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筆と漢字

작가: 結城慎二
last update 게시일: 2026-06-30 18:00:16

「まず、神様から与えられた使命はこの時代を生き抜くこと」

「そうね」

「ところが時代は乱世に突入している」

「そもそも、そうじゃなきゃわざわざ転生なんかさせないわよ」

 ……確かに。

 いやいや、そこはいい。

「こんな田舎でも野盗に襲われた。ジョーが領主に頼んで廃村手続きはしてもらっているから、しばらくは村の再建に集中できるんだけど……」

「実際、今年は租税の取り立てがなかったでしょ?」

「そうだね。おかけで余裕で冬を越せる備蓄ができそうだ」

 穀物類はちょっと心許ないけど、この間の狩りで干し肉の量は申し分ない。

 仮に足りなくなってもその時は狩りに出れば新鮮な肉にありつけるはずだ。

「なにもなければ生きていくには困らない生活ができる目処はたった」

「村長の目から見てそう思えるならいいんじゃない?」

「やだなぁ、リリムまで僕のこと村長って呼ぶのかい?」

「村長は村長じゃない?」

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  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    嵐の前の静けさ-後篇-

    「明るい月夜だし、近づいたら判るかね?」「どうでしょう。暗闇の中なら松明でも持って近づいてくれたかもしれませんがね」 あー、そっちの方がありがたかったな。「お館様」「何?」「野盗の規模、どれくらいを想定してるんですか?」 お、おぅ……想定してなかった。「村の規模より大きいとは思ってない……かな?」 確か、あの日の野盗は十人ほどだった。  今回、サビーたちがいることを判ってなお村を襲おうと思っているんだから十人規模だろうなんて思っていない。 …………。 てことは、前回の野盗とは違う野盗ってことかな?「確かに三十人規模の野盗がこんな辺境の村なんて襲いませんね」 その発言はちょっと傷付くなぁ。  いや、ありがたいことなんだけどさ。「さて、そろそろ集中しましょうか」 サビーはそう言って通話を切り上げ、月明かりに照らされた道の先に視線を向ける。  僕は村に視線を向ける。  村の中はなんとなく緊張した気配がする。  櫓の足元にはイラードとガーブラが到着していたので、一旦降りることにした。「お館様」「準備完了?」「さあ、それは判りませんね」 む、そりゃそうか、進行状況を確認する伝令係が必要だな。  すっかり抜けていた。  反省反省。「じゃあ、手はずどおりに」 二人は頷いて門の両脇に陣取る。  野盗の目的は略奪だ。  無理して戦士と戦うとは思えない。  ……とまぁ、僕の想定が当を得ていれば、この作戦は図に当たる。  目論見どおり完勝できるかどうかはその一点にかかっている。  櫓を昇り直すと、サビーの様子が緊張しているのが見て取れた。  姿勢を低くして隠れているようにも見える。  同じ姿勢になって道の先に目をこらすと、粛々と近づく一団が月明かりにさらされていた。  ざっと数えて十九人。  かなりの規模だ。

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    嵐の前の静けさ-中篇-

     この一年、木刀を振り続けてきたけど、まだまだ前世の感覚が戻ってこない。  現世の体のせいなのか、ブランクのせいなのか。  ともかく、僕は支度を整えて月明かりの下に飛び出す。  行き先は正面門。  途中でザイーダと出会う。  彼女が戻ってきたということは村の外へ出たということだ。  事前にそう指示を出している。「お館様の予想通り、男は村の外へ出て行きました」 予想というか、男が連絡用に用水路に流した「手紙」をリリムに確認してもらっていたからね。  押し込み強盗働こうと思っているんなら、迎えに行くより引き込んだ方が能率上がるのにね。  ここら辺は文化水準・知的水準の低さなんかな?  こっちとしてはありがたいけどね。  ザイーダと別れて門に着くと、すでに東の櫓にサビーが登っている。  さすがに場慣れしているわ。  役割分担としてはサビーがいち早く正面門の櫓に登って警戒を、イラードとガーブラが中央通り沿いの家々を巡って戦闘準備を促すことになっていた。  それ以外の家は連絡を受けた家の住人が学校の連絡網のように次々と連絡に走ることになっている。  ほどなくみんなが所定の持ち場に着くだろう。  西の櫓に登ると、糸電話でサビーに連絡を取る。「状況は?」「まだ音も気配もありません」 かなり遠いところで合流する手はずになっていたようだ。  村に手練れの戦士が何人かいることはすでに知られている。  櫓は昼の見張りにしか使われていない。  というか、意図的に夜の監視に使ってこなかった。  まず一つに夜の監視は遠くが見通せないのでほとんど意味がないから。  夜警の人員を配する余裕がないのも理由だ。  外で暖をとったり篝火を焚く余裕もないしね。  でも最も意識したのは、男に夜の警戒はしていないと思わせるためだった。  こんなに図に当たるとは思わなかったけどね。

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    「で、僕のステータスはどうやったら確認できるの?」「なにそれ、美味しいの?」 え?「うそうそ、そんな便利機能現実世界にあるわけないじゃない」 だよねー。「数値が知りたいなら体力測定とかIQ検査でもしてみる?」「それって実際あてになるの?」「参考程度には」 だめじゃん、そんなの。「まぁまぁ。ホラ、そろそろ準備始めなきゃまた木の上で寝ることになるよ」 リリムに言われて気がついた。  お日様がだいぶ西に傾いているらしく、僕の影

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    都市伝説は真実だった

    「じゃあ次は概要ね」 と、リリムは言う。「世界の概要は現世の知識があるから割愛ね」 あらま。「あなたは転生の際にDNAってやつに細工されていてね、神様曰く人よりちょっと優秀になってるそうよ」 え? ちょっと?「そこはとても優秀になってんじゃないの? テンプレ的に」「いくら世界に干渉できる環境にある神様だってそんなことホイホイしたら世の中のバランスが狂っちゃうでしょう?」「異世界転生は世界のバランスを崩さないのか?」「崩すわよ。それなりに。そもそも

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    さゔぁいぶ-後篇-

     村に戻った僕は村人の埋葬をする。  人の死には慣れている。  現世の僕が、だけど。  この世界は前世の世界と違って文明水準が高くない。  当然医療水準も高くない。  田舎だからってのはあるかもしれない。  大きな街はもしかしたらすごく発展しているのかもしれない。  魔法のある世界だから、当然治癒魔法もあるはずだ。  でもそれがどれくらいの効果があるかもわからない。  だからこの村はよく人が死んだ。  子供は特によく死んだ。  僕にも姉と妹がいたらしい。  妹の方はかす

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     僕は十五歳の朝を木の枝の上で迎えた。  この世界の元服、つまり成人の儀式が行われる日だ。  確かに一生忘れられない日にはなったけど……切ない。  あまりにも切ない。  秋とはいえ、昼頃になればそれなりに暖かくなる。  今日は天気もいいので昼頃にはむしろ汗ばむほどの陽気になった。  慎重にあたりの気配を確認しつつ、木から降り集落に戻ると、まだプスプスとくすぶっている焼け跡の中を歩く。  あたり一面、嫌な臭いが立ち込めているのは、村人の焼けた臭いだろう。  昨日から何も食べてないのに込み上げてくる胃液を吐き出し

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