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第74話:判決

作者: fuu
last update publish date: 2026-07-14 20:01:07

「主文。被告人を、懲役三年に処する」

 裁判長の声が、法廷に落ちた。

 私は息を止めた。隣で弁護士が、わずかにうなずくのがわかった。傍聴席のどこかで、誰かが小さく声を漏らした。

 被告人。三崎清隆。

 七年間。私が数字を合わせてきた会社の社長だった男。私を横領犯に仕立てて切り捨てた男。その男が今、被告人と呼ばれている。

「この裁判が確定した日から、五年間、その刑の執行を猶予する」

 裁判長は、続けてそう告げた。

 懲役三年、執行猶予五年。検察が立証したのは、横領だけじゃない。証拠隠滅。責任転嫁。それでも、前科のない初犯という壁は、あの男を塀の中までは落とさなかった。

 一瞬、物足りなさが、胸をかすめた。あの男が、刑務所の塀の中へ消える画を、私

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  • 横領犯にされた経理女は、若頭の金庫を握って元社長を潰す   第5話:落ちた女の履歴書

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  • 横領犯にされた経理女は、若頭の金庫を握って元社長を潰す   第4話:返したいのはお金じゃない

    「不足分の返還に応じる意思を見せれば、表向きは大事にしない方向で」 長尾の電話を切ったあと、私は思った。返したいのは、お金じゃない。 私物をまとめて、半ば追い出されるように会社を出た。段ボール一つ。七年分の荷物が、両手で抱えられる量しかなかった。 社員たちは、見ないふりをした。 目が合いそうになると書類に戻る。 誰も助けない。 誰も、何があったのか正面から聞かない。 その静けさが一番こたえた。 軽蔑ならまだ相手がいる。 見ないふりは、私をもう「終わった人間」にしていた。 生きているのに、いないことにされている。 その日の午後、また長尾から電話が来た。「会社としては穏便

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