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第42話・ワガママ見参

Author: 新矢識仁
last update publish date: 2026-06-10 05:12:11

 味も分からないまま、カトラリーを置く。

「ギリギリ、及第点」

 アパルは笑顔できついことを言う。

「満点ってどんな感じ?」

「笑顔で美味しそうに食べきることかな」

 無理!

 訳の分からないカトラリーをどれ使えばいいか考えつつ、食事のウィットにとんだ会話をしつつと、いくつものことを同時に行いながら笑顔を出して味わって食べきるなんて無理だから!

 涙目の無言の抗議にもアパルは気にしない。

「これがランチだ。ディナーになったらもっと色々出て来るぞ?」

「勘弁して……」

「町長なんだろう?」

「影の町長でいい……」

「影の町長でも町長なら他の町の町長やギルド長なんかと会食の機会はあるからね、慣れておきなさい」

 スキル「まちづくり」に町長らしい振る舞いができるようになるってのないかなあ……。町を造るんだから町長にも何か付与効果が出てもいいと思うんだけど。うん、探してみよう。「まちづくり」の中には町長らしい振る舞いの仕方が入っていてもいいと思うんだ。

「お兄ちゃん!」

 アナイナが飛び込んできた。

「帰ってきたらわたしと一緒にいてくれるって言ったじゃない!」

「町長だからね」

 どうどうと
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     味も分からないまま、カトラリーを置く。「ギリギリ、及第点」 アパルは笑顔できついことを言う。「満点ってどんな感じ?」「笑顔で美味しそうに食べきることかな」 無理! 訳の分からないカトラリーをどれ使えばいいか考えつつ、食事のウィットにとんだ会話をしつつと、いくつものことを同時に行いながら笑顔を出して味わって食べきるなんて無理だから! 涙目の無言の抗議にもアパルは気にしない。「これがランチだ。ディナーになったらもっと色々出て来るぞ?」「勘弁して……」「町長なんだろう?」「影の町長でいい……」「影の町長でも町長なら他の町の町長やギルド長なんかと会食の機会はあるからね、慣れておきなさい」 スキル「まちづくり」に町長らしい振る舞いができるようになるってのないかなあ……。町を造るんだから町長にも何か付与効果が出てもいいと思うんだけど。うん、探してみよう。「まちづくり」の中には町長らしい振る舞いの仕方が入っていてもいいと思うんだ。「お兄ちゃん!」 アナイナが飛び込んできた。「帰ってきたらわたしと一緒にいてくれるって言ったじゃない!」「町長だからね」 どうどうとアナイナを宥めながらアパル。「町長らしい振る舞いを覚えなければみんなが困るんだ」 ぶんむくれたアナイナに説明して言い聞かせる。「で、我が君みたいなのになっちゃうわけ?」「冗談」「そこまではいかなくていいよ」「ってアナイナ、お前に預けたあれは……」「我が君!」 ああ、またあの甲高い声が来た。「町に相応しい町民を作る前に、町に相応しい町長になる。確かに、人を率いるには己がまず動いている姿を見せねばならない……!」「率いてるつもりはない」 どうしてもヴァリエの前ではいつものぼくがでてこない。アナイナの前のぼくでもない。どちらかというと……多分ヴァリエが町長らしいと言いそうな感じの……アパルやサージュの言う「町長らしい仮面」を被ったぼくだ。「あと、ここに入る許可を出した覚えはない」「我が君……」 涙で潤んだ目で見られても心はちっとも動かない。「ヴァリエはわたしが見てるから。誰かに嫌なこと言ったら耳を引っ張るの」「これまで何回引っ張った?」「そだね、七回は」 ヴァリエがここに来てから、そんなに時間は経っていない。それでアナイナのお仕置き耳引っ張りが七回

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