偽りの愛の中に隠された真実
母親の葬儀の日、私の婚約者である明石旭(あかしあさひ)が古川美希(ふるかわみき)を連れて弔問に来た。
そして、旭は皆の前で私との婚約を破棄し、美希と結婚すると宣言した。
周囲の冷笑を浴びていたそのとき、幼なじみの飛鳥詠一(あすかえいいち)が片膝をついて、「ずっと君を愛していた」と私にプロポーズしてきた。
彼の真摯な思いに心を打たれた私は、彼との結婚を承諾した。
結婚して三年、私は一度も妊娠しなかった。詠一は私を優しく慰めてくれた。「子どもがいなくてもいいよ。君がいれば、それで十分だ」
けれど、ある日、私は詠一と家庭医との会話を聞いてしまった。
「飛鳥社長、避妊薬はご指示通り用意しました。奥様には今後も服用させますか?」
詠一は冷たく答えた。「ああ、薬はやめるな。彼女との結婚はもともと一時しのぎだ。俺の子どものお母さんは、心の中ではずっと美希しかいない」
私が幸せだと思っていた結婚生活は、すべて嘘だった。
彼が私を愛していなかったのなら、私も、もう彼をいらない。