略奪女に夫を譲ったら、今更執着された
どん底の時代、私たちは狭い安アパートで身を寄せ合い、ゴミを拾って露命を繋いでいた。
転機は、彼が暴漢に襲われていた「ある女の子」を助けたこと。
大怪我を負った彼が手にしたのは、加害者の男からの莫大な示談金——
その金を元手に、私たちは地を這う生活から抜け出し、上流階級へと駆け上がった。
すべてが報われるはずの結婚式。
あの時、彼が命懸けで救った女の子が現れ、式を台無しにした。
追い出そうとする警備員を制したのは、新郎である彼自身だった。
式は続行された。けれど私は見てしまった。
彼の視線が、客席で涙を浮かべる彼女に、ずっと囚われたままだったことを。
結婚から五年。
数えきれないほどの「離婚してくれ」を飲み込んできた。
そして最後の一回。
私は、その言葉に頷いた。