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魔除けのしるし

last update Last Updated: 2025-07-06 19:00:45

ヒューゴと知り合って1年が過ぎ、また夏がやってきた。

週末のお泊り会(そう言うとヒューゴは爆笑していたが)は、今までのところキャンセル日も頓挫することもなく、毎週続いている。

いよいよ気温が30度を越えてくると、サイクリングの頻度も激減してくる。

その日も真夏日で、おれたちはエアコンの効いた部屋で、氷をたっぷりいれたハイボールを飲みながらだらりと快適な映画鑑賞だ。

作品は脚本賞を獲ったらしいクライムサスペンスで、たしかに良く練られたプロットだったがテンポが少々だるく、ソファの対角にいるヒューゴの横顔もついでに鑑賞する余裕があった。

後ろでギリギリ結べるくらいの長さの髪を下ろしたままで、時折顔にかかる前髪を耳にかけなおしている。

とても似合うけれど——

たとえば、この1年でどんどん鍛えられていく身体や、意外にラフな行動を知った以上、少し違和感を感じるんだよな。長めのブロンドって繊細そうで。ヒューゴは物腰柔らかだけれど、繊細ではない気がする。

「髪、伸ばしてるの?」

「いや」

ヒューゴは髪をかきあげる。いちいちかっこいいね。

「切ってないだけ。でも結ぶと楽だよ。飲食店だし」

「確かに清潔感はある」でも、と俺は続ける。「もう少し短かい方がヒューゴらしさが出そう」

「そう?透がそう言うなら、切ろうか」

ヒューゴはすぐ立ち上がって寝室の方へ行ってしまう。

「もしかして今から行くの?」

追いかけると、「土曜だし。ちょうどいい。前から切らせろってうるさかったんだ」と答えて脱いだTシャツをベッドに放り投げる。

クローゼットの中は几帳面に整えているくせに、そういうちょっと雑な動作をするギャップが面白い。

それにしても走っているだけでそんなに鍛えられるなんて、やはり体質の違いだろうか。

ヒューゴは着替えを済ますと「すぐ戻る」と車のキーを掴んだ。

素直なヤツ。動きたくなさそうにダラダラしてたのに。

でもどこへ切りに行ったんだろう。予約もせず。

一時停止していた映画はそのままにし、おれ

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