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【15】スノボ旅行

Author: 猫宮乾
last update Last Updated: 2025-07-22 17:40:20

 ――その次の冬、俺は、紫野と時島と共に、スノボ旅行に出かけた。

 俺の実家が雪国だと話したら、紫野が行きたいと言い出したのだ。時島の部屋で話していたので、流れで三人で旅行をする事になったのだ。

 雪国出身とは言っても、俺はサークルの旅行でしか、スノボをやった事は無かった。小中学校時代にスキー教室なるものは、存在していた覚えがある。

 宿泊したホテルは、スキー場のゲレンデの正面にあるホテルだった。

 F県のDホテルだ。

 Dホテルは、一度火災が発生し、建て替えられたそうで、新築のように新しいホテルだった。一階にフロントがあり、その奥には廃れたゲームセンターやボーリング場があった。地下には無人のカラオケがある。少々古い曲が入っていたが、自由に歌えた。食事は食べ放題で、俺は甘エビを好んで皿に盛った。

 初日は、到着してからずっとスノボをしていた為、俺達は、疲れ切っていた。

 意外だったのは、時島も非常に巧みに滑っていた事である。

 いかにも得意そうな紫野は、やはり当然のように上手かった。

 俺は……『そこそこ』という感じであろうか。これでも一応山頂から滑る事は出来る。

 ――なお、三度目に、山頂から一番下まで降りた時の事だった。

 ホテルをふと見上げる、二階の客室に髪の長い女が見えた。

 宿泊客だろうが――意外に思ってじっくり見てしまった。美人だったから……だけではなく、赤いワンピースを着ていたからだ。真冬にワンピース……? 寒くないのだろうか?

 ――少し、詳細にこの時の出来事を記しておこう。

 初日――滑った後、俺達は一度部屋に戻り、それから大浴場に向かった。時島は引き締まった体をしている。紫野は時島よりも少し細い。って、俺は何を観察しているのだろうか……。仕方が無いだろう、俺が一番貧相な体型だったものだから、気になってしまったのだ。客は俺達の他には、恰幅の良いおじさんが一人いるだけだった。えびす顔が印象的だ。

 その後、食べ放題では、沢山食べた。和洋折衷で、麻婆豆腐や唐揚げ、ハンバーグやエビフライ、野菜類、ひじき、カレー、ちらし寿司と様々な品が並んでいた。

 夜が更けてからは、カラオケをした。

 ここでも意外だったのは、時島の歌が上手かった事だ。スノボにしろ歌にしろ、二人は巧かったのである。俺は非常に、平均的だった……。あまり褒められた覚えが無い。かと言って、下手だと言われた記憶も無い。

 存分に楽しんでから部屋へと戻った時、俺はふと、赤いワンピースの女の事を思い出した。

 部屋は、俺と時島が一緒で、紫野が一人部屋だ。だが三人で、その時もまだ、飲んでいた。紫野が、俺達の部屋に顔を出し、自販機で買ってきた缶麦酒を三人で手に取っていた。

「――で、さぁ、この季節に赤いワンピースってどう思う?」

 缶麦酒を飲みながら俺が言うと、二人が表情を変えた。

「お前、このホテルで火事があったって、自分で俺達に話してくれたよな?」

 紫野の言葉の意味がよく分からなくて、俺は首を傾げた。それは事実だ。だから頷く。

 すると時島が、隣で淡々と言う。

「俺には焼死した女が視える」

「え?」

 俺は呆然とした。ゾクッとする。

 その夜――紫野が部屋に戻ってから、俺は隣の布団で横になっている時島を見た。

「なぁ、時島。起きてるか?」

「――ああ」

 時島の声は少し眠そうだったが、俺はその言葉に安堵して、つい話を続けてしまった。

「幽霊って本当にいるのかな」

「……なんだ急に」

「今でも俺は、自分が視たものが、お化けの類だって信じられないんだよ。なのに怖いんだ」

 弱音を吐くなんてどうかしていたと思う。何せ楽しいスノボ旅行だ。

 すると布団の中に時島の手が入ってきた。

「? なんだよ?」

「手を握ってやるから」

「え?」

 恥ずかしいと思っていたら、ギュッと手を握られた。その温もりは、少し低い。けれど非常に安心感があった。指と指との間に、時島の指が入ってくる。俗に言う恋人繋ぎだ。気恥ずかしくなったが、俺は本当にその感覚に康寧な気持ちになったのだった。

 翌日の朝。

 紫野が真っ青な顔をして、待ち合わせをしていた朝食の席に現れた。

 朝食は、和食のバイキングだった。俺は生卵が食べられない。そもそもあまり朝は食べる気にならない。不規則な生活を送っている弊害だろうか。

「なぁ……時島、部屋、変わってくれないか?」

 そして唐突に、紫野が言った。

 ――俺は海苔の封を切りながら、昨夜、手を繋いだ後、すぐに寝入ってしまった事を思い出していた。

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