ドン・ファルコーネへ、四つの贈り物を
私はファルコーネ家の最高顧問。一族の頭脳として、表の事業をすべて裏から支え続けてきた。
そして今日、そのすべてに自ら幕を下ろす。手塩にかけて育て上げた合法ビジネスの帳簿を引き渡し、この家との最後の糸を断ち切るのだ。
「オーレリアさん、あなたこそがこの一族の未来なんです。こんなふうに去ってしまうなんて――」
悲痛な愛弟子の引き止めが背中に突き刺さる。けれど私は苦く笑い、ただ静かに首を振った。
誰も知らないのだ。私がドンであるヴィットリオ・ファルコーネと、この三年間、ひそかに夫婦であったことなど。
この顔も、この頭脳も、この身のすべてを彼に捧げ尽くせば、いつか必ず彼の心を丸ごと手に入れられる。そう、愚かにも信じていた。
その儚い夢は、三ヶ月前、港での抗争によって無残に打ち砕かれた。
十三発もの銃弾を受けた。一刻を争う致命傷だった。一族の専任外科医を動かすには、ドンであるヴィットリオ直々の命令が必要で、私は薄れゆく意識の中、十数回も彼に電話をかけ続けた。
ようやく繋がったとき――電話の向こうから流れてきたのは、ひどく甘く、柔らかな女の声だった。
「ヴィットリオ、まだケーキ切ってないよ。ねえ、一緒に切って?」
息が、止まった。
聞き覚えのある声。私の親友であり、かつてヴィットリオが恋心を抱いていた女――カリナだった。
大量出血で意識が朦朧とする中、私はセーフハウスで自ら弾丸を抉り出し、部下に命じてファルコーネ家の診療所へと運び込ませた。
しかし、手術室へ運び込まれるその直前、ヴィットリオが血相を変えて駆け込んできたのだ。
その腕に大切に抱かれていたのは、カリ