君は白昼にも落ちぬ星
私は相馬隼人(そうま はやと)と付き合い始めてから十年、結婚して六年になる。
愛し合った年月があまりにも長く、私たち二人はもう、どんな体位も試し尽くしていた。
私が二十八歳のある日、隼人が突然思い出したように語った。十八歳のころ、全身で私――水城柚葉(みずき ゆずは)にのめり込んできた、あの夜のことを。
私は笑って受け流しながら、きっとどこかがもうおかしくなっている――そう悟った。
離婚を決意したあの夜、その引き金となったのは、神崎莉緒(かんざき りお)から届いた一通のメッセージだ。
それは腰に刻まれたハートのタトゥーの写真。
そして、添えられていたのは、たった一行の挑発だ。
【彼、毎日ここにキスするよ】
その短い言葉に、私は心臓をぎゅっとつかまれる。
だって、かつての私の腰にも、同じタトゥーがあったから。
あのころ――隼人は、命を落としかけるほどの勢いで十八歳の私を求めていた。