黄金の林檎を奪われて、私は死ぬことにした
私は人間の巫女。それなのに、タルタロスの死の呪縛に、この身は静かに蝕まれつつあった。
助かる道はただひとつ、百年に一度しか実らない、オリュンポスの黄金の林檎。魂を浄化できるのは、その果実だけだった。
けれど、運命の伴侶であるはずのゼイル——ポセイドンの息子は、私の手からその林檎を奪い取り、妹のメローラに食べさせた。
彼女が、ほんの軽い魔法の火傷を負っただけだというのに。
私は、アポロン神殿で受けていた最後の治療を自らの意思で投げ捨てた。そして代わりに手に取ったのは、ステュクスの水を混ぜ合わせた忘却の毒だった。
あらゆる苦痛を黙らせてくれる毒。
その代償は、3日後に魂が灰となって散ること。輪廻の輪から外れ、二度と生まれ変わることもない、永遠の消滅だった。
地上に残された最後の3日間で、私はすべてを手放した。
治癒の神殿はメローラに譲り渡した。大祭司である両親は、肩の荷が下りたと言わんばかりに、安堵の微笑みを浮かべた。
ゼイルがオリュンポスの刃を抜き、運命の絆を断ち切ろうとしたときも、私は喜んで自らの血を差し出した。彼は私の頬を優しく撫で、私の「寛大さ」を褒めた。まるで私がようやく聞き分けのいい女になったとでも言うように。
息子のフィロンをメローラのほうへと押しやり、「母様」と呼んでいいのよと告げた。フィロンは歓声をあげて彼女の腕に飛び込み、メローラの子守唄のほうがずっと心地いいのだと、無邪気にはしゃいだ。
すべてを手放した。それでも誰一人として、私が死にゆく身であることに気づきもしない。
みんな、ただ誇らしげに私を見つめていた。
「クレッサも、ようやく自