100回目の婚約披露宴:彼氏は私を置き去りにする
100回目となる婚約披露宴。それだというのに、神崎湊(かんざき みなと)はまたしても、迷うことなく私を置き去りにした。
交際して七年。これまでの99回の婚約でも、彼は「幼馴染がまだ結婚していないから、約束を破るわけにはいかない」と言い続けてきた。
私は手の中にある指輪を握りしめ、初めて彼に問いかけた。
「じゃあ、白川琴音(しらかわ ことね)が一生結婚しなかったら、あなたも一生彼女に付き添うつもりなの?
私はどうなるの?私のことは何だと思っているの?」
湊は瞬く間に顔色を曇らせ、私の手から指輪をひったくると、窓の外へと投げ捨てた。
「琴音とは子供の頃から、一緒に結婚しようって約束してたんだ。彼女を一人残していくなんてできるわけないだろ!
それに、一ノ瀬雫(いちのせ しずく)。お前は紙切れ一枚にそこまでこだわるのか?俺たち、七年も一緒にいるんだ。その紙があろうがなかろうが、同じことじゃないか」