絶望を乗り越え、真の幸せへ
子供を持たないと誓った夫・結城湊が媚薬を盛られて、私・工藤栞の援助で大学を卒業した桜井莉乃とホテルで一夜を共にした。
その後、湊は全身にキスマークをつけたまま、私に懺悔した。
「俺の油断から過ちを犯してしまった。あの子にはもう十分な補償をして、海外へ留学させた。
栞、お前への愛は永遠に変わらないから」
罪を償おうとするかのように、湊はためらいもなく自分の腹をナイフで三度も刺した。
飛び散る血を見て私は理性を失って、「湊のせいじゃない」と泣き叫んだ。
それから一年後、お盆の親戚の集まりでのこと。
莉乃が湊との間にできた男女の双子を抱きかかえて、私の目の前で泣き崩れた。
「栞さん、子供たちから父親を奪わないでください。どうかこの子たちを哀れんで……
ご恩返しとして、この子たちは栞さんにお渡しします。どうか育ててやってください」
いつも冷静沈着な湊がその場ですぐに目を赤くして、懇願するような口調で言った。
「栞、俺たちは子供を持たないと決めているんだから、代わりにこの子たちを戸籍に入れて育ててくれないか?」
胸が抉られるような痛みを覚えながらも、喉の奥に込み上げる苦さを必死に押し殺して、平静を装って答えた。
「ええ、いいわよ」
結城家に響き渡る歓声と笑い声を聞きながら、私は結婚指輪を外した。
そして、結婚前にサインさせておいた離婚協議書を弁護士に送信した。