そう言い終えると、手を握られた。来た人物がもう一度口を開く。「彰人、私よ」言葉よりも先に涙がこぼれた。彰人にとって、舞はただの親族ではなかった。恩人であり、まるで母のような存在でもあった。彼は舞に対して負い目があった。願乃を幸せにできなかったこと。過去に背負ったもの、そしてこれからの人生でも背負い続けるもの――そのすべてを。彰人は身体を起こそうとした。だが舞はそれを許さなかった。手首を押さえ、ベッドに寝かせたままにする。何度も感情を押し殺した末、舞は低く言った。「モナが私を呼んだこと、責めないであげて。あなたのカルテは見たわ。確かに、簡単な状況じゃない。彰人、私にとってあなたは願乃の夫であるだけじゃない。私が育ててきた子でもあるの。だから、メディアの株を売ったと聞いたとき、本当に胸が痛んだの。たとえ願乃のためだとしても、許せなかった。私はずっと、公私を分けられる人であってほしかった。でもあなたは……ただ、愛に生きる人でいようとしたのね」彰人はうつむき、かすれた声で言った。「母さん」舞の声はさらに低くなる。「でも彰人。メディアを手放して、そのうえ想いも報われなかった……後悔していないの?」周防家を離れ、メディアを手放す――それは上流社会から追放されることと同じだった。それでも、彼は後悔しているのだろうか。「後悔していない。母さん、俺は一度も……後悔したことはない」――最後の数文字は震えていた。どうして後悔などできるだろうか。彼が抱いているのはただ一つ、憎しみだった。不公平な運命への怒り。あとほんの少しだけ足りなかった、自分の運の悪さへの悔しさ。願乃とのすべてにおいて――彼は一度たりとも後悔していない。彼女を傷つけたことも。彼女を不機嫌にさせたことも。それでも、後悔はない。それが彼という人間だった。だが、それでも彼は手放すことを選ぶ。願乃、俺は身を引く。だから――ほんの少しでいい、俺を恨む気持ちを和らげてほしい。しばらく言葉を交わした後、舞は決断した。それは一人の母としての決断だった。願乃の母であり、同時に、彰人の母でもある者としての。「彰人、ベルリンに行きましょう。肝臓の治療ができるか診てもらう。それから、脳の専門医と精神科医も探すわ。あ
Read more