桜が散っても、春はまた巡る
宿敵だった森下瑛太(もりした えいた)が記憶を失った。周りの人は全員覚えているのに、なぜか池田美月(いけだ みつき)のことだけ忘れていた。
かつての対立関係も忘れ、彼は一目で美月に恋をして、彼女を熱狂的に追いかけ始めた。
初日、彼は9999本のバラを用意し、町中の話題になるほど派手な告白イベントを開いた。
二日目、彼は三日三晩にわたって花火を打ち上げ、美月への愛を世界中に宣言した。
三日目、彼は美月のそばを片時も離れず、「ハニー、ハニー」と甘い声で囁き続けた。
瑛太が目を覚ました日から、彼は外せないお守りのように、毎日美月にべったりとくっついていた。
ついに美月も彼の熱烈なアプローチに心を動かされ、宿敵というわだかまりを捨て、彼の恋人になった。
付き合って三年目のこと。美月が瑛太に会いに行った日、部屋の前で偶然、彼と仲間たちの会話を耳にしてしまった。