LOGINオ・ジュハ。
二十三歳。
誕生日は十一月十七日。
現在、ハンソ大学建築学科五年制の最終学期。
卒業制作はすでに終え、卒業後は就職予定。
家族は両親と、高校生の妹が一人。
家族は地方に住んでおり、本人は大学近くのワンルームで一人暮らしをしている。
両親はごく普通の会社員。
どこにでもあるような身の上だった。
ただ事実を並べただけの紙切れ。
本来なら感情が入り込む余地などない。
それなのに、読み進めるたびにジュハの顔が浮かぶ。
あの気だるそうな表情が、目の前にちらついて離れなかった。
「オ・ジュハ」
口に出して名前を呼んでみる。
心臓が、どくりと落ちた気がした。
思わず拳を握り締め、それからゆっくり開く。
ようやく血が指先まで巡ったような錯覚がした。
胸の奥を何かで引っかかれるような感覚もある。
どうしてこんなにも心が乱されるのか。
答えは、まだ見つからない。
ジュハを思い浮かべるだけで、呼吸まで乱れる。
息苦しいような。
不快なような。
それでいて、どこか震えているような気もする。
何が震えているのか、自分でも分からなかった。
「……はぁ」
何度読み返しても、ジュハはどこにでもいる普通の女子大生だった。
ドヒョクが生きてきた世界とは、あまりにも遠い。
だからこそ、関わらないのが正しい。
このまま忘れてしまえば、それで終わる。
ずっとそう思っていた。
それなのに、紙から手を離せない。
……どうかしてる。
そう思ったところで、ドヒョクは認めることにした。
もう狂っているということでいい。
いつだったのかは分からない。
だが、越えてはいけない一線は、もうとっくに越えてしまっていた。
引き返し方など知らない。
なら、できることをするしかない。
まずは。
オ・ジュハの警戒心を解く方法を考えなければならなかった。
会ったその日に電話番号を着信拒否するような、あの小賢しい女へ近づく方法を。
◇
大げさな作戦を思いついたわけではない。
ただ、少しだけ軽い男を演じてみようと思った。
翌朝。
目を覚ましたドヒョクは、すぐにスマートフォンを手に取る。
昨日ジュハへ番号を教えた仕事用ではない。
私用のスマートフォンだった。
だが、まだ朝の六時。
さすがに電話をかける時間ではない。
そう思い、何度も画面を開いては閉じ、また閉じる。
そして午後二時。
ようやくジュハの番号を入力した。
……それでも、すぐには発信ボタンを押せない。
押せなかった、というほうが正しかった。
電話が繋がったところで、何を話せばいいのかすら分からない。
結局、二時十分になるまで迷い続けてから、ようやく発信を押した。
呼び出し音が鳴る。
それだけで、妙に緊張した。
『もしもし』
……これは、本当にまずい。
声を聞いた途端、身体が勝手に反応した。
ドヒョクは眉をひそめる。
今日は言い訳もできない。
酒も飲んでいない。
朝でもない。
疲れてもいない。
何一つ説明がつかなかった。
ドヒョクは小さく息を整える。
「もしもし」
『どちら様ですか』
気だるく、それでいて冷たい声。
あの日と何一つ変わらない。
ドヒョクはしばらく遠くを見つめた。
「誰ですか」と聞かれているのだから、まず名乗るべきだ。
頭では分かっている。
それなのに、身体が言うことを聞かない。
まるで自分の身体ではないようだった。
いや。
自分のものではなく、ジュハのものになってしまったような――。
そんな考えがよぎった瞬間、口が勝手に動いた。
「ご主人様!」 わざと軽い調子で。高校時代の同級生、ソンミンの話し方を真似たつもりだった。
ドヒョクの知る限り、一番軽い男だったからだ。
警戒心を解く。
それだけが目的だった。
だが、受話器の向こうは沈黙した。
長い、長い沈黙。
『……おかけ間違いではありませんか』
ようやく返ってきた声は、ひどく事務的だった。
なのに、その反応が妙に嬉しくて、ドヒョクは思わず笑いそうになった。
「着信拒否はひどくない?」
『……してませんけど』
「そう?」
『それで、何の用ですか』
その声だけで分かった。
完全に面倒な相手に捕まった、と思っている。
少し困ったような顔。
わずかに寄る眉。
それでもすぐ平静を取り戻す、あの表情。
自然と頭に浮かんできた。
このままでは、その姿を思い浮かべるだけでどうにかなってしまいそうだ。
……まあ、もう狂ってるんだ。今さらか。
そう自分に言い聞かせると、不思議と悪い気はしなかった。
いつの間にか、四週間が過ぎていた。ジュハが初めてこの家に戻ってきた頃を思えば、今のドヒョクはすっかり元気を取り戻していた。ジュハが家を出ていったあと、まるで死人のように痩せ細っていった男は、再び規則正しく食事を取るようになり、一日も欠かさず運動をしていた。血の気のなかった顔にも少しずつ生気が戻り、時折、口元をそっと緩めて小さく笑うことも増えた。その間も、ジュハは相変わらず目の回るような忙しさだった。卒業制作の締め切りと期末試験が迫り、徹夜する日も多くなっていた。午前二時。ジュハの作業室には、時計の秒針の音だけが響いていた。ジュハは息をするのも忘れたように、作業に没頭していた。ここ数日まともに眠れていないせいで凝り固まった首筋を揉みながら、カッターを置いた。目の前の課題はそろそろ完成に近づいていたが、頭の中は複雑に絡まり合い、ぐるぐると回りそうだった。午前二時とは思えないほど明るい照明がなければ、もっと疲れていただろう。しばらくぼんやりしていたジュハは、ふと、近くにいるはずのドヒョクへ顔を向けた。彼は一日中、ただの一度もジュハの視界を遮らない場所に立っていた。背筋をまっすぐ伸ばした端正な姿勢。少しの乱れもない眼差し。まるでジュハを不快にさせまいと息さえ潜め、ただ彼女の動きだけを見守っているようだった。そんな光景にも、もう一か月近く経つうちにすっかり慣れてしまい、ジュハは一瞬、口元を緩めた。それは自嘲に近い笑みだった。何か言ってやろうという気概は、いったいどこへ消えてしまったのだろう。忙しかったこともあるし、彼の姿を見るたびに、いつも気力が萎えてしまったからでもあった。もう、本当に時間が残されていないのに。そんなことを考えながら、ジュハは乾いてざらついた口の中を、舌で一度なぞった。もう、彼女に切れるカードもほとんど残っていなかった。「坊や」わざと淡々とした声で呼んだ。
一方、ジュハは勉強をしているうちに首が凝ってきて、席を立った。ドヒョクは反射的に背筋を伸ばし、彼女についていこうと歩き出した。ジュハの腕には、本やら何やら、こまごまとしたものがいっぱいに抱えられていた。今すぐにでもお持ちしますと言いたかったが、彼はぐっと堪えた。ただ、彼女の半歩後ろについた。扉を開けると、思いのほか冷たい風が吹き込んできた。ジュハの肩がわずかにすくむ。ドヒョクは一日中持ち歩いていた毛布を、すかさず差し出した。「だいぶ冷え込んできましたし、せめてこれだけでも……」「いい。歩きにくいから」今日も返ってきたのは冷たい拒絶だったが、ドヒョクは眉一つ動かさなかった。この程度、試練と呼ぶほどのことでもない。返事をしてもらえるだけでも、十分すぎるほど寛大なことなのだから。毛布には目もくれずに歩き出した彼女の後ろを、ドヒョクは黙ってついていった。もちろん、ジュハも彼の存在を意識していた。空気は冷たかったが、すぐ後ろを歩く彼から温かな気配が伝わってきて、どうにか耐えられた。背後から吹く風をまったく感じないのも、彼が遮ってくれているからだとわかっていた。そんなことを考えているうちに頭の中が複雑になり、足取りが少し乱れた。腕に抱えていた分厚い本が滑り、地面に落ちそうになる。「あっ!」「!」ドヒョクは素早く手を伸ばし、本が落ちる寸前に受け止めた。大きな身体が一瞬で目の前に迫り、ふわりと香りが漂ってきた。あまりにも馴染み深い香りだった。数日前、自分の下で許しを乞うていた彼の姿が、不意に頭をよぎった。こんな些細な接触で、そんなことを思い出すなんて。ジュハは首を振り、無意識のうちに口を開いた。「ありがとう、坊や」だから、これはただの癖のようなものだった。いつも彼をそう呼んでいた、その癖。
「まだああしていらっしゃるのか?」「許してもらえてないみたいだな」テギュとソンチョルは、遠くに見えるドヒョクの姿を眺めながら首を振った。ジュハが家を出ていった頃に比べれば、ずいぶん人間らしい姿に戻っていた。それでも、痛々しいことに変わりはなかった。ジュハが最後の学期を忙しく過ごしている間、ドヒョクはただ彼女のそばに立ち、ひたすらその場所を守っていたのだから、部下たちからすれば見ていて気の毒で仕方がなかった。実のところ、ドヒョク自身はそれなりに幸せそうだった。けれど、そんなささやかな幸せで満足していることが、かえって部下たちの胸に引っかかっていた。「姉貴もすごいよな……」一日中そばに立っている人間を見ても、まだ許す気になれないのだろうか。つい、そんなことを考えてしまう。身内にはどうしても甘くなるものだ。いくらドヒョクの命令でジュハに仕えているとはいえ、二人はどこまでいってもドヒョクの人間だった。「俺だったら、すぐ許しちゃいそうだけどな」「……でも、あれはさすがにひどかっただろ。守るべきプライドってものがあるだろうに、まったく」テギュとソンチョルは、あの「大惨事」が起きた日、その場にはいなかった。組織の者たちの間では、あの日は「大惨事の日」と呼ばれていた。もし二人がその場にいたなら、命を懸けてでもドヒョクを止めただろう。ジュハに何を言われようと、あんなことを起こさせるはずがなかった。もちろん、その場にいた者たちは、そんな話を聞くたびに不服そうにした。実際にジュハを目の前にしていたら、絶対にそんなことはできなかったはずだ、と。そもそも、ジュハを最優先にしろと言ったのはドヒョク自身だった。それに彼らだって、ドヒョクを止めようと精いっぱい努力したのだ。本当に。「でも、もうずいぶん長いよな……」「姉貴がいなかった頃より、顔色
「よかった……です」ドヒョクは、それ以上何も付け加えなかった。どれほど悩んで選んだのか、いくらしたものなのか、どうやって手に入れたのか。そんなことは何一つ話さず、ただジュハが気に入ってくれたという事実だけを喜んだ。自分が用意した贈り物を拒まれなかったことが、ただ嬉しかったのだ。「大切に使うね」ドヒョクは口を開きかけて、ぎゅっと唇を結んだ。その言葉があまりにも嬉しくて、ジュハが自分の贈ったものを「使う」と言ってくれたことが、少し信じられなくて。うっかり口を開けば、笑みを隠せなくなってしまいそうだった。彼はただ、結んだ唇の端を上げたまま、頭を下げた。部屋にしばし沈黙が流れた。「……もう行って」ジュハはノリゲから視線を外して言った。ドヒョクがびくりと顔を上げた。まだ、今はこれが精いっぱいなのだろう。行為を終えたあと、並んで横になって話をしていた頃を思い出すと名残惜しかったが、仕方がなかった。今はまだ、慎重にならなければならない時期だった。彼女の機嫌がすっかり直ったのかどうかさえ、確信が持てなかったのだから。彼はすぐに気持ちを立て直し、小さく頷いた。「はい」ドヒョクは扉を開けかけたところで、ふと、一番大切なことを言い忘れていたと思い出し、慌てて振り返った。ジュハは彼の後ろ姿をこっそり見ていたところだったので、少し驚き、思わず目を細めた。そうでもしなければ、驚いたことが顔に出てしまいそうだった。その表情にドヒョクはびくりとしたが、すぐに口を開いた。「あの、お誕生日……おめでとうございます……」突然の展開に、一番大切な言葉を伝えそびれていたのだ。部屋の中は、嘘のように再び静まり返った。ジュハはしばらく口を開かなかったが、やがて「うん」と短
ドヒョクが必死に自分を抑えようとしている姿は、痛々しくもあった。けれど、ジュハにはそんな彼を優しく甘やかすつもりはなかった。ただ、素直に振る舞う彼を際限なく苦しめられるほど、薄情にもなれなかっただけだ。ジュハは片手では収まりきらない彼の骨盤をぐっと強く掴むと、内壁の最奥を容赦なく穿ち刺した。「いって。我慢しないで」「あ、あぐっ……! あ、ありがとうございます……! ジュ、ジュハ様……!」許しを得たドヒョクは、長く息を吐きながらベッドへ崩れ落ちた。太ももと背中をぷるぷると震わせ、ペニバンをきゅっと締めつける彼の後孔を見下ろし、ジュハも荒い息を吐き出した。ジュハの腰の動きが、ゆっくりと止まった。部屋には、二人の荒い呼吸だけが入り混じっていた。絶頂が終わったあとも、ドヒョクは尻を下げることもできず、枕に顔を埋めたままじっとしていた。小さく鼻をすするような音が聞こえた気もした。まったく、あの大きな身体に似合わない。けれど、それが悲しみや痛みからくるものではないことくらい、ジュハにもわかっていた。彼はきっと、幸せな余韻を持て余しているのだろう。ドヒョクは、ジュハが突然こんなことをした理由をいまだに理解していなかった。それでも『ご褒美』という言葉のおかげで、胸の不安は少しだけ和らいでいた。しばらくそのままでいると、背中にそっと指先が触れた。背骨に沿ってゆっくりと滑り降りてくる感触に、大きく逞しい身体がわずかに強張った。「ふふっ……」彼が緊張するのを楽しむように、ジュハが小さく笑った。ドヒョクはその声があまりにも嬉しくて、思わず息を潜めた。けれど、それだけだった。ジュハはゆっくりと身体を離した。ドヒョクは小さく身を震わせた。彼女は何も言わずに片づけを始め、サイドテーブルの
「くっ……」短く漏れた声とともに、彼の後孔がキュッと収縮した。 ジュハは思わず自分の下唇を軽く噛んだ。 久しぶりに目にする彼の身体は相変わらず艶めかしく、ジュハは当初の予想とは裏腹に、強く心を揺さぶられた。 ジュハは小さく深呼吸をすると、ペニバンにもローションをたっぷりと塗りたぐった。 ヌチャヌチャとした湿った音が、ドヒョクの耳に生々しく響く。「入れるよ」ローションに濡れた巨大な業物をドヒョクの入口にあてがうと、ジュハは普段とは違い、一気に奥深くまで突き立てた。「あ、あぐっ……! あ……っ!」指でひとつひとつ丁寧に解してくれた以前のジュハを思い出し、少し寂しくもなったが、それもほんの一瞬だった。 彼は大きな背中を弓なりに反らせ、すぐに甘い喘ぎ声を漏らした。 あまりにも喜んでいるようには見られたくなかったのに、どうしても声が抑えられなかった。 ジュハはそんなドヒョクの骨盤を強く掴み、容赦なく腰を振り始めた。 その動きは荒々しかった。 そこには『望むものを与えているだけ』という小さな強がりと、ほんの少しの本音が入り混じっていた。 もしかするとこの行為は、彼のためではなく、自分自身のためのものなのかもしれないと思ったからだ。「あふぅん……! ジュハ様……っ! はうっ……!」好きなのだから、そう思うのも当然なのかもしれない。 ジュハはそんなことを考えながら、さらに激しく腰を動かした。 彼の喘ぎ声は相変わらず耳に心地よかった。 パンパンと肉がぶつかる音と、ぐちゃぐちゃと粘膜が鳴る猥雑な音が交互に響く。 ジュハの腰使いはますます激しさを増していった。 冷たかった部屋の空気も、いつの間にか温まってきたようだった。 ドヒョクは自分のなかを隙間なく満たすジュハの存在感に、喘ぎ声を呑み込んだ。「ふぅん……っ!」そのとき、ドヒョクの頭の中は今にも破裂しそうだった。 彼女の腰使いに一番深いところを穿たれるたび、狂いそうなほどの快感が脊髄を駆け抜けたが、それとは裏腹に理性はひどく混乱していた。 いったいなぜセックスしているのか、彼にはいまだにわからなかった。 だから身体はジュハの与えてくれるものを受け入れながら締めつけても、頭の中はぐちゃぐちゃだった。 ご褒美というにはあまりにも激しく、罰というにはあまりにも甘美だった。 ただの八つ
「まあ、この辺ならホテルなんていくらでもありますし」 この辺りはラブホテルだらけだった。 ドヒョクはジュハの言葉に、小さく周囲を見回す。 生まれながらの坊ちゃん育ちで、こんな場所に来たことは一度もない。 もっとも、今さら二人でタクシーに乗ってホテルを探すというのも、それはそれで妙な話だった。「ふーん」「手でしかしませんけど。 それでもいいなら」「……何?」 ずいぶんと肝が据わっていた。 自分より倍は大きな男に向かって言う言葉とは思えない。 世間知らずなのか。 それとも、何か根拠のない自信でもあるのか。 酒に酔っているはずなのに、その瞳だけは不思議なほど生き生きとして
ジュハは、新学期初日からかなり酒を飲んでいた。 五年制の建築学科も、いよいよ最後の後期。 卒業制作の展示会も終わり、あとは卒業論文を書くだけ。 長かった学生生活も、ようやく終わる。 そう思うと、なぜだか無性に酒が飲みたくなった。 大学生活四年半の間、ここまで飲んだことは一度もない。 建築学科は酒を飲む人が多いイメージだったが、ジュハ自身は酒を好まなかったため、そこまで飲む機会もなかったのだ。 だから、その日の彼女は珍しく酔っていた。 道で大柄な男とぶつかったとき、何も考えず軽く頭を下げて謝ったのも、そのせいだった。「謝り方にしては、ずいぶん適当だな?」 そう言われ、ジュ
「どう? 家族の借金は少しあるけど、学校の先生だ。 悪くないだろ?」 何が「どう」なのか。 ドヒョクはソンミンの手から酒瓶を取り上げ、自分でグラスへ酒を注いだ。 そして、一気に飲み干す。 少し酒が入れば、昨夜と同じ状態になるかもしれない。 そんな考えが頭をよぎる。「今までとはちょっと違うタイプを集めてみたんだけど?」 だが、ドヒョクの隣へ座った相手は、目を合わせることすらできず小さく震えていた。 別にここで誰かと関係を持つつもりで
ドヒョクは、その十一桁の電話番号をじっと見つめていた。 名前を登録しようにも、何と保存すればいいのか分からない。 昨夜は、酔い潰れるほど飲んだわけではない。 それでも朝になると、ようやく頭が冷えてきた気がした。 そもそも、なぜ番号を聞いたのか。 自分でもはっきり覚えていない。 あの女と、この先どうするつもりだったのか。 昨夜のことは、ちょっとしたハプニングとして終わらせればいい。 そう自分に言い聞かせながら、ベッドを降りた。 もしかすると、昨日