悪役のメスに転生したら、まさかの溺愛ルート?!
過労死した草壁美波(くさかべ みは)が目覚めると、そこはなんと獣人の世界を描いた小説の中だった。
元の体の持ち主は、部族を持たない単独獣であった父親が無理やり連れてきた五人の獣人たちと、番いになる契約を結んでいた。しかし、彼らは美波に虐げられる日々を送っていたため、すぐに皆闇堕ちし、最後には美波が惨殺される運命だった。
生き残るため、美波は徹夜で計画を練った。作中最強の戦力を持つ父親を頼り、反逆寸前の夫たちとは契約を解いて、きっぱりと関係を清算することにした。
そして、父親から貰った不思議なネックレスの「アイテムボックス」の能力を活用し、獣人たちの力の結晶である魔石を集めたり、食料を育てたりして、生き残ることに必死になっていたら、敵に回るはずだった獣夫たちから向けられる視線が、日に日に熱を帯びていく――
夫の一人、猛毒を持つ俺様系の白蛇の獣人は尻尾を美波に巻きつけながら、甘く囁く。「美波、お前が生きてる限り、俺との契を終わらせられると思うなよ?」
絶世の美貌を誇る人魚族の獣人は、美波の腰を抱き寄せ、誘うような声で言った。「歌を歌ってあげる。だから、どこにも行かないで」
誇り高き黒い鬣を持つ獅子の獣人は美波に顔を近づけると、頬をすり寄せた。「美波、お前がそばにいてくれるというなら、この命など惜しくはない」
そして、妖艶な仕草で、艶やかな吐息を吹きかけながら囁くのは狐の獣人。「前、僕にしてきた仕打ち、たっぷりお返しさせてもらうからね」
美波を覗き込み、「君が誰で、どこから来たかなんてどうでもいい。君が私の唯一の女だってことに、変わりはないのだから」と言ったのは、冷徹な神官である鶴の獣人だった。
美波は唖然とした。「え?みんな、私と契約を結ばされたこと、恨んでたんじゃないの?契約を解いてあげるって言ってるのに、なんで嫌がってるのよ!」