……」 熱い舌にねっとりと先端を舐め回され、ビクビクと腰を震わせて感じてしまう。賢吾の名を呼ぶとき、賢吾の愛撫は淫らさと情熱を増すのだ。 賢吾の髪に指を差し込み、掻き乱す。上下に賢吾の頭が動き、締め付けてくる唇に和彦のものは扱かれながら、きつく吸







