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彼と彼女と隠し事①

last update Huling Na-update: 2025-12-24 20:10:48
 今回の依頼人は杉浦亨、結婚をひかえた二十代後半のサラリーマンだった。

「実は、婚約者が毎週土曜日にセミナーに通っているらしいんですが、くわしいことを一切教えてくれないんです。

 付き合っている時は気にならなかったんですが、いざ結婚となってから、気になってしまって」

 杉浦亨は中肉中背でごく一般的な紺のスーツを着ていた。

 光を反射する高そうな腕時計を着けていることから、給料のいい企業に務めているのだと分かる。

「もしも怪しい宗教とかだったらどうしよう、って思ったんです。そうでなくても、やっぱり結婚するなら隠し事はない方がいいと思いますし」

 不安そうにする杉浦亨へ、所長の久我健人くがたけとはたずねた。

「失礼ですが、うちに依頼するのではなく、まずは相手とよく話し合ってみるべきでは?」

「それが、何度聞いても駄目なんです。なので、これが最終手段なんです」

 すがるような目をして杉浦亨は言う。

「もし彼女が怪しい宗教に入っているのではなく、危険なことをしているのでもなければ、僕は黙って引きさがります。

 どうかお願いします、結婚する前にどうしても知っておきたいんです」

 久我は納得したように首を動かした。

「分かりました。どうやらご意思が固いようですので、調査を引き受けましょう」

「ありがとうございます!」

 杉浦亨がそう言って深々と頭をさげるのを、相楽浩介さがらこうすけはパーテーションの隙間から見ていた。

 土曜日の朝、依頼人の婚約者が出かける頃を見計らって、池袋にあるマンションまでやってきた。

 住宅街の一角にある白い建物から、調査対象の村上やよいが出てくる。

 離れたところから確認した相楽は、さっそく尾行を開始した。

 村上やよいは杉浦よりいくつか年が若く、二十代半ばといった風だ。

 今朝はくもり空が広がっていて肌寒いため、彼女は薄手のカーディガンを羽織っている。

 一見したところでは特に怪しいところはない。

 強いて言えば、やや大きめのリュックサックを背負っていることが気になった。中身がしっかり入っているのか、重そうだ。

 しかし近年、女性の間ではリュックサックが流行している。特におかしいことではないのかもしれない。

 相楽は考えを巡らせつつ、後をしっかりとついていく。

 村上やよいは池袋駅につくと、東
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