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第8話(9)

** 気が高ぶっているせいで、おとなしく書斎に閉じこもる気にもなれず、冷蔵庫を開ける。食料は大して入っていないのに、飲み物の種類は豊富だ。外食が主の和彦の生活パターンに合わせて、この部屋に通ってくる組員たちがよく飲み物を補充してくれるのだ。 グラスに氷を放り込み、オレンジジュースを注ぐ。しばらくアルコールは自重したかった。 和彦はソファに腰掛け、グラスに口をつけながらテレビのニュース番組をぼんやりと眺める。だが、ある暴力団の幹部が撃たれたというニュースが流れると、無意識に眉をひそめてチャンネルを替えていた。 こんな生活に入る前は、社会の害悪になるような存在がどうなろうが気にも留めなかったが、今は違う。胸苦しさを覚えるのだ。 突然、インターホンが鳴り、ドキリとする。反射的にソファから腰を浮かせて和彦が考えたのは、和彦の今夜の行動が知られ、在宅を確認するために組員がやってきたのではないかということだった。 身構えながらインターホンに出た和彦は、テレビモニターを見てから微妙な顔となる。映っていたのは、千尋だった。 何か用かと聞くのも野暮で、エントランスのロックを解除してやる。 部屋に上がってきた千尋は珍しくスーツ姿で、まとっているのは、香水と化粧品の柔らかな香りだ。 玄関に入るなり、人懐こい犬っころのように嬉しそうな顔をして、千尋が抱きついてくる。「せーんせっ」 あまりの勢いに少しよろめいた和彦だが、なんとかしなやかな体を受け止めつつ、ドアの鍵をかける。「……機嫌がよさそうだな。酔ってるのか?」「うん。きれいな女の人がたくさんいる店に行ってた」「そうか。こんなに酔ってるなら、まっすぐ本宅に帰ればよかっただろ」 何げなく和彦が応じると、顔を上げた千尋が不満そうに唇を尖らせた。「さらりと受け流さないで、少しぐらい嫉妬してみせてよ」「バカ。こんなことで嫉妬してたら、こっちの身がもたない。だいたいお前、カフェでバイトしている頃、よく合コンだなんだって、女の子と遊んでたじゃないか」「あれは、友達のつき合い。今夜は、組
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第8話(10)

 普段以上に甘ったれな犬っころぶりに拍車がかかっており、神経を張り詰めて相手をしていると、かえって異変を悟られそうだ。酔ってはいても、千尋の嗅覚はバカにはできない。「とにかく上がれ。ここに寄ったということは、泊まっていくんだろ」「……うん。いい?」 首を傾けて問いかけてきた千尋が、次の瞬間には、甘えるように和彦の肩に額をすり寄せてくる。そんな千尋の頭を片腕で抱き締めて、和彦は応じた。「ぼくが追い返すとは思ってないだろ、お前」 悪びれることなく頷いた千尋の頭を、思いきり撫で回してやる。 和彦は、千尋を支えながら寝室に連れて行き、ベッドに横にさせる。とことん和彦に甘えるつもりなのか、千尋は大の字になってしまい自分で何もしようとはしない。仕方なく和彦は、千尋の靴下を脱がせてから、体の上に馬乗りになる。千尋が楽しそうに笑い声を上げた。「すげー。これから先生に犯されそう」「あんまり変なこと言うと、部屋から叩き出すぞ」 ジャケットを脱がそうとして、ポケットに入った携帯電話に気づく。色は違うが和彦と同じ機種、ストラップまでお揃いというもので、見るたびに気恥ずかしくなるのだが、ヤクザの世界にいて、妙なところで純真なままの千尋が可愛くもある。 一方の自分は――と考えると、和彦は自己嫌悪に陥らずにはいられない。とっくに純真さなどなくしてしまい、狡猾で計算高くなるだけだ。そのくせ、秦に簡単に口づけを許してしまった。 和彦は大きくため息をつくと、サイドテーブルに千尋の携帯電話を置いてから、自分もベッドに転がる。嬉々として千尋にさっそく抱き寄せられ、有無をいわさず唇を塞がれた。「こら、今夜はおとなしく寝ろ――」 口でそう言いながらも和彦は、千尋と唇を啄ばみ合っていた。「組のつき合いって、お前の父親も一緒だったのか?」 穏やかなキスの合間に問いかけると、千尋は小さく首を横に振る。「総和会絡みの会合で、俺はじいちゃんについて行ったんだよ。俺みたいな二十歳そこそこのガキなんて、じいちゃんやオヤジの威光がないと、幹部クラスには相手にしてもらえないから、そうやって顔と名前を売るん
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第8話(11)

「ヤクザの世界じゃ、血統っていうのはそんなに大事にされてないんだ。あくまで実力主義。だから、ひいじいちゃんからじいちゃん、そしてオヤジ、俺、って形で続こうとしている長嶺組は、珍しいっていうか、異端なんだよ。じいちゃんが総和会の会長になったから、なおさら注目度アップで、俺の肩にのしかかる期待と重圧は半端じゃない――」 もっともらしい顔で大事な話をする千尋だが、その手は油断なく動き、和彦が着ているTシャツをたくし上げて、スウェットパンツと下着を引き下ろしにかかっている。「跡を継ぐことが決まっているから楽なんじゃない。継ぐことが決まってるから、キツイんだ。みんな、今から俺を値踏みしてる。じいちゃんやオヤジは怖くても、俺ならどうにかできるかもしれない、と舌なめずりしてる奴もいるだろうな。俺としては、そういう甘い期待をぶち壊して、高笑いしてやりたいんだ」「……大人なんだか、ガキなんだか、お前が言っていることを聞いていると、わからなくなる」「大人だろ、立派な」 意味深にそう囁いてきた千尋に片手を取られ、スラックスの上から高ぶりに触れさせられる。 スーツ姿でしたたかに笑う青年を、和彦は目を丸くして見つめる。まるで、千尋ではないみたいだ。いや、確かに千尋なのだが、新たな一面を見せ付けられ、和彦は戸惑っていた。「――……スーツなんて着ているせいか、別人みたいだ、千尋……」「迫られて、ドキドキする?」 正直に答えると調子に乗らせるだけだと思い、和彦は顔を背けようとしたが、傲慢な手つきであごを掴まれて、深い口づけを与えられる。 その間にも千尋にさらにスウェットパンツと下着を引き下ろされ、とうとう脱がされてしまう。 覆い被さってきた千尋が、余裕ない手つきでスラックスの前を寛げながら、和彦の胸元を舐め上げてくる。和彦はわずかに息を弾ませて言った。「泊まってもいいから、今夜はおとなしくしていろっ……」「それは無理。――きれいな女に囲まれて、ちやほやされながらずっと考えていたのは、先生のことだった。早く先生を抱きたくて仕方なか
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第8話(12)

「んうっ」 内奥に太い部分を呑み込まされ、それだけで和彦は乱れてしまう。「なんか、この格好、すっげー卑猥。俺が先生をイジメてるみたい。先生が俺に逆らえなくて、恥ずかしい姿にされて、こんなもの尻に入れられて――」 一度は引き抜かれた千尋のものが、ゆっくりとまた内奥を犯し始める。触れられないまま和彦のものは反り返り、先端から透明なしずくをはしたなく垂らしていた。 和彦がシーツを握り締め、押し寄せてくる快感に耐えていると、緩やかに腰を動かしながら千尋がネクタイを解き、首から抜き取る。次に和彦の両手首に、そのネクタイを巻きつけて結んでしまった。「千尋っ……」 和彦が声を上げると、千尋はさらに腰を進め、これ以上なくしっかりと繋がる。 両手は体の前に回しているうえ、ネクタイによる拘束そのものも緩いため、結び目を歯を使って解くことは難しくない。これは、〈拘束ごっこ〉と呼べるものだ。 和彦の姿をじっくりと眺めて、千尋が吐息を洩らす。「ますます、卑猥になったね、先生」「お前、あとで覚えていろよ」 負け惜しみのように和彦が言うと、すかさず濃厚な口づけを与えられた。内奥では、興奮しきった千尋のものが堪え切れないように蠢き、脆くなった和彦の襞と粘膜を擦り上げてくる。 二人は、刺激的な遊びに夢中になり、そこで得られる快感に酔いしれていた。 千尋に乱暴に内奥を突かれながら、和彦は上半身を捩るようにして乱れる。その姿がまた、千尋の興奮を煽るらしく、反り返ったまま震えるものを扱かれてから、柔らかな膨らみも手荒く揉みしだかれ、強い刺激に和彦は悲鳴を上げる。気がついたときには、熱い精を噴き上げ、下腹部を濡らしていた。 喘ぐ和彦の唇を軽く吸って、千尋が囁いてくる。「――先生、中、いい?」 内奥深くで、千尋の若々しい欲望が脈打っている。和彦は縛められたままの両手を動かし、千尋の頬を撫でた。「シャワーを浴びたばかりだから、嫌だ」 千尋は一瞬目を丸くしたが、和彦の仕掛けた軽い遊びに気づいたらしい。ニヤリと笑ったあと、表情を改めてこう言った。「俺のオンナ
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第8話(13)

**** ヤクザの世界に引きずり込まれてから、異常な環境で毎日を忙しく過ごし、気がつけば、それが和彦の日常になってしまった。周囲にいるのは堅気という定義から大きく外れた人間ばかりで、遭遇する出来事も物騒なことが多い。 しかし、そんな日々の中でも和彦なりに気持ちのバランスを取り、そうすることに慣れ始めていた。 だからこそ和彦は、ここ最近の異変を確実に感じ取っていた。なんだか空気が落ち着かず、ざわついている。それともヤクザの世界では、この状況が普通なのだろうか。 こんな仕事も普通なのだろうか――。 駐車場に停められたワゴン車から降りた和彦は、ため息交じりに呟いた。「――基本的なことを忘れているようだが、ぼくの専門は、あくまで美容外科だぞ」 口中で和彦が呟くと、先に車から降りた三田村が首を傾げる。「先生?」「なんでもない」 クリニックに取り付ける照明器具を選ぶため、専門店に出かけていた和彦の元に突然、診てほしい薬物中毒患者がいると三田村から連絡があり、一旦家に引き返して準備を整えたところに、当の三田村が迎えに来た。 顔を合わせられたからといって、砕けた調子で会話を交わせる状態ではない。和彦には護衛が張り付き、三田村にも、今日は組員がついている。 若頭補佐という立場上、三田村も手足のように使える組員が何人かおり、和彦の護衛の仕事に就く以外では、彼らを伴って動いているのだそうだ。自分の弟分だと言って、三田村が律儀に一人ずつ紹介してくれたので、和彦は顔も名も覚えていた。 つまり、三田村が弟分の組員を伴っているということは、それ相応の事態なのだ。 住宅街の中にある、特徴のない鉄筋アパートの三階へと案内されながら、たまらず和彦は三田村に話しかけた。「……ぼくがこれから診る相手は、あんたが任されている仕事に関係あるのか?」 三田村は無表情のまま、曖昧に首を振った。「関係あるといえば、関係ある。組長の指示だ。――この手の患者の治療にも、今から先生に慣れておいてもらいたい、と」 ここで和彦は
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第8話(14)

 その青年がドアを開けた部屋に、促されるまま和彦は足を踏み入れ、その後ろで三田村は、護衛の組員に辺りを警戒しておくよう指示を出す。部屋に入ったのは、和彦と、三田村とその弟分の組員だけだった。 理由は簡単だ。部屋は狭い1DKで、大きな男が何人も入ると、身動きが取れなくなる。それでなくてもすでに、組員が二人、部屋で待機していた。 部屋に立ち込める煙草の匂いに顔をしかめつつ、三田村に肩を抱かれた和彦は、奥の部屋を覗く。 痩せた青年が布団の上に寝かされ、全身を激しく震わせていた。蒼白となった顔色と、閉じた瞼が震えているのを見て、即座にその青年の傍らに座り込み、脈を取る。「――薬物を摂取して、どれぐらいの時間が経った?」 誰にともなく問いかけると、派手な髪型をした青年が震える声で答えた。「お……、俺が気づいたのは、一時間前です。それまでは、薬を呑んだとか言って、ヘラヘラ笑っていたんです。でも、いつの間にかぐったりして、こんなふうに痙攣し始めて……」 そう説明を受けた和彦は、青年を風呂場に連れていき、とにかく水を飲ませて吐かせ、胃を洗浄するよう組員たちに頼む。 それは速やかに実行に移され、風呂場から激しい水音と嘔吐する苦しげな声が聞こえてくる。「ぼくは、なんでも屋じゃないぞ」 治療用の道具を小さなテーブルの上に並べていきながら、傍らに立つ三田村にぼそりと話しかける。三田村は表情は変えないながらも、優しい眼差しを向けてきた。「でも先生は、こちらの無茶な要望に応えてくれる。美容外科専門だと言いながら、患者の腹に手を突っ込んで、大手術だってやるしな」「死なせるな、と無茶な要求を言ってきたのは、あんたたちの組長だぞ」「先生が相手だから、組長はそういう要求をしたんだ」「……ぼくを働かせないと損だと思っているな、あの男」 話しながらも点滴の準備をしていた和彦は、ふと、テーブルの下に落ちているピンク色の小さな錠剤に気づいた。一瞬キャンディーかと思ったぐらいカラフルで、手に取ってみると、錠剤にはアルファベットの刻印がある。
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第8話(15)

「前から、この手の合成麻薬ってのは、ガキの間で流行っていたんだが、こいつは、特に性質が悪い。お菓子みたいな見た目で、手軽に気持ちよくなれる薬だと思って手を出したら、取り返しがつかなくなる」「麻薬は麻薬だろ。どれも性質が悪い」「この小さな粒が、一ついくらするかわかるか、先生?」 和彦が首を横に振ると、三田村はティッシュペーパーを数枚取って、錠剤を包んでしまう。「今の相場だと、一万円以上。合成麻薬の値段としては、なかなかの高さだ。だが、よく効く。含まれている〈砂糖〉の量が多いからな。一粒を飲むのはもったいないからと言って、砕いて分けて使う人間もいるらしい」「使う?」「少しずつ指に取って、粘膜に擦りつける。手っ取り早く楽しめて、相手がいれば二倍楽しめる――と、得意げに話すバカがいる」「それは……」 言いかけて、和彦はため息を洩らした。三田村の言う〈砂糖〉の意味がわかったからだ。そこに、風呂場から組員たちが、青年を引きずって出てきた。「吐かせたものの中に、溶けかけた錠剤が五錠ありました」 組員の報告に、三田村が珍しく口中で毒づく。そして和彦を見た。「ここから先は、先生に任せる。俺たちは、薬に手を出して中毒になった奴に対しては、水を飲ませ続けて、体を縛り上げることしかしない。薬が抜けるか、廃人になるかは、そいつ次第。そうなる覚悟があってヤバイものに手を出したと判断している。ただ今回は、この薬が原因となると、荒っぽい手段は取りたくない」 三田村は、手にしたティッシュペーパーの包みに視線を落とした。 なんとなく、三田村が任されている仕事がどんなものなのか、推測できた。長嶺組だけでなく、総和会のいくつかの組が『汚されて』いると賢吾は言っていたが、おそらくこの薬物を指しており、その薬物の出所や売人について、三田村たちは調べているのだ。 和彦はイスの角に点滴バッグを引っ掛けると、青年の腕に注射針を刺し込んでテープで留める。劇的に薬物中毒が改善される治療薬などないので、胃の洗浄をしたあとは、点滴によって薬物を体内から排出する。 救急センターにいた頃、薬物中毒の患者の治療をしたこ
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第8話(16)

「治療に必要なものがあるから、買ってきてくれないか」 和彦がメモを書いて三田村に見せると、そのメモにちらりと目を通した三田村は、組員の一人にメモを渡して指示を与える。 その会話を聞きながら和彦は、薬物中毒と聞いて必要かもしれないと考えて持ってきておいた活性炭を取り出す。胃の洗浄と点滴だけでは不安なので、これも注入するつもりだった。「――いつも感心する。先生は、どんな患者相手にも落ち着いているんだな」 組員の一人が部屋を出ていくと、三田村に言われた。和彦は微苦笑を浮かべながら、注入用のチューブを袋から取り出す。「結局のところ、痛いのも苦しいのも他人事、だからな。ぼくは、自分が痛くなければそれでいいって考えが染み付いているんだ。患者になるべく苦痛を与えない治療法を施せるが、それは、そういう方法を教わったからだ。医者としてのぼくには、人間的な温かみは求めないでくれ」「でも、いい医者だ」「……ヤクザに褒められてもな……」 和彦が顔をしかめてみせると、三田村は微かに笑みを浮かべた。ふっと柔らかくなる視線を交わし合っていると、それを邪魔するように三田村の携帯電話が鳴る。 電話に応じる三田村の口調から、相手が誰であるか推測するのは簡単だった。**「――怖くないか?」 いつものように和彦の肩を抱いてきた賢吾が、唐突にそんな質問をしてきた。質問の意図がわからなかった和彦は、率直に問い返した。「ヤクザが? それとも、あんたのことが?」 運転席と助手席に座っている組員が、一瞬緊張する。和彦の感覚ではわからないが、組員たちにとっては空恐ろしくなるような返答だったらしい。賢吾は、喉を鳴らして笑っている。 青年の薬物中毒の治療が一段落した和彦は、賢吾に昼食に誘われた。三田村の携帯電話にかけてきたのは、賢吾本人だ。 三田村はまだあのアパートにいて、青年がどうやって薬物を入手しているのか探っているところだろう。決して青年が心配というだけで、あのアパートに組員たちが集まったわけではないのだ。 一方の和彦は、にぎわう
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第8話(17)

「先生は、別にヤクザは怖がっていないだろ。ただ、俺のことはずっと怖がっている。……俺が聞きたいのは、ヤバイ薬なんてものがひょいっと目の前に現れて、怖くないかってことだ」「……いまさら怖いものが一つ加わったところで、どう反応していいかわからない」「先生のそういうところが、肝が据わっているというんだ」 当然のように賢吾に手を握られ、和彦も握り返す。これまでのつき合いでなんとなく把握したが、賢吾は車中で体を寄せ合うのが好きらしい。それは、千尋のようにストレートな好意をぶつけてくる類ではなく、和彦の従順さを確かめるためのものだ。 常にこういうことをしてくる男を、怖がるなというのは無理な話だ。「ぼくが診た患者、千尋と同じ歳ぐらいだ。いや、もう少し若いのか」「まだ二十歳になってない。うちの若衆の下で小遣い稼ぎをしているようなガキで、組員ではない。が、長嶺の名に少しでも関わっている人間だ。見捨てるわけにはいかねーだろ」 和彦がじっと見つめると、賢吾はニヤリと笑った。「俺がそんなに優しいはずがないと、言いたげだな」「何も言ってないだろ……」 目を逸らそうとしたが、すかさずあごに賢吾の手がかかり、顔を覗き込まれる。大蛇を潜ませた目が迫ってきた。「先生が考えた通りだ。ガキを放り出さなかったのは、今のこの時期だからだ。長嶺組と繋がりのあるヤク中のガキが外をふらついていたら、警察にいい口実を与えるだけだ」「口実……?」「うちが、今出回っているあの薬の売買に関わっているかもしれない、と考える口実。警察は、薬の売買にどこかの組が関わっていると読んでいるみたいだ。だから――」 和彦は反射的に、賢吾の手をきつく握り締めていた。賢吾は笑みを浮かべると、和彦の手を取り上げ、手の甲に唇を押し当てる。「頭のいい先生だ。ここのところの騒動の全体像が、ぼんやりとでも見えてきたか?」「……蛇蝎の片割れは、薬の件で動いているということか」「薬の件だけなら、本来あの男は無
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第8話(18)

 唇を引き結んだ和彦を、賢吾が意地の悪い笑みを浮かべてからかってきた。「なんだ、フォローはなしか、先生。やっぱり俺は腹黒いか?」「人に聞かなくても、自分でわかっているだろっ」 機嫌を損ねたふりをして、さりげなく賢吾から離れようとしたが、それを許すほど甘い男ではない。反対に、さらに引き寄せられた挙げ句、あごを掴まれて唇を塞がれた。熱い舌に無遠慮に唇をこじ開けられ、口腔に押し込まれる。和彦は一瞬だけ体を強張らせたが、すぐに力を抜き、身を委ねた。 たっぷり口腔の粘膜を舐め回され、引き出された舌を吸われたかと思うと、甘噛みされる。身震いしたくなるような疼きが生まれ、思わず和彦は賢吾の腕に手をかけた。そのまま舌を絡め合っていたが、ふと、ある考えが脳裏を過る。伏せていた視線を上げると、賢吾と目が合った。 舌を解き、下唇をそっと吸い上げられる。囁くような声で賢吾が問いかけてきた。「どうした、先生?」「……ぼくは、組の事情に立ち入る気はない。だけど、どうしても気になることがある」「いい傾向だ。自分は知らないと背を向けていたところで、先生の背にはしっかりと、組の事情がのしかかっているんだ。そろそろ、その重さを実感する頃だろ?」 何もかも見透かしたような賢吾の口調が腹が立つ。しかし、無視できないのも確かだ。どれだけ目を閉じ耳を塞いだところで、和彦はとっくに、組の事情に頭の先まで浸かっている。あとは、和彦がそれらの事情を、自分の腹に呑み込めるかなのだ。「――気を悪くするかもしれないが……、長嶺組は、本当に薬の件には関わってないのか?」 賢吾がスッと目を細め、指先で和彦の頬をくすぐってきた。官能的な口づけで熱くなっていた和彦の体は、急速に冷えていく。「うちの組は、薬関係は扱っていない。そもそも総和会には、組員が薬物で警察に挙げられたら、その組は即除名という会則がある。薬の商売をしている組は、総和会にはいられない」 ここで唇を吸い上げられ、和彦もぎこちなく応じる。賢吾の言葉をどこまで信じればいいのかと困惑していると、腹黒いなどという表現では足りない怖さを持つ男は、言葉を続けた。
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