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前へ進むために

Author: 影畑凛星
last update publish date: 2026-06-07 07:24:47

 週末が終わり。

 月曜日の朝が来た。

 佳苗はキッチンで朝食の準備をしていた。

 以前より手際がいい。

 自分でもそう思う。

 生活のリズムが戻ってきたからだろうか。

 その時。

 テーブルの上のスマホが震えた。

 雄吾が画面を確認する。

 そして。

「三浦だ」

 短く言った。

 佳苗の手が止まる。

 最近。

 三浦からの連絡は、

 離婚の話が多い。

 雄吾は通話へ出た。

『おはようございます』

 三浦の落ち着いた声が聞こえる。

『相手方の代理人から連絡がありました』

 佳苗は思わず顔を上げる。

『離婚条件について協議したいとのことです』

 静かな朝だった。

 けれど。

 その一言で空気が変わる。

 雄吾は短く返事をした。

「分かった」

 数分ほど話したあと、

 通話は終わった。

 佳苗は無意識に指先へ力を入れる。

「進んだんですか」

 小さく尋ねる。

「ああ」

 雄吾は頷いた。

「向こうも話し合う気はあるらしい」

 佳苗は黙る。

 離婚。

 ずっと望んでいたこと。

 なのに。

 現実味を帯びると不思議な気持ちになる。

 長い結婚生活だった。

 楽しかった時間もある。

 だから。

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