Short Stories & Novels

Explore a diverse collection of captivating short stories that span various genres. Perfect for readers looking for quick literary escapes and engaging narratives.
失われた海の詩 - All novels & stories
匿名
折原和也(おりはら かずや)が妻を命懸けで愛していることは、周知の事実だった。 彼女だけに捧げる歌を書き、手作りのスイーツを焼き、口を開けば必ず「家の奥さん」が唇にのぼる――そんな男だった。 しかし、米山唯(よねやま ゆい)は気づいてしまった。そんな彼が浮気をしていたのだ。 システムを呼び出し、世界からの離脱を申請する。 「了解しました。自主離脱ルートを開通します。15日後、貴女は仮死状態でこの世界を離脱します。死亡場所はかつて主人公を救った海辺。投身自殺として処理されます」 「死亡準備を確実に整えてください」 十五日目。彼女は全てを計画し、海に身を投げるふりをして彼のもとを去った。 折原和也は突然目が覚めたように狂乱し、彼女を探し求めて奔走する。
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死後3年目、ようやく私の冤罪は晴らされた - All novels & stories
ミントソーダ
3年前、私・篠原澪(しのはら みお)は東都中央大学で最年少の考古学者として活躍していた。 新たな遺跡の調査に向かった私は、そこで思いもよらない事実を知る。夫・篠原晴臣(しのはら はるおみ)が大切に想い続けていた女性である吉川紗奈(よしかわ さな)が、文化財密売組織と手を組み、遺跡からの出土品を海外へ持ち出そうとしていたのだ。 計画を私に知られた紗奈は、私を20回以上も刺したうえ、証拠を隠すために遺跡を爆破した。 さらに紗奈は晴臣に、私こそが文化財密売組織と手を組み、彼女を殺そうとした、という嘘を吹き込む。そして、彼女自身は命からがら逃げ延びた被害者で、私はすでに逃亡したのだと言った。 それを聞いた晴臣は、歪んだ正義感を振りかざし、私の身に覚えのない罪を上層部へ報告した。 その結果、私は国際指名手配犯として追われる身となり、「国を裏切った犯罪者」という汚名を着せられることになった。 そして3年後――再び発掘調査が開始されたあの遺跡から、白骨化した私の遺体が発見されたのだった。
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一度裏切ったら、もう終わり - All novels & stories
浪川
無事に出産を終えた、その直後のことだ。 夫・西園寺翔太(さいおんじ しょうた)と、私・高嶺美月(たかみね みつき)が学費を支援している女子学生・春日莉乃(かすが りの)が、私の病室の外で抱き合い、キスをしていた。 赤ん坊の火がついたような泣き声が響き、二人は弾かれたように体を離した。 慌てて病室に飛び込んできた翔太。その首筋には、くっきりと生々しいキスマークが残っている。 私はそれを見ても、あえて何も言わなかった。 遅れて顔を見せた女子学生の唇は、赤く腫れている。彼女は私に向け、挑発的な笑みを浮かべてみせた。 後日。 私は彼女のSNSの投稿を目にした。 動画の中で、彼女は笑顔で我が子をあやしながら、自分を「ママ」と呼ばせようとしている。 「ほら〜、ママって呼んでごらん?ママだよ〜」 翔太は苦笑しながら、彼女をたしなめる。 「こら。俺の奥さんは一人だけだぞ。少しは弁えろよ」 すると彼女は甘えた声を出し、彼に抱きつくと、そのまま唇を重ねた。 私の指先が一瞬、止まる。 ……すぐに画面収録ボタンを押した。 これらはすべて、証拠になる。 離婚裁判で、私がより多くのものを勝ち取るための、決定的なカードとして。
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死んでから、彼の忘れられない女に - All novels & stories
ひとつの甜菜
縁談を経て真島大知(ましま だいち)と結婚してから三年。梅川奈月(うめかわ なつき)はあの手この手で大知の気を引こうとしてきたが、大知にまともに触れることさえできずにいた。 そして昨日、残酷な診断を受けた。母から受け継いだ難病で、余命はもう長くないという。 だから彼女は、大知に強い媚薬を盛った。この命が尽きる前に、一度でいいから本当の意味で彼の妻になりたかったからだ。 だが思いがけず、大知は込み上げる欲望を無理やり抑え込むと、彼女を突き放し、赤く血走った目で見据えた。 「そんなに男が欲しいなら、望み通りにしてやる」 彼はその場で人を呼び、五人の浮浪者を連れてこさせると、奈月とともに一部屋に閉じ込めた。 奈月は逃れようとしたが押さえつけられ、無数の手が彼女の身体を好き勝手にまさぐり、着ていた服まで引き剥がされていった。
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死んだ私に愛を語っても意味はない - All novels & stories
遅れた愛
私が1週間行方不明になった後で、夫の須賀周作(すが しゅうさく)はまだ私のことがわがままを言っていると思い、私が戻って来て謝るのを待っている。 「友子(ともこ)、早く現れないと、後悔するぞ!」 でも、待っても、私の返事は永遠に来なかった。彼は、私がとっくに死んでいたことを知らない。 彼が江崎夕子(えざき ゆうこ)と心を打ち明け合っていたまさにその時―― 私はトラックに衝突され、車ごと海上橋から海に転落し、即死した……
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霧が晴れたので、私は私の道を往きます - All novels & stories
ロリポップ
宇佐美駿(うさみ しゅん)と婚約して七年目。彼が結婚式を延期したのは、これで三回目だった。 理由は、彼の幼馴染である清水莉奈(しみず りな)が離婚して帰国し、情緒不安定になっているからだという。 駿は結婚式の招待状を一枚一枚回収しながら、落ち着いた口調で言った。 「莉奈のそばには今、誰もいないんだ。 このタイミングで彼女を刺激するわけにはいかない」 私・椎名杏(しいな あん)はサイズを二度も直した指輪を握りしめ、彼に尋ねた。 「じゃあ、私は?」 駿は私を一瞥した。 「お前は違うだろ、物分かりがいいんだから」 物分かりがいい――その言葉を、私は七年間も聞かされ続けてきた。 彼が起業に失敗したとき、私は祖母が遺してくれた古い家を売り払い、一緒に借金を返した。 彼が胃出血を起こしたとき、私は病院で三日間付きっきりで看病し、自分の昇格面接を棒に振った。 彼の母親に「家柄が普通で釣り合わない」と言われたときも、彼はただ眉間を揉むだけだった。 「杏ちゃん、俺を困らせないでくれ」 私はそのたびに、ただ「分かった」と受け入れてきた。 霧深い街だから、私がいつ帰ろうと、灯りをつけて待ってくれると、彼が言ったから。 しかし、あの日、莉奈が私のウェディングドレスを着て姿見の前に立った。 「杏さん、気にしないでくださいね? 駿が、どうせお二人の結婚式は延期になるんだからって」 駿は彼女の後ろに立ち、否定もしなかった。 それどころか、彼女のベールを優しく整えてやっていた。 彼が手ずから私に贈ってくれたナイトランプが、ドレスショップのショーウィンドウの脇に置かれていた。 ランプの光はまだ消えておらず、私が七年間待ち続けた純白のドレスを別の人間がまとっている姿を照らし出している。 私はふと悟った。 元から霧が深くて道が見えないわけではなく、彼は最初から私を迎えに来る気などなかったのだ。
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妊娠中の私に酒を強いた夫、もう二度と愛さない - All novels & stories
ちょうどいい
妊娠3ヶ月の私に、夫の黒崎翔吾(くろさき しょうご)は言った。彼の秘書・白石蛍(しらいし ほたる)の代わりにお酒を飲んでやれ、と。 「蛍は体が弱いんだ。お酒なんて飲めるわけないだろ。お前がちょっと代わってやれよ」 「もう酔っているから飲めない」と断ろうとした時、翔吾は無理やり私の手にクラスを握らせた。 「お前がどれだけ飲めるか、俺が一番よく知ってるんだ。嫌そうな顔しないで、全部飲め!」 そう言うと、翔吾は取引先の人たちに自慢げに話し始めた。 「うちの妻は、昔は女一人でビジネスの世界で戦ってきました。その武器は、お客さんといくら飲んでも酔わない体を持っていることです。さあ皆さん、どんどん飲ませちゃってください!」 すぐに周りから不快な合いの手が飛んできた。見渡せば、蛍が翔吾の後ろに隠れて怯えたようにすすり泣きしている姿が目に入った。 「社長、こんなの怖いです。もう帰りたいですよ……」 私が口をはさむよりも先に、翔吾は心配そうに彼女を先に帰らせた。酒のことしか考えていないような男たちの中に、私を置き去りにした。 私は力なく笑い、グラスの中身を一気に飲み干した。 何年もこんなことを耐えてきたのに、返ってくるのは屈辱だけ。 こんな結婚生活、もう終わりにしよう。
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父に選ばれなかった娘 - All novels & stories
三々
七歳の時、ピアニストだった母が癌で亡くなった。最期に彼女は私の手を握りしめて言った。 「美南、ママと同じようにピアノが大好き。大きくなったら、最高の舞台に立って、ママに演奏を聴かせてね」 それ以来、ウィーンの舞台に立ってピアノを弾くことが、私の人生そのものの夢になった。 だから七歳から、私は昼夜を問わず練習に打ち込み、毎日六時間以上ピアノを弾き、指も手首も傷だらけだった。 そしてついに二十一歳の時、私は頭角を現し、国内屈指のオーケストラのオーディションの機会を得た。 もし合格すれば、翌週にはウィーンでのニューイヤーコンサートに参加できるはずだった。 しかしその時、父が田舎から、私よりたった半年しか年下の妹を連れて帰ってきた。 父は彼女を実の娘のように可愛がり、私のピアノ室は彼女のダンススタジオに改装された。 兄たちは花のような彼女を気に入り、毎日自ら送り迎えまでしていた。 幼なじみの恋人でさえ、彼女の笑顔に心を奪われ、視線は無意識のうちに彼女に向かった。ついには私がオーケストラのオーディションに行く当日、彼は彼女のダンスレッスンに付き添うため、時間に追われる私を高架橋の上に降ろした。 「美南、君は夢を叶えるチャンスを一度失っただけだろ。知香は遅刻しちゃうんだから。 わがまま言わないで。彼女を送ったら、すぐに迎えに戻るから」 マイバッハが疾走して去る後ろ姿を見ながら、私は冷静にスマホを取り出し、タクシーを呼び、川口修平(かわぐち しゅうへい)に別れのメッセージを送った。 母の言う通りだった。男なんて、私が夢を叶える邪魔にしかならない。
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7.9K
時の流れに消えた夢 - All novels & stories
ハッピーハンター
横山佳奈(よこやま かな)と松尾仁(まつお じん)は、かつて学園中の視線を集める、誰もが羨む恋人同士だった。 太陽のように明るく、いつも笑顔を絶やさない学園のアイドル。その佳奈は、裏社会に生きる名家の跡取りである仁が、誰にも触れさせず、大切に守り続けてきた存在だった。 佳奈のために、仁は危険な世界から身を引く決意をする。彼女を、もう暗い場所に縛りつけたくなかった。ただ、光の中で当たり前の幸せを手にしてほしかったのだ。 だが、ようやく未来が見えはじめたそのとき、佳奈は別れを告げた。 激しい雨の中、仁は三日三晩、地面に膝をついて思いを訴え続けた。やがて力尽きて倒れても、佳奈は一度も振り返らなかった。 それから三年後。再び仁の前に現れた佳奈は、かつてとは違っていた。今度は、愛される側ではなく、愛を乞う立場で。人前には出られない、名前のない関係でもいいと、自ら影に身を置き、彼のそばにいようとしたのだった。
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10.6K
35回も元カノを優先した彼氏、もう捨てる - All novels & stories
九月の楓
クリスマスの日、私・江藤栞(えとう しおり)はしゃぶしゃぶ専門店の前で6時間並んでいた。 彼氏の長谷川一彦(はせがわ かずひこ)から電話がかかってきた。「遥が激辛料理を食べたいって言ってる。今すぐ来てくれ」 浅野遥(あさの はるか)は私の大親友で、一彦の元カノだ。 一彦が遥のせいで予定を台無しにしたのは、これで35回目だ。 この店は一彦がずっと食べたがっていたしゃぶしゃぶ専門店で、いつも行列が長すぎて諦めていた。 どうしても一緒に食べたかったから、わざわざ休みを取って6時間も並んだのに。 10分おきに、今の呼び出し番号を一彦に送っていた。 そして、つい5分前、最後の呼び出し状況を報告したばかりだ。 整理券番号は301番。今、295番まで呼ばれている。 私は整理券を強く握りしめた。「一彦、休みを取って6時間並んだのよ。あと6人なのに……」 一彦は面倒そうに話を遮った。「わかってる。でも遥が激辛料理を食べたいって言ってるんだ。この店にはまた来ればいいだろう」 電話越しに、沈黙が流れた。 耳元で一彦の急かす声が聞こえた。「俺たちはその店の数軒先にいるんだ。さっさと来いよ」 これまで34回も妥協してきた私だったが、突然すべてがどうでもよくなった。 「嫌よ。私はしゃぶしゃぶが食べたいの」 電話を切った私は、社長にメッセージを送った。 【社長。S国への異動の件、お受けします】
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私がいなくなった後 - All novels & stories
神崎琉美
息子の大学入試が終わったその日、私は末期がんで病院のベッドで息を引き取った。 夫はホテルで初恋相手を抱き寄せながらこう呟いた。「あいつ、いずれ君に場所を空けると思ってたよ」 息子は夜通しバーで遊び、酔っ払った勢いで友人に愚痴をこぼした。「俺の人生を全部コントロールしようとしてさ、マジで離れたかったんだよ」 姑は近所の人と世間話をしながらこう言った。「あの嫁は何もせずに食べてばっかりでさ。いっそいない方がマシだったわ」 もう、彼らに何も言い返すことはできない。 でも、これでようやく彼らの望みが叶ったのだ。
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義母を助けて、義父の元婚約者に反撃する - All novels & stories
カミちゃん
私、田中奈津美は近所でも有名な喧嘩っ早い女で、口喧嘩なら誰にも負けない自信があった。 母は「あんな性格じゃ、結婚したら苦労するわよ」と口癖のように言っていた。 ところが実際に結婚してみると、夫は私の言うことなら何でも聞いてくれる人で、義母は物腰の柔らかい優しい人だった。 そのせいで、せっかくの喧嘩の腕前も発揮する場所もなく、結婚生活は幸せすぎて少し物足りないくらいだった。 そんな平和な日々が続いていたある日、義父の元婚約者が日本に戻ってきて、義母が肩身の狭い思いをするようになった。 私は手ぐすねを引いて、いよいよ出番が来たと身構えた!
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4.0K
婚約者さん、その幼なじみとどうぞお幸せに - All novels & stories
後々
結婚式を挙げる前日の夜、私の婚約者の幼なじみは傭兵をしていて、五年間連絡を断っていたのだが、任務中に負傷したうえ毒性のある媚薬まで盛られてしまった。 薬を盛られた彼女は部隊の仲間に私の婚約者の前へ連れて行かれた。彼女は全身血だらけで、まさに九死に一生といった様子だった。 一向に冷静沈着で理性をなくすことのなかった篠原迅(しのはら じん)は目を真っ赤にさせて、私の制止も振り切り幼なじみと一夜を共にした。 そして私のほうはというと、一晩部屋の外で一睡もできなかった。 その翌日、私のヒステリックな詰問に対して彼は幼なじみを庇い、腐った態度でこう吐き捨てた。 「俺は茉莉花(まりか)が死んでいくのを黙って見ているわけにいかなかったんだ。ただ俺の『初めて』を彼女にあげただけだろう?結婚する前にちょっと一晩羽目外したからって何だって言うんだ?」 その瞬間、私の彼に対する愛は完全に粉々になって消えていったのだった。
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13.8K
約束が嘘に変わる日 - All novels & stories
アイス
両親から電話があって、幼馴染・中野学(なかの まなぶ)が見合いをすることになったと聞かされた。 その時、学は、私の隣でスヤスヤと寝息を立てていた。 冗談だと思って、私はそっと彼に声をかけた。「ねぇ、学。あなたにお見合い相手が見つかったって、両親が言ってるけど」 学は気だるそうに「んー」と相槌をうつと、私を腕の中に抱き寄せた。「綾ちゃん、後で俺の服選んで。髪もセットしてくれない?」 私が固まったままなのを見て、学はうっすらと目を開けて、クスっと笑った。 「なに、この顔。俺たちってさ、ただのセフレじゃん。まさか俺が君と結婚するとでも思ってたわけ?」
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執念、晩秋に散る - All novels & stories
春日山奈
庄司海青(しょうじかいせい)が愛人とデートしていたその夜、桑原秋帆(くわはらあきほ)は非業の死を遂げた。 閻魔大王は彼女に七日間の還魂を許し、未練を果たすよう言い渡した。 彼女のただ一つの願い。 それは―― 海青と離婚することで過去を清算して、今後一切、死んでも生きても再び顔を合わせないことだった。
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結婚式前夜、ホテルでリンチされ、逆襲の狂気 - All novels & stories
初夏
結婚式の前日、ホテルから電話がかかってきた。「遠藤さん、結婚式会場が誰かに壊されました」 訳がわからずホテルに向かった。そこには婚約者とのウェディングフォトを持った女がいて、怒鳴り声を上げていた。「この恥知らずの愛人!私の夫を誘惑して!彼のお金でこんな豪華な結婚式を準備するなんて!」 その場は一気に騒然となり、ホテルのマネージャーまで私に文句をつけ始めた。「だから結婚準備中に新郎が全然姿を見せなかったんだ。本妻じゃなかったんだな」 次第に野次馬が増え、暴力を振るう者まで出てきて、私は流産してしまった。 私は怒りを通り越して笑いながら、その場で秘書にメッセージを送った。「明日の結婚式は中止。それと、小池翔を会社から追い出せ!」 私のお金で愛人を囲い、しかもこんなに図々しいなんて! 私がどうやってお前らを引き裂いてやるか、見せてやる!
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もう愛する理由はない - All novels & stories
弐宜
婚約者・祖浜進介(そはま しんすけ)にブロックされてから、55日が経過した。 私は、八年も待ち続けた結婚式をキャンセルした。 その間、彼はうつ病を患った幼なじみ・石塚ニナ(いしづか にな)と共に、K寺で心の療養をしていた。 彼は長年参拝客が絶えなかったK寺を、半年間も閉鎖させた。 一方で、私は彼の突然の失踪により記者に追い詰められ、家にも帰れなくなった。 やむを得ず、私は彼を探しにK寺まで行った。 しかし、「寺の静けさを乱すな」と言われて、山から追い出された。 真冬の寒さの中、私は山のふもとで気を失い、命の危険にさらされかけた。 目を覚ましたとき、私は見た―― 進介が自らの手でK寺の境内に、愛の象徴である無数のバラを植えている姿。 半年後、彼はようやく下山し、ニナを連れて帰ってきた。 そして、彼女と一緒に植えたバラを、私との新居に飾りつけたのだ。 私はただ冷ややかな目で見つめている。 彼はまだ知らない―― 私がもうすぐ別の人と結婚することを。
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荒れていく彼の心を見送って - All novels & stories
米菓子11
私には、秘密がある。 誰かに触れた瞬間、その人が心の中でいちばん大切に想っている人の顔が見える。 7歳のとき、上田大河(うえだ たいが)が隣に引っ越してきた。あの日から、大河の心の中にはずっと、私だけがいた。 18歳、初めて手を繋いだとき――私だった。 22歳、プロポーズされたとき――私だった。 結婚式の夜、唇が重なったとき――やっぱり、私だった。 しかし結婚3周年の朝。ネクタイを直してあげようと、指先が喉仏にそっと触れたとき、いつものように目を閉じた。 浮かび上がったのは、二つの顔だった。 一つは私。もう一つは、見知らぬ女。 その夜、大河のスマホが光った。 【大河さん、今日は付き合ってくれてありがとう】 21年間で、10万回もの触れ合い。 初めて、狂いが生じた。
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裏切りの檻 - All novels & stories
霧崎遥
妻が浮気相手を家に連れ込むのは、これで5回目だった。 私は窓を完全に密閉し、気づかれないように寝室のドアを外から施錠した。 寝室の中からは、浅香の荒い息遣いが絶え間なく聞こえてくる。 私はリビングに座り、冷静に義母に電話をかけた。 「お義母さん、大変だよ!浅香が寝室に鍵をかけて、自殺しようとしているんだ!」
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ひと花散りても、風雪はなお - All novels & stories
サンドクッキー
大晦日、私は最後に一度、裁判所へ行った。 今回は、裁判官が私に息子の親権を取り戻すためにまだ訴えるつもりがあるかどうか尋ねた。 私は首を横に振った。 「訴えを取り下げに来ました。親権はもういいです。離婚に同意します」 夫の江口渡(えぐち わたる)との結婚生活の9年間に、私は6回も裁判に立ち会った。 そして、6回にわたる大晦日を、私は裁判所で過ごすことになったのだ。 喜びは全くなく、ヒステリックな非難だけだった。 私は疲れた。 息子も疲れた。 だから、ついに手放す決心がついた。 今年帰省するための飛行機のチケットも予約した。
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