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当たり前じゃない

Author: 影畑凛星
last update publish date: 2026-06-23 19:21:27

 悟と会ってから数日が過ぎた。

 佳苗の日常は何も変わらなかった。

 朝起きて。

 会社へ行って。

 帰宅して。

 勉強をする。

 そんな毎日だ。

 けれど。

 一つだけ変わったことがあった。

 もう悟のことを考えなくなった。

 気づけば一日思い出さない日もある。

 離婚協議のことも。

 恵のことも。

 今では遠い出来事のようだった。

 その日の夜。

 佳苗は仕事を終えて帰宅した。

 玄関を開ける。

 すると珍しく部屋が暗かった。

「あれ?」

 佳苗は首を傾げる。

 雄吾の方が帰宅は早いことが多い。

 だが今日はまだらしかった。

 時計を見る。

 もう八時近い。

「残業かな……」

 そう呟いてリビングへ向かう

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  • 夫の子を産まされ、妹の身代わりとして死んだ私――今世では冷徹CEOに執着されています   やっと捕まえた

     恵が帰ったあとも、佳苗はしばらく動けなかった。 心臓が嫌なほど脈打っている。 あの目。 一瞬だけ見せた、冷たい視線。 前世では最後まで気づかなかった。 恵はずっと、自分から奪うことを楽しんでいたのだ。「……っ」 佳苗は唇を噛み締める。 怖い。 けれど、それ以上に悔しかった。 どうして自分は、あんな人たちのために命まで懸けてしまったのだろう。 テーブルの上に置かれた結婚写真が目に入る。 幸せそうに笑う自分。 悟の腕に寄り添って、未来を信じ切っていた頃の自分。 ――滑稽。 佳苗は震える手で写真立てを伏せた。 もう戻れない。 戻りたくもない。 今度こそ終わらせ

  • 夫の子を産まされ、妹の身代わりとして死んだ私――今世では冷徹CEOに執着されています   置いていかれる側

    「……今、泣いてるのか?」 低く静かな声が耳に落ちる。 その一言だけで、張り詰めていた感情が崩れそうになった。 佳苗は慌てて口元を押さえた。「な、泣いてません」『嘘が下手だな、お前は昔から』 昔から。 その言葉に、大学時代の記憶が蘇る。 榊原雄吾。 成績優秀、容姿端麗、誰にも媚びない孤高の男。 学生の頃から有名だった。 近寄りがたい人だったのに、なぜか佳苗にはよく話しかけてきた。『また他人の仕事押し付けられてるのか』『断れないのか、お前は』 呆れたように言いながら、結局いつも助けてくれた。 けれど卒業後は一度も会っていない。 それなのに、どうして今。「どうし

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