紫苑と碧斗が去ったあと、由利はベッドで仰向けに寝転がった。もう一度寝れば、今度こそあの世へ行けるだろうか。由利はじっと目を閉じるが、いつまで経っても睡魔は襲ってこない。三日も寝ていたせいか、今は眠れそうになかった。やっぱり夢ではないようだ。かといって、死後の世界というわけでもない。由利はそのことに酷く落胆した。それからしばらくの間現実逃避するかのように、虚ろな目で見慣れた天井をじっと眺めていた。「ずっとこうしていたい……」何だか全てがどうでもよくなった。このまま地獄のようなループからは一生抜け出せないのだろうか。一度目は大切な人たちが目の前で死んでいくのをただ眺めているだけしかできなかった。そんな自分に対する天罰だとでもいうかのように、愛する人からは嫌悪の眼差しを向けられた。二度目、今度は間違えないと思い自ら行動に移した。しかし、待っていたのは愛する人たちからの裏切りだった。そして三度目。紫苑と碧斗が生き残れば終わるかもしれないと思い、由利は自らが代わりに犠牲となることを選んだ。しかし、結果は同じ。一度目、二度目と変わらずあの日に戻ってきてしまった。「私のやってきたことって……何だったんだろう……」由利は無意識にそう呟いていた。彼女にとっては、紫苑も碧斗もとても大切な人だった。一度目では自分と違って誰からも愛される紫苑を羨ましく思い、妬むこともあったけれど……それでも、たった一人の妹に変わりはなかった。そして碧斗も、彼女の初恋であり、生涯で唯一愛した男だった。両親から愛されず、家庭に居場所の無かった由利にとっては彼だけが希望の光だったのだ。しかし、彼らを愛し、大切にした結果は残酷なものだった。どう足掻いても、死の運命からは逃れられないというのか。由利はベッドから起き上がった。その際に、彼女はこれまでずっと肌身離さず着けていた結婚指輪を外した。部屋にあった机の引き出しを開けると、いくつかのアクセサリーが視界に入った。ブレスレットにピアス、婚約指輪やネックレス。全て彼女が碧斗から貰ったものだった。両親は妹の紫苑には何でも買い与えていたのに対し、由利には何一つプレゼントしたことがない。彼女に贈り物をするくらいなら、紫苑にあげたほうがいいと思っていたせいだろう。由利は碧斗からもらった装飾品たちを全て手に取ると、何の迷いもなくゴミ箱に捨てた
最後更新 : 2026-05-09 閱讀更多